勝利の余韻とギルド結成
後書きで重要なお願いがあります。
ご協力をお願い致します。
「い、イスト……。そんな優しい言葉と一緒に受け止めてくれるなんて……」
イストは「ん?」と思ってしまった。
よくやったな=使える素材を多く残したことを褒め称え、受け止めてやったのは作ったばかりの装備が汚れないようにしただけなのだ。
アルプスは何かよくわからないトロンとした目で頬を紅潮させているが、きっと疲れが出ているのだろう。
「そんなことより、今はモンスター素材だ!」
「え”っ」
アルプスから変な声が出たが気のせいだろう。
受け止めていた手をすぐに離して、動かなくなった監獄ヤドカリのところへ向かう。
「かなり巨大な図体だな……。撃ち抜いたところの傷口は小さく、ほぼ全部の素材を使えるな! 今度はこれでどんな装備を作るか……楽しみすぎるぜ!」
そこへ監獄から解放された冒険者たちがぞろぞろとやってきた。
たぶん監獄は魔力で強化されていて、宿主が死んだおかげで出られるようになったのだろう。
彼らはイストを指差しながら叫んだ。
「そ、その言いよう……もしかして、この凄い装備を作ったのはアンタなのか!?」
(やっべ、バレた)
つい素材を前にはしゃいでしまい、自分から秘密にしていたモンスター防具職人だと言ってしまったようなものだ。
それでも悪あがきをしてみる。
「い、いや~……なんのことかなぁ~……」
「アンタ、ウソが下手すぎだろ……目が泳ぎまくっているぞ……」
どうやら誤魔化せないらしい。
冒険者は二桁はいるだろう。
もうどうしようもない。
ここから広がってしまえば、この強力なモンスター鎧の作り手を求めて絶対に面倒なことになっていく。
そこへウリエルが翅剣をシュッと伸ばしながら、イストに聞いてきた。
「イストのモンスター鎧作りは人類にとっての切り札……大事の前の小事として、ここにいる冒険者たちの口封じをする……そうイストなら考えてますね?」
「いや、いくら俺でもそこまで過激じゃねーわ!!」
「じゃあ、頭部を強打して記憶を消しますか?」
「お前それアルプスにやって大変なことになっただろ……。けど、弱ったな……ここまでの大人数に知られるとは……」
イストが本気で悩んでいると、それまで黙っていた冒険者の一人が言った。
「イストさんって言ったか? アンタは命の恩人だ。オレは正体を誰にも喋らねぇ」
すると、次の冒険者も言った。
「オレも死んでも言わねぇ」
そこからは次々と口を開いていく。
「ああ、助けてくれた相手にそんなことはできねぇよ」
「感謝という気持ちしかないです」
「ありがとう、モンスター鎧職人」
イストは笑いながら、それでも険しい表情をしているウリエルに言ってやった。
「だってさ? ウリエルも、もうちょっと信じてやれよ、人間の一人一人をさ」
「……この過酷な世界で人類を生かすためには、そんな甘いことは言ってられませんよ……」
そう言いつつもウリエルは翅剣を収納した。
どうやら納得はしていないようだが、この場をどうこうしようというわけでも無さそうだ。
きっとSRPGで命中率99%でも可能性を潰しておきたいタイプなのだろう。
イストもゲームではその気持ちはわかるのだが、社会人経験としてはある程度の可能性を飲まなければいけないタイミングもあると知っている。
それにただ単純に、ここまで言ってくれる冒険者たちに熱いモノを感じる。
「…………その冒険者たちは信頼できる者たちばかりです」
「アイゼンシルト、歩いて大丈夫なのか?」
いつの間にか話を聞いていたボロボロのアイゼンシルトがやってきていた。
「…………手脚ははめ直したので平気です、戦闘はまだ無理そうですが」
監獄ヤドカリにこっぴどくやられていたので、パーツ内部が見えている状態になっている。
かなり痛々しい。
そのアイゼンシルトに対しても遠慮無くアルプスは質問を浴びせていく。
「アイゼンシルトさん、人間個人なんていくらでも裏切りますよ。いくらあなたが口で信頼していると言っても――」
「…………では、イストさん。貴方を当機のマスターと認定します」
「なっ!?」
「…………そのマスターの不利益になるようなことをしたら、当機が対処するとお約束します。これでどうでしょうか?」
「わかりました……。さすがに70年も人類を救ってきたあなたに、そこまでのことをさせたのなら信じるしかありません」
ウリエルも完全に納得してくれたようだ。
その場のピリピリとした空気も収まってくれた。
「って、俺がアイゼンシルトのマスターに?」
「…………はい。当機をメンテ可能で、特別なモンスター鎧を作れるという立場であり、それでいて冒険者たちを救うという心を持つマスターに相応しい方です」
(割と全部興味本位でやって、最初からそういう結果を狙っていたわけじゃないんだけどなぁ……)
「買いかぶりすぎじゃないか?」
「…………謙遜がすぎます。ほら」
そう言うと、冒険者たちが大興奮していた。
「あのアイゼンシルトさんをメンテだって!?」
「モンスター鎧って、さっきのお二方が装備してた超強くてイカしたデザインのだよな!?」
「助けてくれた恩、一生忘れないぜ!!」
イストは「お、おう」となってしまったが、悪い気はしない。
かなり照れくさいが。
「そうだ! オレたちでギルドを作ろうぜ!」
「ヒミツを共有する奴らでギルドか……面白そうだな!!」
「イスト団ってどうだ?」
「バカ! 正体がバレちまうだろ!!」
何か勝手に話が変な方向へと進んでしまっているようだ。
イストとしては収拾が付かない。
「あのクララさんの妹アルプスさんがいるから……幹部になってもらって〝鋼鉄の守護者〟の名前を引き継ぐってのはどうだ!?」
「いいな、それ!!」
「これで決まりだな!! オレたちはイストさんのヒミツを共有するギルド〝鋼鉄の守護者〟だ!!」
イストは、木の陰に隠れながら様子を窺っていたアルプスに話しかけた。
「お前、幹部らしいぞ?」
「な、なんでこんなことになってるのよ……」
「じゃあ、お前あの体育会系のノリ相手に『異議あり!』って言えるか? 俺は根が陰キャだから無理だ」
「あ、あたしも無理……」
そこへ、見知らぬ金髪ポニーテール少女がやってきた。
格好的には弓を持っているのでアーチャーの冒険者という感じだ。
「こういう上に立つ者は、どーんと構えているだけで良いっしょ。それでジューブン役に立つし」
「そういうものか……?」
「そうそう、そのくらいでダイジョーブ。あーしが保証するっしょ」
「ありがとう、ギャルな冒険者。少しは安心した。って、アルプス。急に地面に這いつくばってどうしたんだ? 蟻の巣でも見つけて楽しくなったか?」
アルプスは土下座のようなポーズをしていた。
その先にいるのは冒険者の少女だ。
「い、イスト……その御方はこの国のお姫様……レイリオン・フォトン・ヒューランド様よ……」
「は?」
「今日からあーしも、イストのヒミツを共有する〝鋼鉄の守護者〟に入ったからよろー☆」
面白い!
続きが気になる……。
作者がんばれー。
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<(_ _)>ぺこり




