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モンスターを鎧にする仕事  作者: タック
第一章

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幕間 平凡な冒険者視点の冒険

 世の中がつまらない。


「ユーダイ・コールマンさん、この依頼で良いんですね?」

「はい」


 俺の名前を呼ぶ受付嬢に返事をして、いつものように依頼へ出発する。

 この名前は大昔に異世界からやってきた奴にあやかって付けられたものだ。

 ようするに大勢が使ってる当時流行の名前、つまらない。


 依頼内容も下水道の整備をするおっさんを護衛するだけだ。

 これもよくあるつまらない内容。

 敵はスライムで、一撃で俺の装備する中古の革鎧を骨まで溶かしてくるし、中古の剣も効きにくいというつまらない上に面倒くさい敵だ。


 普通なら盾役の前衛+スライムに攻撃が効きやすい魔術師が向かう依頼だが、俺は剣も魔術もそこそこ使える魔戦士というタイプなので達成は可能だ。

 器用貧乏だが、こういう仕事をソロで出来るのは重宝している。


 それでも、この仕事は長丁場になった。

 前任のベテラン整備士は少し前のモンスター襲来で死んでいて、今回は新人整備士だ。

 モタモタと遅く、スライムと六匹も戦うことになってしまった。

 何だかんだ十時間くらい臭く暗い下水道にいた。


 地上に戻っても臭いが取れず、すれ違う奴らに嫌な顔をされる。

 まぁ、俺でも臭かったら反射的にそうするだろう。

 可愛い女の子や、がんばってそうな少年ならバックボーンを感じて応援するかもしれないが、死んだ目をしたおっさんだ。


 元は城勤めの兵士だったが、カンパネ大臣のご機嫌を損ねてクビになり、今は冒険者をしている。

 城勤めだったので、この国の現状も正しく把握してしまっている。

 圧倒的に戦力が劣る我がヒューランド人王国は、周囲の蟲魔国、不死魔国、機魔国――その他魔国に滅ぼされようとしている。

 風前の灯火ってやつだ。


 そんな状況で希望が持てるか?

 冒険者ギルドで受け取ったのは銀貨三枚。

 命がけで依頼をこなしてもこれっぽっちしかもらえない景気の悪さだ。

 そのまま宿に戻ってふて寝しようかと思ったが、ギルドで食事を摂っていくことにした。

 頼んだのは安い黒パンと野菜クズのスープだ。

 黒パンはそのままだと硬くて歯が折れそうになるので、野菜クズのスープに浸して食べる。

 かび臭いし、少し酸っぱい。

 敗戦国になりそうな現状、毎日がこんな生活だ。


 教会で地母神マザーバビロン様に祈りを捧げる奴も日に日に多くなってきているが、そんなものは助けちゃくれない。

 それでも心の支えにするしかないのだろう。


 本当に世の中がつまらない。

 努力せず言ってるなら殴られてもしょうがないが、それなりにがんばってもどうにもならない閉塞感からくる言葉だ。

 もうどうしろってんだよ。


 腹を満たすと泣きたくなってきた。

 おっさんが泣いても気持ち悪いからグッと堪える。


「かーちゃん……どうしてるかな……」


 俺はこの町の出身ではない。

 ここから離れた機魔国の国境付近側にあった村で生まれた。

 そこに年老いた母を残して兵士になったのだが、そのあとで凶報が届いた。

 故郷の村は機魔国に占領されたと。

 カンパネ大臣に何度も救援を頼んだが、そのせいで俺はクビになった。


 無力感、何も出来ない、生きているだけの屍。

 誰も彼もが似たような閉塞感を味わっているだろう。

 そんなクソみたいな世界だ。


「宿に帰って寝るか……寝ているときだけは何もかも忘れられるからな……」


 そのとき、ギルドの依頼募集の掲示板に貼られている一枚の紙に気が付いた。


「ん? ……これは……俺の故郷の村を冒険者たちで調査しに行く……? 調査団の責任者は――アイゼンシルト」


 世の中、まだ捨てたもんじゃないかもしれない。

まだある程度書き溜めはしてあるのですが、推敲もしてないので投降ペースが遅くなります。

無限に執筆出来て、風邪にも負けない超人になりてぇなぁ……。

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