新装備の輪郭
後書きで重要なお願いがあります。
ご協力をお願い致します。
ウリエルとアルプスの二人が風呂から上がってさっぱりした姿で戻ると、小屋の中には目を血走らせたイストがいた。
設計図にガリガリとペンを高速で走らせている。
「お風呂上がりましたよ、冷めない内にイストさんも――って、もう設計図まで進んだんですね」
「ああ、素材が俺に作ってくれと語りかけてきてな!! 今回はアルプス用のモンスター素材装備だ!!」
「え、あたしの?」
まったく予想していなかった答えにアルプスは困惑してしまう。
「……でも……攻撃方面の魔術は得意じゃないし、あんまり戦っても精霊眼が目立ったらみんなの迷惑にもなりそうかなって……」
「大丈夫だ! これを見てくれ!!」
イストがテンション高くバッと設計図を見せてきた。
そこにはプロが引いた図面のように繊細で、イラストレーターのように可愛く衣装が描かれていた。
「こ、これは!」
「まず頭部だ。これは精霊眼を隠すようにバイザーを付けてみた。特殊な素材――トンボ型モンスターの複眼を加工したもので、片側からは透過して、片側からは見えないマジックミラーのようになっている。全力で精霊眼を使いたいときはバイザーを左右に展開して耳当てのような形状にもできる!」
「な、何かギミックあるし、デザイン性もあるわね……無駄に凄い」
「模型作りでそこらへんは慣れてるからな! そして、バイザー以外はリッチの布装備を使った特殊ローブだ! 魔術師に求められる、集中力を阻害しない軽さとユッタリさ。それにモンスター素材で作った装備は魔力増幅と、頑丈さがあるからな!」
デザイン的にはてるてる坊主のような白いローブだが、各所に刺繍や宝石類などで情報量が調整されている。
「う、意外とオシャレで可愛い……」
「今回のリッチは宝飾品も持っていたからな、せっかくだから使ってみた! あとはこれの裏側にでも、例のルーン文字を仕込んでおけば、魔術的にも汎用性がでるんじゃないか?」
「たしかに……〝アポロンの太陽鎧Ver2〟はルーン文字が物凄く馴染みやすかった……。何かいけそうな感じがしてきたわ……けど――」
アルプスは赤面しながら、そのローブの下半身部分を指差した。
「何か太もも横のスリットがエグくない!?」
「素材が語りかけてきて、その形にしろって言ってきたんだから仕方がないだろ」
「意味不明よ!? それにこれ、絵だとローブ以外が全裸なんだけど……」
「残念、リッチ布が足りない」
「そ、それだったら虫素材でも……」
「さすがにそれは気が乗らない。そんな組み合わせをするなら俺は作らん」
「…………」
アルプスはあまりの思考の違いに、ただポカンとして無言で立ち尽くしてしまう。
「ほら、やっぱり防具作り以外は何も考えてないですよ、イストさんは。事実は小説よりも奇なりというやつです」
被害者第一号のウリエルは、アルプスの肩をポンと叩いて悟った眼をしていた。
――そこから実際に作る段階に入った。
しかし、いきなりこれを作るのは困難だ。
イストとしては、コスプレ衣装作りの手伝いはしたことがあっても、丸々一着作れるくらい裁縫に精通しているわけではない。
「あたし、家に籠もってたから裁縫はけっこう得意よ」
「お、マジか。アルプス、教えてくれ」
「え~……あの着たらヤバそうな服のために……」
「教えてくれ、頼む」
イストは頭を深々と下げて、アルプスは慌ててしまった。
「ちょ、止めてよ。そんな頭を下げなくてもいいから!」
「教えてくれるなら土下座でもするぞ。作りたい防具が作れるんだ、それくらい安いもんだ」
「はぁ~……わかったわよ。そういうところは真摯なんだから……」
「本当か! ありがとう!!」
イストはあまりの嬉しさに、アルプスの小さな手をギュッと握ってしまった。
「あ、あたし自身の装備でもあるし、ちゃんと作ってもらいたいだけ……」
「そうか! そんなに好きなんだな!!」
「す、好きだけど……」
「うんうん、あの装備がそんなに好きだなんて、考えてよかったぜ!」
なぜかアルプスは赤面して、バッと手を離して一歩下がってしまった。
「ん? どうした?」
「な、何でもないわよ!! ほら、必要な裁縫道具はリストに書いておくから、町で買わないと!」
「買う……買わないとかぁ~……」
「どうしたの?」
「金が……ないッ!」
「え?」
これからというときに、世知辛い現実が待っていた。
よく考えなくても、モンスター素材装備をまだ誰にも売っていないのだ。
そんな現状で金があるはずもなく。
そこへ救いの女神であるウリエルがボソッと呟いた。
「リッチを倒したので報奨金が出ましたよ」
「助かる!! 神様、仏様、ウリエル様!! そういえば、ウリエルって天使っぽい名前だな」
「そうですか? 気にしてませんでしたが」
「ヒモ生活、最高だぜ!!」
それを横目にアルプスは『この人……大丈夫かなぁ……』と少し心配になるのであった。
面白い!
続きが気になる……。
作者がんばれー。
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<(_ _)>ぺこり




