幼女に大きな装備は浪漫
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イストは尻餅を付きながらも絡まっていた糸を解き、命の恩人である女の子が差し伸べてきた手を掴んだ。
「ありがと――うぉおっ!? 取れたぁッ!?」
女の子の片腕が取れてしまって、イストはビビり散らかしてしまった。
現代人が見ないなかなかショッキングな映像だ。
取れた腕の切断部分から血が――。
「うわああああ、グロ……くない。断面図的に人間じゃなくて……ロボットか?」
――血はまったく出ていなくて、金属のパーツのような物が見える。
「…………ロボット、その言葉は70年前に博士も使っていた異世界の言葉。当機を定義する言葉の一つ」
「俺はイスト、助けてくれて感謝する。ロボットさんの名前は?」
「…………当機を定義する言葉――名前はアイゼンシルトです」
少女――アイゼンシルトは少し間を置いて考えながらそう言った。
身長は小学生くらい――以前調べた小学生の平均身長的に140センチ程度。
髪はショートカットの銀髪に、金と黒のメッシュが入っている……もしかしてケーブルの色だろうか?
ここまででも結構珍しい外見だが、眼はよく見ると奥に時計で使われるトゥールビヨン機構――歯車が回ったり、薄いゼンマイ板がたわんだりしている。
取れた腕の内部から見えるパーツと合わせて、完全にロボットだと認識できた。
同時に、握った手は柔らかさも感じたので金属以外の素材も使われていそうだ。
色々と思うところはあるのだが――まずイストが気になったのは。
「アイゼンシルト、お前の装備はボロボロだな。防具性能が合わないのか?」
それを聞いて、今まで唖然としていたアルプスがツッコミを入れてきた。
「えっ、イスト。最初に聞くのそれなの? というか、あたし的にはゴーレムのことをロボットと呼ぶとか意味わからないし、Sランク冒険者のアイゼンシルトが帰還してきたというのも気になるんだけど」
「なんだ、有名人なのか。それよりも防具の壊れ方も気になるな。外部からかなりの量の攻撃を受けたように見える」
「や、やっぱり防具バカだわ……」
アイゼンシルトは小さな身体に似合わないゴツい鎧を着ていた。
これ自体はウリエルが初期に全身鎧を着ていたので、この世界の弱い防具は着込んで重装甲にしないと効果が薄いというので知っているのだが、何かが当たって砕けたような箇所が多すぎるのだ。
大盾も端の方だけでは無く、中心に近い部分でさえ砕けて穴が空いているところがある。
「…………それもあって、貴方を探していました。町を二度も救った英雄ウリエルの防具を作った――人類種イスト」
そこでイストはハッとした。
正体がバレたら面倒な事になるからだ。
カンパネ辺りが飼い殺しにしてくるかもしれない。
「お、俺は別に防具なんて作ってないけどなぁ~……」
しらばっくれようとしたイストだったが、アルプスの表情が『うわっ、嘘の演技下手すぎ……』と伝わってくる。
「…………根拠はあります。リッチの布の繊維が微量に付着しています。討伐から数日経った今、そうなっているのは素材を持っている人間である確率が95%です」
「繊維鑑定ってやつか」
繊維鑑定とは、目に見えないレベルの微量な繊維から、元がどの布だったかを調べるものだ。
日本では痴漢の時に被害者に触れたかどうか、調べる時に使うので有名だろう。
ライター時代に調べたことがある。
「どうだ、アルプス! 俺の嘘の演技が下手だったからバレたんじゃないぞ!」
「…………そちらも、さすがに当機が機械種族であっても察するものがありました」
「AIは〝悪〟ってはっきりわかんだね!! チクショウ!!」
***
イストとアルプスは、アイゼンシルトを連れて山小屋へ戻ってきていた。
小屋の雨もりを直していたウリエルが、その姿を見てかなり驚いている。
「い、イストさん。なんでSランク冒険者のアイゼンシルトさんがいるんですか。というか、ここに連れてくるってことは……」
「すまん、ウリエル。バレた」
「バレるの早すぎですよ!?」
呆れられてしまったが、人には向き不向きというものがあるのだ。
具体的には、イストは職人特化型すぎて器用に立ち回るのが難しい。
アイゼンシルトはペコリとお辞儀をする。
「…………初めまして。貴方がウリエルですね。町を守って、結果的に人間が減るのを防いでくださって感謝します」
「い、いえ。アイゼンシルトさんに比べたらまだまだです……」
ウリエルはワタワタと手でそんなことないというジャスチャーをして、あまり落ち着きがないようだ。
「あのウリエルが誰かに対して慌てるとか珍しいな」
「こ、このアイゼンシルトさんがどんなに凄いのか、知らないのはイストさんだけですよ! 70年前から人間を守り続けている冒険者のゴーレムさんですよ! 彼女がいなければとっくに人間の国は終わっていたと言われていて、特例でSランクの冒険者と認定されています!」
「うお、早口のオタクくんみたいなことを言い出した」
「そんな方がここに来たってことは、防具を作って欲しいってことですよね!! 絶対に信用できる相手ですし、悪用もせずに宣伝にもなること間違いなしですよ! さぁ、アイゼンシルトさんの防具を作りましょう!」
極端にテンションが高いウリエルに対して、イストは冷静に言い放った。
「いや、アイゼンシルトの防具は作らないが?」
「えっ!? 可愛い女の子相手なら脱がしてから喜んで防具を作る変態のイストさんが!?」
「人聞きが悪すぎる……」
アイゼンシルトも疑問に思ったのか訊いてきた。
「…………当機の防具を作ってはくれないのですか?」
「ああ、作らない。今のアイゼンシルトに着せる防具が見えてこない」
「…………そのような言い回しということは、あとで作る可能性もあるという人類的な捉え方でいいのですね?」
「まぁ、そうだな」
「そ、そうですよね、イストさん! よし、アイゼンシルトさん! いつものように服を脱いで全裸になってください! イストさんが採寸するので!」
「…………脱衣命令、了解」
「え、ちょま」
アイゼンシルトは鎧をガチャガチャと外し、下の衣服まで脱いで素っ裸になろうとしていた。
イストは目を覆いながら大声で叫んだ。
「児ポーッ!!」
面白い!
続きが気になる……。
作者がんばれー。
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<(_ _)>ぺこり




