アルプスとデート?
後書きで重要なお願いがあります。
ご協力をお願い致します。
イストとアルプスは町へやって来ていた。
目的としては、新装備を作るための裁縫道具を仕入れるためだ。
ちなみにウリエルは、ボロボロすぎて雨もりや隙間風が酷い作業小屋を修理するとかで、一緒には来ていない。
「ちょっと自分の裁縫道具を家から持って来て良い? 全部買うと余分にかかるし」
「ああ、別に構わない」
という感じで、アルプスの家に寄ることになったのだ。
スラムから離れていて立地が良く、平均的より上という感じの裕福さの家だろうか。
一階建ての一軒家で、小さいながらも庭がある。
たしかアルプスの姉クララがそれなりの冒険者パーティーに入っていたので、そのおかげだろう。
「ようこそ、ロゴシュピ家へ」
「お邪魔します」
木製のドアを開けて入ると、少し独特なニオイがした。
イストは転移前でも陰キャだったので、他人の家に入ったのは小学生の時以来だろうか。
人の家のニオイってあるよな、と思いつつも――何か薬臭かった。
「なぁ、アルプス。失礼なことを聞くかもしれないが、こっちの世界の家ってどこもこんなニオイなのか?」
「ニオイ? あっ、魔術触媒をたまに調合するから……」
アルプスは少し恥ずかしそうにしてしまっている。
何か悪いことを指摘してしまった気分だ。
まだ異世界に来て日が経っていないので常識という物がなかなか難しい。
「お茶とかいる?」
「いや、お構いなく。デートでもあるまいし」
「え~、本では男の人ってこういうのでデートに意欲的みたいに書かれてたんだけどなぁ」
「別にデートでも何でも良いが、早く装備を作りたいんだが……」
「そんなに素っ気ないとウーちゃんとデートしちゃうわよ?」
「はよ裁縫道具を持って来てもろて」
「はいはい」
アルプスは朴念仁相手に溜め息を吐いて、自分の部屋へ向かおうとしたのだが、途中で何かを思いだしたのか振り返った。
「あ、そっちの部屋にはお姉ちゃん――クララ・ロゴシュピがいるから気にしないでね」
「挨拶した方が良いか?」
「うーん……お姉ちゃんは最初のトンボ型モンスターの時にショックを受けて鬱ぎ込んでたんだけど、さらにリッチの時から……部屋に引き籠もるようになっちゃって……」
「そうか……。防具がいるのなら採寸しておくか?」
「あはは、いくら場を和ませるための冗談でも、姉を全裸にするとかぶん殴るわよ。……まぁ、ありがと」
アルプスは自室へ行ってしまったが、イストとしては割と冗談でなく本気だった。
最近はもう、良い防具があれば大体の問題は解決するのでは? という思考レベルまで変人になってきているのだ。
「待っている間、暇だな……」
他人の家にやってきた経験が少なすぎて、どうすればいいかわからない。
冷蔵庫の中を開けてみるか? いや、冷蔵庫自体がない。
スマホで時間を潰すことも、文庫本を読むということもできない。
防具作りをしているときはすべてを忘れる事ができるが、ここは確かに異世界なのだ。
今座って待たされている椅子や、テーブルも木製だが少し材質が違う気がする。
こちらの世界の家を内部から見るのは初めてなので、図々しいが少し見学させてもらうことにした。
椅子から立ち上がり、リビングの中を歩いて見ていく。
「細かな違いはあるけど、人間が使う物だからそこまでは変わらないな」
暖炉やランプ、棚や柱。
形や仕組み的にはイストが知っているものと変わらない。
SFに出てくる宇宙人のような文化の違いというのはない。
もしかしたら、イストと同じように地球からやってきた人間が文化干渉した可能性もある。
「お、この世界にも写真があるのか」
写真の歴史はそれなりに古いので、この世界の素材でも再現可能だろう。
「写真もあるのなら、逆にSF技術――ロボットとかあっても驚かないな」
そんな冗談を言いつつ、写真を眺める。
写っているのは、たぶん小さい頃のアルプスと、見知らぬ女性だ。
姉であるクララだと考えるのが自然だろう。
二人笑いながら、頬を寄せ合って楽しそうにしている。
「昔は暗い感じだと聞いていたけど、お姉さんといる時は楽しそうだな。仲が良かったのか」
「うん、自慢のお姉ちゃん」
いつの間にかアルプスが裁縫道具を持って横にいた。
写真を見ていて戻ってきたのに気付かなかったのだろう。
「悪い、暇だったから見せてもらってる」
「別に良いわよ。自慢のお姉ちゃんだからどんどん見ちゃって」
「そうか、良いお姉さんなんだな」
「きっとまた立ち直ってくれるって信じてるわ。だから、あたしも頑張ってる姿を見せなきゃ。お姉ちゃんがそうしていてくれたように。……って、文字とかだと簡単だけど、実際にやるのは大変」
「そうだな――そのためにはアルプスの防具が必要だな! 防具! 裁縫道具もそのためだ! つまり防具!」
「うわっ、急にテンション高くなってこわっ」
「さぁ、早く残りの裁縫道具も買いに行くぞ!」
「はいはい」
二人は家のドアを開け――アルプスは振り返って家の中に呟いた。
「今度は本の世界じゃなくて、外へ行ってくるね。お姉ちゃん」
***
「――って、先に天国の世界へ行っちゃうよぉぉおお!?」
「暴れ馬って初めて見たぞ!!」
店で裁縫道具を買い終わって、そろそろ戻ろうとしていた二人。
陰キャインドアのイストが歩き疲れて道ばたに転んでしまったところに、どこからともなく白い暴れ馬がやってきて大ピンチを迎えていたのだ。
「イスト、早く立ち上がらなきゃ!」
「うおおお!! 慌てたらさっき買った糸が脚に絡まってぇぇぇえ!!」
「なんであんたがヒロインみたいなことやってるのよ!?」
「冒険者に比べるとひ弱なんだから仕方がないだろ! アルプスこそ魔術師なんだから、バーンと魔術でどうにかしろよ!? 実戦的な魔術が不得意だからって、小さな火の玉を出して驚かせて進路を変えさせるとかあるだろ!?」
イストは必死の形相でまくし立てるが、アルプスはスンッと読書家の表情になった。
「向かってきてるのは白馬よね? 白馬と言えば文字的にすごいじゃない。王子様を乗せたりする代名詞だし。そんな白馬ちゃんに少しでも火傷させたらどうするのよ?」
「少しの火傷どころか、俺ぇ馬にぃ蹴られて死ぬぅ!?」
そんなやり取りをしていると、もう暴れ馬は二人の目の前に来ていた。
「ま、まさかシリアスじゃなくて、こんなギャグで死ぬのは嫌だぁー!?」
イスト絶体絶命のピンチ――そのとき、一人の小さな女の子が暴れ馬の前に立ちはだかった。
体格的には小学生くらいだが、不釣り合いなボロボロのゴツい鎧と身長を超える大盾を装備してる。
「お、おい!? お前も逃げないと危ないぞ!?」
「…………人間男性の推定死亡率95%、人類防衛開始します」
イストの予想に反して、女の子は暴れ馬を盾で難なく受け止めてしまった。
体重が軽いのか女の子が押される形になったので、馬の方も衝撃が少なく、そのまま無事のようで立ち止まって興奮を静めている。
「…………大丈夫ですか? 立てますか?」
女の子は何事も無かったかのように無表情のまま、イストに手を差し伸べてきたのであった。
面白い!
続きが気になる……。
作者がんばれー。
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<(_ _)>ぺこり




