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モンスターを鎧にする仕事  作者: タック
第二章

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36/42

ボス素材で空間隔離型の工房作り

後書きで重要なお願いがあります。

ご協力をお願い致します。

 イストはボロ工房の中で感慨深い気持ちになっていた。

 思えば、このボロ工房ともそれなりに付き合いが長くなってきた。

 理不尽に追放されてから、偶然にも見つけた山側郊外に放置された小屋。

 持ち主がいる様子もなく、工具類も多少はあったのでそこを拠点にさせてもらった。


 ここで実験体――もとい仲間たちと出会い、見た目が大好評の装備を作ってきた。


「ありがとう、ボロ工房! ――というわけで、カンパネの野郎から資金も手に入れたし、新工房を作るぞ!!」

「イストっち~、新工房っていうけど具体的にどうするの~? この建物を補強工事する感じ~?」

「いや、移動できる秘密基地みたいな工房を作る感じだ」


 レイリは質問をしてきたクセにキョトンとしてしまっている。

 こちらの人間には秘密基地というものが通じないのだろう。

 もしくは、建物が移動できるという概念が足りない。


「監獄ヤドカリを見たときにビビッと天啓が降りてきたんだ。監獄が移動できるのなら、工房だって移動してもいいんじゃないか、と!」

「えぇ~……。ヤドカリに工房を背負ってもらうの?」

「いや、ヤドカリは素材にしてしまったから別の手段だ! アルプス、頼んだぞ!」

「へ?」


 工房の隅で静かに本を読んでいたアルプスは、いきなり話を振られて間の抜けた返事をした。


「え? なに? どういう状況?」

「あの監獄ヤドカリのデッケぇ監獄、それをアルプスの魔術で移動工房にしてくれ」

「はぁ~!?」


 アルプスは驚きと『何を言っているんだコイツ』というという表情になり、それを見ていたレイリもそりゃそうだろとなっている。


「イストっち~、無茶振りすぎるっしょ~。そんなの出来るはず――」

「うーん、できる……かも?」

「えっ? アルプスっち、今なんて……?」

「以前だったら無理だけど、この〝キルケーの精霊衣〟があればできそうな予感が……」

「ふふん、やはりそうか。俺の予感は的中というわけだな」


 自信満々のイストに対して、レイリは疑問をぶつけていく。


「いやいや、冒険者が数十人は入れる監獄を移動できる工房に改造するって、物理的に無理っしょ……」

「そこで魔術ってやつの出番だ。今まで前例が無いとしても、前例が無かった超レアな精霊眼持ちのアルプスがいるのならやれてもおかしくないだろう?」

「うっ、たしかに……」

「それに新工房を作らないと、アイゼンシルトの金属系加工も難しいし――」


 まだ工房の隅でボロボロで放置されているアイゼンシルトは、視線を感じたのか取れかけている手をブンブン振ってアピールをしてきている。


「冒険者たちの量産型モンスター装備も無理だし――」


 外で訓練をしている冒険者たちも話題に出たのが嬉しかったのか、ニカッとむさ苦しい笑顔を見せてきている。


「――加えて、移動できる工房にしないとすぐに居場所がバレて魔国から襲撃されてジ・エンドってことにもなりかねん」

「現状、それくらいしないと……あーしたちは厳しいってことか~……」

「別に厳しくはない。ハードモードな世界でも、どうにかできる手順が残っているのならイージーモードと変わらん」

「もう何を言っているのかわからないっしょ……でも、何か不思議とすごく心強い」


 そこへヤドカリから監獄部分を上手く切り離して、地面にズシンと置かれた音がした。

 それをやったのは最近見かけなかったウリエルだ。


「レイリオン姫様、イストさんはそう思わせてくれる人です。だから、もっとどんな人間か見ていくと良いです。良い面も、悪い面も、悪い面も、悪い面も理解できるようになっていきますから」

「ウリエルっち……」

「おい、ウリエル。俺の悪い面ばかり見すぎじゃないか?」

「こんな外見の装備じゃなかったら考えますよ」


 ウリエルはマントをピラッとめくって、ビキニアーマーを下に着ているというのを見せてきた。

 イストは我ながら良いデザインだと頷いた。


「さてと、俺のデザインセンスを褒めるのはここまでにして、そろそろ新工房だな。アルプス、ちょっと一緒に中を見て回ってくれるか?」

「うーん……あたしの装備の見た目でも言いたいことはあるけど、イストは聞く耳持たないからなぁ……。あー、はいはい、行きますよ」

「それじゃあ、内見にゴー!」

「ないけん?」





 中は監獄らしく鉄格子が嵌まっていたり、拷問器具があったり、ホラーっぽく血痕があったりする。

 それを見たアルプスはビクビクと怯えてしまっている。


「こ、ここを本当に新しい工房として使うの?」

「結構広くていいじゃないか。頑丈そうだし」

「いやいやいや……そういうことじゃなくて……」

「もしかして怖いのか~? そもそも、お前が着てるのだってオバケっぽいモンスターのリッチ素材だぞ?」

「それとこれとは別だわ!! 怖いものは怖い!! ホラー小説みたいだし!!」

「まぁ、鉄格子や拷問器具はジャマだからあとで外すし、壁や床も綺麗に塗り直せば平気だろ」


 イストは、オバケは特に怖くないというか、オバケすら〝八尺様〟や〝テレビから出てくる女〟などの可愛い模型のモチーフにしていたのもあってウェルカムなのだ。


「でも、精霊が集まっていてルーン文字が刻みやすそうなのはいいけど……〝キルケーの精霊衣〟と違ってモンスター防具じゃないから色々難しそうだよ。さすがのイストも目論見が外れた?」


 イストは聞く耳持たずに、指をパチンと鳴らして工具犬を呼び出した。


「さてと、これはただの建物じゃない。モンスターが背負っていたモノだ。それなら――」


 工具犬を巨大な電動ドリルに変化させ、壁に何かをし始めた。


「これは人間を閉じ込めるんじゃなくて、人間を包む――つまり防具! モンスター素材の防具にしてやればいいのだ!」

「そ、そんなの無茶だわ……」


 イストは、スマイルマークを壁に刻み込んだ。

 すると――。


「どうだ?」

「嘘でしょ……魔力の流れが安定して、増幅されてる……これならルーン文字を刻み込んで……圧縮……空間隔離……できる……移動工房……」

「そこらへんはプロのお前に任せる。俺は内部の設備をどうするか考えなきゃいけないからな。ククク……大量の資金と、魔術のプロがいるって最高だな!!」

面白い!

続きが気になる……。

作者がんばれー。

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<(_ _)>ぺこり

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