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モンスターを鎧にする仕事  作者: タック
第一章

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18/42

悪役二人が高笑いしていると?

後書きで重要なお願いがあります。

ご協力をお願い致します。

 ――一方その頃、カンパネとディストールは密談を(おこな)っていた。

 場所は美術品が多く並べられたハイソな室内だ。

 優雅にティーカップを持ち、テーブルを挟んで座る二人は異形の見た目さえなければ貴族に見えなくもない。

 実際は貴族の格好をした昆虫人間とフランケンシュタインの会談だが。


「ディストール殿、不死魔国からご足労頂き、誠に感謝――」

「ふふ、我らは同盟を結びし者。そんなに堅苦しくならないでいただきたい」

「まぁ、それもそうか。いやはや、こちらでの暮らしが長いと人間の礼儀作法というモノが染みついてしまってな。ここでの楽しみも、このように人間たちの美術品を蒐集したりな」


 室内にはカンパネが大臣の立場を利用して集めた絵画や、壺などが飾られていた。


「ほう、かなりの量ですね」

「集めすぎて、いくつかの場所に分散して置いてあるんだ。ここもその一つで、別宅代わりにも使っているがな。人間というモノは家畜以下だが、それが生み出した美術品というのはなかなかに楽しめる」

「趣味があるというのは良いことですよ。私も人間がどう壊れるのかというのを趣味としておりますので」


 どこか通じるところがあるのか、カンパネは親近感を抱いた。

 立場的に似ているというのもあるだろう。


「さて、本題に戻ろう。協力関係にある二国。今回は我ら蟲魔国が内部から崩し、貴公ら不死魔国がさらなる混乱を起こすという手はず」

「ええ、イージー過ぎでしたよ。手強いS級冒険者アイゼンシルトもいないので、幻術も思うがままにかけられましたし。ああ、一人だけイレギュラーもいましたが、戦闘力皆無だったので平気でした」


 二人は異形の笑みをニヤッと浮かべる。


「わたくしたち魔族にかかれば、人間など赤子の手を捻るよりも容易い相手……ククク……ハハハハハハハハ!!」

「そうですね。吾輩たちと比べると脆弱すぎて愛らしい存在……それが人間……フフフ……ハハハハハハハハ!!」


 カンパネとディストールの高笑いが同調していたのだが――。

 ドゴォッ!! と壁が砕け散ってウリエルが飛び込んできた。


「「……は?」」


 カンパネとディストールは驚きすらハモってしまっていた。

 幸いなことに砂ぼこりで視界が悪かったので、カンパネは一瞬で人間に化け、ディストールは幻術を使ったのかその場からすぐ消え去っていた。


「あ~、そこにいるのはカンパネ大臣さんじゃないですか」

「き、貴様は頭おかしい格好をした露出狂冒険者のウリエルか!? なぜここに、というかなぜ壁をぶっ壊して入ってきたのだ!?」

「町に攻めてきたリッチたちを全滅させた拍子に、飛行のコントロールが上手くいかずに勢い余って突っ込んでしまいました」

「はぁーッ!? リッチたちを全滅させてしまっただとぉー!?」

「あれ、リアクション的に全滅させちゃ不味かったですか?」


 カンパネはハッとした。

 つい魔族側の立場として喋ってしまったのだ。

 コホンと咳払い一つしてから言い直す。


「い、いや、あまりのことに驚いて気が動転してしまったのだ。うむ、よくやったウリエル。とても良いことをしたぞ、うん」

「じゃあ、何か突っ込んだときに美術品を壊しちゃったんですけど、これもモンスターを倒すためということでチャラですよね?」

「わたくしの美術品がぁー!?」

「あと、何かカンパネ大臣さんの銅像も四分割してしまいました」

「銅像もーっ!?」


 カンパネの顎が外れるほどショックを受けているリアクションに対して、さすがにヤバいと思ったのかウリエルは「……じゃ」と、そそくさと退散した。

 残されたカンパネは憤怒の表情を見せる。


「おのれぇ、人間めぇー!!」




 ***




 小屋で待っていたイストは、ウリエルとアルプスが帰ってきてホッとしたのだが――。


「なんでそんなに二人、仲良くなっているんだ?」


 無表情のウリエルに対して、笑顔のアルプスが抱きついて離れない状況だ。


「私は、ただ戦っただけです」

「ウーちゃんはあたしの英雄!」


 イストは事情も分からず、疑問符を浮かべるしか無かった。


「あたしの八つ当たりみたいな言葉も全部赦してくれて、本の中の英雄……いえ、それ以上のことをしてくれたのよ!」

「おー、ウリエル。お前良いことしたんだな」

「いえ、別に元から私はアルプスの言葉には怒ってませんでしたし、戦闘の成果はこの鎧のおかげですし……。まぁ、今度は人的被害を出しませんでしたよ、これで満足ですか?」

「うん、すごかったよ! ウーちゃん!」


 あのウリエルが珍しく押されている。

 その迷惑そうな表情で、イストは少しニヤついてしまう。


「そもそも、ウーちゃんってなんですか」

「私の方が年上のお姉ちゃんだし、妹がいたらこんな感じかなって思っての呼び方」

「確かに年は二歳差ですが……」

「背もちょっとだけ高いし!」

「うーん……」

「でも、すごく強くて格好良い!」

「それは素直に嬉しいですが」

「戦って汚れたし、一緒にお風呂に入りましょうよ!」


 何やら女子二人でワイワイキャッキャしているが、イストは聞きたいことがあった。


「いや、それよりもリッチを倒したなら、素材があるだろう?」


 アルプスが嫌そうな表情で見てきた。


「い、一応……収納魔術で持って来たけど……使うの? すっごく不気味だわ……」

「もう虫モンスター素材を使ってるんだから、お化けでも何でも使えるなら使う」

「うぇ~……」


 アルプスは観念したのか、収納魔法を解除してドサドサとリッチの素材を落としていく。

 あったのは骨と杖とボロ布の固まり、それと少数の貴金属アクセサリーだ。


「素材も虫モンスターとかなり違う感じだな」

「不死魔国のモンスターなので、種類はアンデッドね」

「ふむ……これをどう使うのか素材と相談するから、もう風呂に入ってきていいぞ。どうせ何かあると思って沸かしておいた」

「イストさん、準備がいいですね。ありがたくお湯を頂きます」


 イストは返事もせず、リッチ素材に目を向けていた。

 遠ざかっていく足音……だが、ふと気が付いたらアルプスだけはその場に残っていたのだ。


「ん? どうした?」

「あ、あの……あたしのために土下座までしてくれてありがとう……」

「チッ、ウリエルの奴……余計なことを……」

「ウーちゃんが英雄であるなら、イストは英雄を綴る作家さんみたいなもので、どっちもすごいと思うわ」

「んな、大げさな。俺はただ防具が――」

「二人の手があたしを闇から救い出してくれた。文字だけじゃなくて、実物もいいなって……本当は嫌だった精霊眼に少し自信を持てるようになった。これはお礼――」


 チュッ、と頬にキスをされたイストは驚いて目をパチクリしてしまう。

 思考がフリーズしていると、すでにアルプスの姿はなかった。


「え? 何でキスされたんだよ、俺? 基本的に防具作るために行動してるだけだぞ……」

面白い!

続きが気になる……。

作者がんばれー。

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<(_ _)>ぺこり

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