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モンスターを鎧にする仕事  作者: タック
第二章

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30/42

最強ギルドのリーダーになってしまった

後書きで重要なお願いがあります。

ご協力をお願い致します。

「ちょっと現状を整理させてくれ……」


 イストはいつものボロ小屋の中、頭を抱えながらそう言った。


「俺は異世界から転移させられてきて、勝手に期待され、そこにいるレイリオン姫と婚約をさせられたところからスタートしたわけだ」

「友達は〝レイリ〟って呼ぶから、イストっちもあーしのことはそう呼んでね」


 レイリオン・フォトン・ヒューランド。

 目の前にいる金髪ポニテの碧眼のお姫様だ。

 お姫様と言っても、今はアーチャーのような冒険者の格好をしているし、ギャルっぽい喋りなのでにわかには信じがたい。

 それでも、異世界人たちがお姫様扱いしているので本物なのだろう。

 イストとしては、勝手に婚約されてから一度も会ってないのでわからないが。


「で、俺は何のスキルも、魔力もなさそうだとわかったらカンパネとかいう大臣に婚約破棄+追放というコンボを食らったわけだ」

「それについては、全部決まったあとにあーしも聞いて驚いちゃったよ。カンパネ公爵、大臣の立場があるからってワンマンで色々と勝手に決めちゃうんだよね~。ぶっちゃけ、根回しが上手いから、あーしなんかよりも権力持ってるし」


 カンパネの奴を一発殴ってやりたいと思うが、防具作りの方に時間を使いたくもある。


「追放されたあとにモンスター素材を防具に転用できると気が付いて、そこから食い物で釣ったウリエルを実験台にして……」

「どうも、食べ物に釣られた実験台一号のウリエルです」


 茶髪ツインテール巨乳のウリエルは、自虐的なことを言いつつ真顔なのでちょっと怖い。

 着ているモンスター素材装備は〝アポロンの太陽鎧〟だ。

 外見を際どいビキニアーマーにしたのを、まだ根に持っているのだろうか。

 今も恥ずかしいのか、ビキニアーマーの上からマントを羽織って隠しているし。

 しかし、ウリエルは魔力強化で肉体を物凄く強くできるので、下手に茶化したらぶっ殺される可能性があるので黙っておこう。


「さらに防具に魔術を付与するために仲間になってくれたアルプス」

「手刀を首に打ち込まれて気絶して、誘拐されてきたんだけど」


 金髪ロングの貧乳の精霊眼持ちのアルプス。

 着ているモンスター素材装備は〝キルケーの精霊衣〟だ。

 これはウリエルのビキニアーマーと違って露出度は一部以外は抑えてある。

 コンプレックスの精霊眼を隠すような格好良いバイザーも本人のために作ってやったし、問題はないだろう。

 脚に大きなスリットが入って、太ももが丸見えになっているが些細な事だ。

 デザインの神がイストに囁いて、この形にしたら性能が上がると直感で思ってしまったのだから仕方がない。


「そんな感じでやっていたら、アイゼンシルトというメカ少女――こちらではゴーレムと呼ばれる70年物の人類の守護者をメンテして、ボス戦の助太刀に向かって倒したら――」

「…………マスターが今まで隠してきたモンスター鎧職人の正体が数十人の冒険者にバレて、その中に人王国の姫であるレイリオン・フォトン・ヒューランドもいたということですね」


 一見すると女子小学生が銀髪ショートに金と黒のメッシュを決めて、ゴツい鎧と大盾をコスプレしている格好に見えていたのだが――今はボロボロで内部のメカが見えてしまっている。


「まぁ、そこまでは良い」

「…………良いんですか?」

「いや、良くないけど話が進まないから飲み込むしかない。で、問題はそこからだ。俺の正体を知った冒険者がヒミツを黙っていてくれるというのはいいんだが……」


 実は周囲にいた――それこそボロ小屋の外にまで溢れている冒険者は口々に『命の恩人だからな!』『イストさんマジぱねぇっす!!』『この国を救う存在、それがイストさん!』などと口々に言っている。


「なぜかコイツら全員が俺をトップとしたギルドメンバーになるとか、意味がわからん……どういうことなんだよ……」

「そりゃー、簡単なことっしょ」


 ギャル姫こと、レイリは顔を必要以上に近づけて話してきた。

 距離感が近くて、根が陰キャのイストにとっては恐ろしい存在だ。


「現状、この国はもうダメっしょ」

「姫のお前が言っちゃダメだろ……色々と……」

「このヒューランド人王国は周囲をいくつもの魔国に囲まれていて、一方的に狙われているし」


 蟲魔国のトンボ型モンスターのリブレイド、死魔国のリッチ、機魔国の監獄ヤドカリ。

 イストはちゃんと覚えていた、素材として。


「数年前までは竜魔国が人王国と同盟を組んでたけど、それも解消されちゃったし」

「へぇ、竜か。素材として使ってみたいな」

「そ、それはダメです!!」


 なぜか急にウリエルが話に割って入ってきた。


「え、えーっと……竜はとても強いらしいので、戦わない方がいいですねー……」

「そうか、残念だ」


 もしかして、コイツよそ者らしいし竜魔国の関係者なのでは? とイストは勘ぐるも、やぶ蛇になりそうなのでそれ以上は追求しないでおいた。


「そういえば、少なくとも三国の強力なモンスターと戦った俺だから思うのだが――」

「戦ったのはあたしとウリエルさんだけどね」

「はいはい、わかったアルプス。……で、よく人王国は潰されずに耐えているな? アイツらが一気に戦力を出せばいつでも潰せそうに思うが」

「うーん、これはあーしの憶測も入るけど、たぶん漁夫の利を狙われるから大きな戦力を割けないんじゃないかなー」

「漁夫の利?」


 漁夫の利とは、二者が争っている隙に第三者が利益を横取りすることのたとえだ。

 こんな地球の故事由来の言葉でも翻訳されることに感謝をしてしまう。


「たとえば、魔国はお互いに戦争してないけど、それは平時だから。そこで蟲魔国辺りが全力を出して人王国を落としにかかったら、蟲魔国ががら空きになったところを死魔国と機魔国が攻め入るみたいな?」

「あー、戦略シミュレーションゲームでよく見る光景だな。よっぽどの戦力がないと相手の城を攻め落とすのは大変だ。協定を組んでいたとしても、一方的に破棄しないとも限らないからな」

「そうそう。なので、人王国は絶対に勝てないけど、生殺しで活かされ続けてるという最悪の状況ってわーけ。それでここからがイストっちのすごいところ!!」

「ん?」


 レイリはビシッと指を突き付けてきた。

 鼻に当たってむず痒いので止めて欲しい。


「モンスター鎧を着れば、普通の冒険者でも一気に強化されて一騎当千! しかも、それで倒したモンスターをさらに素材にして鎧を作るというサイクルで無限に増やせる!! イストっちは、まさに人王国の希望ってわけっしょ!!」

「いや、何度も言うけど、そういうのには興味がない。ある程度快適に暮らせて、防具を楽しく作れていればそれでいいしな」

「そこもまたイストっちの魅力! 下手に金銭欲とか、出世欲、性欲とかで動くような人間なら大変なことになってた! そんなちょっと変なイストってだからこそ、付いていきたいという冒険者がいるわけ!」


 レイリはグイグイ来ている。

 物理的にも来ていて、身体がこちらに当たっているくらいだ。

 さすがにイストでも恥ずかしいので逆にグッと押し剥がす。


「うーん、どうするかな……」


 イストとしては異世界人で、この世界の情勢やら何やらを聞かされてもいまいちピンとこない。

 そこで現地人のウリエルとアルプス、アイゼンシルトの三人に視線を向けた。

 三人は意図に気が付いたのか返事をしてくる。


「人王国が滅亡したら、人間種族であるイストさんも結構暮らしにくくなると思いますよ。魔国では人間種族が異質な扱いですし」

「あ、あたしは……クララお姉ちゃんがいる、この人王国を守りたいかも……」

「…………99%の確率でマスターがこれから選ぶ選択と、当機の選択は方向性が一緒だと結果が出ています。どうでしたか? 参考になりましたか?」


 さすがにイストも人間なので、ここで『人類滅亡してもオッケー』とは三人の前で言えない。


「くっ、同調圧力に屈してしまう……!! というわけで、好きにしてくれ。俺はこの生活が続けられるなら何でもいいからな」

「それじゃあ、イストっちはギルドマスターになってくれる?」

「ああ、なるなる」

「んじゃ、ギルドマスターとしてドーンと宣言よろ☆」


 イストとしてはキャラではないのだが、何というかもうやるしかないノリだ。


「じゃあ……俺、イストは――って、そういえば、偽名だから名字がないな」

「ヒューランドに転移してきたから、ヒューランドって名字にすれば良いとあーしは思うな~」

「おっ、そうか。じゃあ使わせてもらうか……。俺、イスト・ヒューランドはここにギルド〝鋼鉄の守護者〟設立を宣言する!」


 イストは柄にもなく拳を掲げていた。


 ちなみにこの場の何人かは『ヒューランドって王族の名字だから名乗ったらヤバいのでは……』と思っていたが、黙っていたのであった。

面白い!

続きが気になる……。

作者がんばれー。

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<(_ _)>ぺこり

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