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モンスターを鎧にする仕事  作者: タック
第二章

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33/42

世界を救うToDoリスト

後書きで重要なお願いがあります。

ご協力をお願い致します。

 イストは、アイゼンシルトの採寸を終え、アルプスに〝キルケーの精霊衣〟を返し、それでもまだいるレイリが気になっていた。


「どうしたんだ? まだ俺に何か用か?」

「イストっちが紙に書いたリストがあったっしょ」

「ああ、アレか」


 これからの指標的に雑に書いたものだ。

 テーブルの上にあったので確認する。


「残りのリストは新工房作りと、監獄ヤドカリを使った防具作りだな」

「そこにやることを加えてほしいかなって……」

「やること? 何かあるのか?」


 イストとしては防具作りと、それが実行しやすくなる新工房作りくらいしか目標になかった。


「『世界を救う』……って最後に書いてほしい。それが本当にあーしがやりたいこと」


 レイリの口調はマジメだった。

 世界を救う――レイリは小さい頃から何度も口にしてきたが、冗談だと思われて笑われ続けてきたのだ。


『姫様は現実をわかっていない』

(……無理かもしれないっていうのはわかってる!)


『まぁそんな上の安全な立場からなら何とでも言えるよね』

(……じゃあ冒険者になる!)


『そんなことよりも王族の女としてのお役目を果たしなさいな』

(……勝手に婚約とか決めないでよ!!)


『圧倒的な魔国に囲まれた状態でどうやって?』

(……それは……それは……それ……は……)


 自分でも、どこか頭の中でわかっていたのかもしれない。

 突拍子も無い願いだと。

 絵空事を追いかけるだけの子供――それが自分だとも年々わかってきた。

 馬鹿正直に純粋な理想を掲げても、その力が無いのだ。

 城との中と違って、冒険者はその日生きるので精一杯だ。

 世界を救う、だなんて冗談だと思われてもしょうがない。


 レイリは急にそんな気弱な心が出てきて、つい言ってしまったことを取り消したくなり、おずおずと口を開きそうになったのだが――。


「世界を救う、か。面白そうだな」

「……笑わないの?」

「嘘を吐かず真剣に話してくれた奴を笑うかよ」

「イストっち……」


 ただし、とイストはレイリをビシッと指差した。


「これは俺のリストだ! お前の願いを書くリストじゃない!」

「う……たしかにそうだよね……」

「ちゃんと自分で書け、その方がやりたい事を整理できるだろ」


 イストは紙とペンを渡した。

 受け取ったレイリは真剣な表情で何かを書き込んでいく。

 そして見せてきた。


「なになに……機魔国の国境付近の村を奪還。魔国をどうにかする。世界を救う――か。三ステップがすげぇ勢いでぶっ飛んでるな!」

「か、書けって言ったのはイストっちっしょ」

「世界を救うのと、魔国をどうにかするのは現段階で無理だとしても、機魔国の国境付近の村を奪還か……」

「あ、あーし一人だってやるし……」


 そう言いつつ、レイリはチラッチラッとイストの方を見てくるのであった。


「いや、俺を見られてもなぁ。単体だとそこらの一般人寄りも弱いぞ、俺は」

「そ、それはそうだけど」

「だから、俺じゃなくて、俺以外にも聞けよ。なぁ、アイゼンシルト、アルプス――それと――」


 イストは工房の窓を開けて、大声で叫んだ。


「お前ら、機魔国に占領された村を救う気がある奴はいるかー!?」


 突然のことで一瞬静まりかえったが、彼らの返事は大きく返ってきた。


「当たり前じゃないですか!!」

「やってやりますよ!!」

「元々、そのために遠征に行ったんですからね!!」

「自分、あそこの生まれですから案内できます!」


 イストは外だけでなく、室内にいるアイゼンシルトとアルプスの方も見た。


「…………人類を守る、それが使命」

「あたしが英雄になるチャンスね!」


 最後に泣きそうになっているレイリを見た。


「――だ、そうだぞ? まぁ、俺も防具作りで協力してやるよ。主役って柄じゃ無いからな」

「ありがとう……みんな……、ありがとう……イストっち……」


 イストは久しぶりに恥ずかしいことをしてしまったと少しだけ後悔しつつ、自分のリストに追加で書き込んでいった。


「さてと、そのために俺もやることが出てきたな。現状だとモンスターたちに比べて、冒険者たちが弱すぎる」

「……で、でも、シルトっちとか、アルプスっちとか……う、ウリエルっちだっているし……」

「そりゃ例外だ。たった三人しかいないし、24時間動けるわけじゃないからな」

「…………当機は24時間動けますが、今は破損していますね」

「だ、そうだ。そこで冒険者たちの戦力の底上げが必要になるというわけだ。量産型のモンスター装備の作成だな」


 それを聞いていた冒険者たちが一斉に声を上げ始めた。


「オレたちも強い装備がもらえるのか!?」

「これでアイゼンシルトさんたちだけに任せずに戦える!!」

「見てろよ魔国の野郎ども!!」

「……でも、むさ苦しい野郎でビキニアーマーとか、脚に大きなスリットとか地獄じゃねぇか?」


 イストは順番に答えていくことにした。


「今までと同じ強さかどうか、というのは微妙だな。天啓が降りてきて作ったオーダーメイド装備と、誰向けでも無い装備は強さがかなり違う」


 イストが最初に作ったヘラクレスの籠手と、そのあとに作った装備とでは性能がかなり変わる。


「まぁ、それでもかなりマシになるはずだ。……で、残念ながら量産品は見た目に拘って作ってやれない……クソッ!!」

「いや、イスト。あたしの脚スリットとか、ウーちゃんのビキニアーマーとかは外見が逆にヤバいんだけど」

「あー!! 残念だ!!」


 アルプスの声は聞こえない。


「だが、安心してくれ! アイゼンシルトの装備は閃いている!!」

「…………当機は感情が無いので耐えられます」

「そうか、アイゼンシルト! そんなに嬉しいのか! まだ材料は足りないが、こんな感じにしようと思っている!」


 イストは設計図を広げた。

 そこには金属製の大きな盾と、巨大な脚甲、手甲が描かれている。

 しかし、ある一部分に全員が違和感を覚えた。


「…………マスター、なぜ胴体部分に鎧がないのですか?」

「メカ娘の胴体はレオタードだと古来から決まっているからだ、こうした方が性能が高くなると天啓が降りてきた」

「…………変態」

「お前、普通に感情あるだろ!?」


 アイゼンシルトは真顔だが、明らかに蔑みの声色になっていた。


「レオタード素材も少し集めにいきたいな……。っと、その前に新工房を作りたいところだ、加工がしやすくなるし、ここじゃアイゼンシルトのメンテも限界があるしな。そのための資金作りも……やることが、やることが多い!!」

「イストっち、そのためにギルド〝鋼鉄の守護者〟がいるっしょ!」

「そうだな、明日から忙しくなるぞ!」


・資金作り

・新工房作り

・アイゼンシルトのメンテナンス

・レオタード素材集め

・量産型モンスター装備作成

・アイゼンシルトの新装備


・機魔国に占領された村を取り戻す

・魔国をどうにかする

・世界を救う

面白い!

続きが気になる……。

作者がんばれー。

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<(_ _)>ぺこり

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