完璧なフォーメーション
「あのさぁオリジナル。一人で突出するのはよくないんじゃないかな」
久しぶりの初陣を完遂し、私が自宅に戻った後のこと。
イエローが私に苦言を呈してくる。
戦闘を自分だけで行うのは避けるべきという論旨だった。
「せっかく複数名に分身したんだから、もっとこう、フォーメーションを組んだ戦略的な戦いの運び方があるでしょ」
「……ブルーもその意見に賛成」
イエローとブルーが私に意見してくる。
私は首を横に振った。
「せっかくだけど、戦闘は私一人でやるわ。あなたたちには別の仕事がある」
「別の?」
「バイト」
「「「「……バイトぉ⁉」」」」
私以外の4人が素っ頓狂な声を重ねた。
「ちょっと待って⁉ ボクらだって魔法少女なのに、求められるのは魔法力じゃなくて労働力なの?」
「あたりまえよ。さっき確認してきたけど、やっぱり令和の魔物は弱いわ。私一人の拳でどうにかできる」
というか、私一人の方がいい。
魔法少女が5人がかりで現れたら、流石に相手の魔物も不利を悟って撤退してしまうから、魔物を狩ることができない。
私ひとりで現れて、相手の魔物に「あっ一人なら楽勝じゃーん♡」くらいのことを思わせた方が、狩るのに効率がいいのだ。
「戦闘よりも、金策なの!」
私は堂々と主張する。
「なんてったって私が魔法少女としての仕事に集中するために、生活の安定は欠かせないもの。そして生活の安定とは、すなわちお金」
「……オリジナル、言ってて世知辛くない?」
「ないわ。ということで、あなたたちには、私が魔法少女業に専念するために、それぞれバイトしてもらうわよ」
「あはぁ! それならあたしたちが適任ねぇ!」
「高収入な夜の蝶になって、オリジナルの生活に潤いを与えてあげる!」
頭ピンクな2名が「なんだったら潤いどころか乾く間もないほどに……」とか妄言を垂れ流しているので、私は先手を打つ。
「ピンクのバイトはもう探してあるわ。色気のカケラもないところ」
「「は?」」
「当然でしょ。仮にも私と同じ『志保谷エイ』が如何わしいお店で働いているなんて耐えられないもの。あなたたちにはきちんとしたところで働いてもらう」
桃色2名が抗議の言葉を並べ立てるが、それをスルーした私は、食欲のイエローと睡眠欲のブルーに向き直る。
「あなたたちはそれぞれ自分でバイトを探して」
「納得はいかないけれど、まぁお金がなければ満腹にもなれないもんね。おとなしく従うよ」
「……ブルーも、勤務中に寝てられるバイトを探す」
「いや、勤務中は寝ないでくれるかしら?」
ブルーにツッコミを入れる私だった。




