表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男も女も湘南ライドで恋を語る勿れ!  作者: 三ツ沢中町
第十章 新たな物語の始まり
PR
317/321

第315話 私たちの未来

秀一郎の勢いに押されそうな春風は、香山に助けられる。

さてこのあとどんな展開が待ち受けているのか?


 秀一郎の背後に香山先生が現れる。

「ねぇ羽柴くん、ちょっとその言い方、暴力的な感じね。君の内申点に影響出るかもよ」

 香山が放った言葉に、秀一郎は困った顔つきで春風に「無礼な態度お許し下さい」と一礼したあと、鞄を抱えて走り去った。

 

 アイツ、無礼だと知った上であの態度なんだ。

 何なんだ、いったいさ!

「先生、助かりました」

「まぁまぁ。それにしても早乙女くんも大変だね。羽柴くんに好かれてね」

 えっ!

「好かれてる訳ないじゃないですか」

「そうでもないと思いますよ。あれは一種の愛情表現じゃないのかしら?」

「んな訳?」

「キミに憧れてるんじゃないかな?」

 何を言うかと思えば……香山先生、不思議ちゃんですか?

「あるはずありませんよ、憧れなんて」

「そうですかね? 案外キミと試験で戦うことに生きがいを感じてるみたいで、嬉しいんだよ、きっと」

「えええ……まさか」

「だって、嫌いな相手にさ、話しかけたりしないでしょ?」

 んんん……言われてみれば確かにそうですが。

 

 そこに雪と結奈が近づいて来てこう言った。

「あら、モテまくりの学生さん、お疲れ様」

「おっ、雪か」

「先生の言うとおり、あの目は憧れの眼差しかもね? うふふふ」

「おいおい辞めろよ! 気持ち悪い」

 秀一郎、困った奴だよ、まったく!

「ねえ、早乙女くん、このあと予定があるんだよね?」

 と結奈が春風を急かすように雪との会話に口を挟んだ。

「あっ、そうそう、予定があったよ。突然ですが、みなさんさようなら!」 

 と春風はひとり足早に退室した。

 

「ねぇ、結奈、春風の予定って?」

「予定? 何だろうね? 知らないけどね」

 早乙女くん、紗矢香さんに上手く話してね。

 


 パーラー七里ヶ浜で待ち合わせ

 

 

「カランカラン」

「いらっしゃい……彼女さんが二階でお待ちよ」

「ありがとう、じゃあ」

 春風が急足で階段を駆け上がる姿を見送った店長美涼はひとり呟いた。

「何かは知らないけど、頑張んなよ! 春風くん」

 

 タッタッタッタッと二階へ駆け上がり、紗矢香の制服の後ろ姿を見つけて立ち止まる。

 

 ドクン、ドクン、ドクンドクンドクンドクドクドクドク……。

 

 彼女が視界に入った瞬間から、

 鼓動が早くなる。

 この感じって、

 紗矢香に初めて声をかけた時の緊張と同じだ。

 今は恋人なんだから、

 こんなに緊張しなくても良いはずなのに、

 体が勝手に反応しているんだ。

 どうしたら?

 呼びつけておいてあれだけど、

 やっぱこの場から逃げたくなる。

 悪いことしてるつもりないけど。

 

 その時、紗矢香がペアブレスの共鳴に気付き、後ろを振り返る。


「春風、どうしたの? そんなところで突っ立ってさ」

「あっ、ちょっと緊張って奴かな?」

「うふふふ、面白いよ」

「そう、なのかな?」

 さっきまでの言いようのない緊張はどこかに消え去り、気持ちが楽になっていくのを感じた。

 

 ちょっと話せたら、いつものふたりに戻れた気がするよ。

 

「待った?」

「今来たところだよ」

「良かった」

「ねぇ、ところで引越し先はどう?」

 どうって、常盤さんから聞いていないのかな?

「そう、そのことなんだけど……」

「何かあるの?」


 常盤さんから聞いてないんだな……どうする? 

 言うべきかどうか……言おう、隠し事はなしだ。

 変に誤解されるより、事実を伝えよう!


「驚かないで聞いて欲しいんだ」

「えっ何? 改まってさ」

「引越し先のことなんだけど、実は女子大生のシェアハウスだったんだ」

「……女子大生ね」

「誤解はなしだ、彼女たちとは何もないし、ほら、これって女子寮の時と同じで、名前で間違えられたんだ」

「市川先生にお願いしていた新居なんだよね?」

「そうだよ」

 紗矢香は僕の頭に手を載せ、ちょこんと撫でながらこう言った。

「ちょっとだけね、心配してたんだ」

「えっ?」

「結奈ちゃんから聞かされた時ね、正直、信じられなかった。春風が他の女性と屋根の下で暮らしているって」

「……ゴメン」

「春風から直接聞いたとしても同じ気持ちになっていただろうけど、でも一番に聞かせて欲しかったよ」

「そうだね……でもこの事実が知られないうちに再転居できたらと思っていたよ。これは本心だ」

 

 紗矢香は一度姿勢を正したあと、春風に頭を下げた。

 

「何、どうしたのさ? 急にそんなかしこまってさ」

 紗矢香は春風の視線を外しながら呟いた。

「これから私たち、どうすべきなんだろうか?」

紗矢香 女子大生との生活は楽しいのかしら?

春風  楽しいとまでは言えないかな?

紗矢香 結奈ちゃんのお姉さんから聞いたわよ。

春風  聞かれて困ることは何もしてないし。

紗矢香 次回の私たちどうなるのかな?

春風  神のみぞ知る展開か?

紗矢香 神じゃなくて私たちが決めることなのよ。

春風  いや、中町先生が決めることだよ。

紗矢香 そうね、先生、無茶しないで下さいね。

中町  ・・・神のみぞ知る、かな?

春風  えええー!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ