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モンスターを鎧にする仕事  作者: タック
第二章

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最強のギルド参上

「ユーダイさん!! 村よりも姫様を取り戻す戦いですよぉ!!」

「はいはい、わかりましたってマティスさん。どっちも取り戻せばいいじゃないですか。俺たちにはその力が……イストさんから与えられたんですから!」


 鋼鉄の守護者メンバーたちも、雄叫びを上げ始める。


『うぉーッ!! イスト!! イスト!!』

「い、イストとは何者だ……?」


 呆気にとられているレイリオン王が質問をしてきた。


「俺たちのリーダー、イスト・ヒューランドですよ」

「……ヒューランド? なぜ王家の姓が?」

「あー、レイリ姫様がその名を与えていたので……実質的に結婚相手として選んだのでは?」

「は?」


 さっきまでの決死の表情と違い、レイリオン王はポカンとしてしまっている。

 突然、自分の娘が結婚していたというのだ。

 父親なら戦場の最中でもそうなってしまう。


「ユーダイさん!! なーにテキトーなことをォォ!! 姫様に相応しい男性は他にいるでしょう!! ほら、もっと位が高くて、ハンサムでイケメンで年収と背と学歴も高くて――」

「マティスさん、そろそろマジメに戦わないとレイリ姫様に嫌われますよ?」

「くそっ、ああもうわかってますよって! 我々、量産装備メンバーはコイツらの相手でしょう!!」


 カマキリ声ならぬ、金切り声をあげながらマティスは叫びながら黒いゴリラ機魔族モンスターへと突撃していく。

 他のギルドメンバーたちもそれに合わせて、それぞれの敵と戦い始めた。


「喰らいなさい!! マティス蟷螂剣(とうろうけん)!!」


 マティスはカマキリのような動きで敵を翻弄した。

 そのまま敵の一瞬の隙を突いて、腕部のブレードで首を落とす。


「わたくしの活躍を見てくださいましたか!! 姫様ー!!」

「マティスさん、そんな戦場でガッツポーズしてると……ほら、敵に後ろを取られてますよ……まったく……」


 ユーダイは地面を土+水魔術でぬかるませて、重い敵のバランスを崩させた。

 そこへマティスが背後も見えていたかのように、その敵を斬り裂いた。


「ふんっ、別にアナタの助けはいりませんよ」

「はいはい。何か俺もアンタのことをムカつくときがあるんで、次は後頭部を殴られてくださいよ」


 このようにイストの作った量産型モンスター装備は圧倒的な性能だった。

 他のメンバーたちも敵を殴れば吹き飛び、敵から攻撃されても傷一つ付かなかった。


「す、凄まじいではないか……なんなのだアレは……」


 レイリオン王は自国の冒険者と、魔国のモンスターの戦力格差は知っていた。

 冒険者がこんなに強いはずがないのだ。

 イストを知らなければ、常識的に考えて唖然としてしまうのも仕方がない。

 そこへ別行動を終えたアルプスが合流してきた。


「それじゃあ、みんな。あたしは村人の救出と護衛に専念するからここは任せたわよ」

「アルプスさん、そちらはお任せしましたよ! わたくしはここで戦って姫様に格好良いところをアピールするので!!」

「マティスさん、マジメにやってくださいって……」


 なぜか息ピッタリのマティスとユーダイを横目に、アルプスは村の民家へと向かった。

 作戦としては、鋼鉄の守護者が敵を引きつけて、その間にアルプスが村人たちを保護する感じだ。

 人質にされている可能性もあったのだが、アイゼンシルト曰く『敵の性格的にそれはない』とのことだ。

 おびき寄せるための餌に使っても、盾にはしない。

 戦いがつまらなくなるから、らしい。

 ただし、『戦いに巻き込まれて死ぬのは気にしない』という剛胆さを持ち合わせているので、このような村人を守る作戦になったのだ。

 事情を知らない王は問い掛けた。


「せ、戦力を分散させて大丈夫なのか?」

「ライリオン王、我らだけでもこの黒いゴーレム相手なら平気です」

「そ、そうか……。では、王国軍は撤退して治療をさせてもらう」

「――ただ、敵の十機人が出てきたら俺たちでもきつそうですが」

「なに!? 十機人だと!? そんな大物が……!!」


 そのとき、遠くから巨人の足音のような号砲が響き渡った。

 浅い角度で連続着弾しながら、こちらに近付いてくる。


「噂をすれば何とやらですねぇ」

「まったく、またこの攻撃方法ですか」

「何を暢気な!? こんなもの巻き込まれたら全滅するしか――」

「おいおい、王様ならドンと構えていろよ」


 いつの間にかやってきたイストはニヤリと笑みを見せた。

 目の下にはクマができていて、どれだけ無理をしたのかがわかる。


「間に合うと思ってましたよ、リーダー」

「それじゃあ、お披露目だ。アイゼンシルトの新装備――アテナの機神鎧! その性能を見せてやれ!」

「…………了解、マスター。人類の守護を開始します」


 光化学迷彩が解かれて突如、目の前にアイゼンシルトが現れた。

 サイバーカメレオン素材で作ったレオタードの力だ。

 両腕と脚には監獄ヤドカリの鋼鉄素材。

 一番特徴的なのは左右の手に持っている盾だろうか。

 両手で一つの盾を持っているのではなく、二つの盾だ。

 それをガッシリと組み合わせて、中央に合体させた。


「あ、アイゼンシルトのことは余も知っておる! だが、いくらなんでもこれは無理だ!!」

「無理な事を、可能にしていかないとレイリの夢物語は果たせない」


 イストは独り言のように呟いた。

 直後、アイゼンシルトの盾に着弾した。

 爆発による轟音。

 衝撃波で周囲が吹き飛んだのだが――それは盾の外側だけだった。

 内側は完全に守られている。


「こ、これはまさしく……鋼鉄の守護者」


 アイゼンシルトは無傷で立っていた。

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