表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男も女も湘南ライドで恋を語る勿れ!  作者: 三ツ沢中町
第八章 過去と未来の狭間
286/290

第284話 事故

 交通事故

 

 その日の午後、春風は小雨になるのを待ち、自転車で自宅である女子寮に向かいペダルを回し始めた。

 しばらく走るうちに、雨は予報通りあがったが、路側帯に時折現れる段差にひっかかりコントロールを失い、春風は転倒し意識を失ってしまった。


 しばらくして救急隊が救助に現れ、意識の戻らぬ春風は平塚国際医療センターに搬送された。

 病院では所持していたバッグの中から学生証が見つかり、鎌倉学院へと緊急連絡が入り、そこから春風の父、翔子へと救急搬送されていたことが伝えられた。

 たまたま翔子は紗矢香と一緒にいたことから、紗矢香はライメイ650に翔子を乗せ病院へ向かう。 途中、翔子は詩織に電話で事情が伝え、タクシーで病院に向かうよう指示をした。

 

 医療センターに着くと、ふたりは受付で案内を受け、春風が救急病棟に運ばれていることを知る。

「紗矢香ちゃん、とりあえず行こう」

「ええ」

 翔子は今にも泣きそうな声で紗矢香に声をかけ、紗矢香もとても心配そうな顔つきで翔子に続いた。

 春風はICUに入っていて、まだ、意識が戻らないようであった。

 ふたりは親族控室のベンチシートに並んで座った。

「春風くん、大丈夫だよね?」

 紗矢香が不安をかき消すように翔子に問いかける。

「大丈夫、あの子は強い子だから」

 と翔子は、心配な気持ちを敢えて振り切るように答える。

「今にも雨になりそうな天気だったのに、私、小田原に行ってくるって言った春風くんを止めていれば、こんなことにはならなかったのに……本当ごめんね」

「紗矢香ちゃんが悪い訳じゃないから、そんな風に言うの、よそうよ」

「うん」

「あのね、さっき小田原に行ってるって言ってたけど……昨日のお昼は春風とパーラーであってたの。なのにどうしてそこから小田原に言ったのかしら?」

「確か……幼馴染の子の家に行くって」

「真田さんのところよね?」

「そうね、でも他に目的があったみたいなんだけど……聞いてはいないの」

 じゃあ、あなたはどうして小田原へ?

 まさか……堂島からの手紙に書かれた母に会いに行くために、私の自宅に?

 ここまであなたが知ってしまったのなら、私の存在をあなたに隠す必要もないのかも知れないわ……。

「ヴーヴー」

「はい、あっ父さん……今病院についだけど、春風はまだ意識戻んなくてICUなの」

「そうなのか……詩織も時期に到着するから……詩織にはまだ翔子が異母姉妹のことは話してないから」

「わかってる」

「すまんな、気を遣わせて」

「春風も恐らく私のことを勘付いているし、もうこれ以上隠し通すのは厳しいよ」

「そうだな。お前たちが生きていることを、堂島の手紙から知ってしまったのだろう。そして、春風は堂島が自分の父親だと思ってしまったのかも知れないしな」

「そうだね」

「今、新幹線に乗ったところだから、そうだな、十九時にはそっちに行けるから、その時に話そう」

「わかった」

 翔子は紗矢香を見ながらこう話し始めた。

「今まで黙って、いや、嘘をついていてごめんね。実は春風は私の実の弟なの」

「……そうなんですね。でも、どうして黙っていたの?」

「これには複雑な事情があってね」

「詩織ちゃんは翔子ちゃんとは姉妹ではないの?」

「詩織ちゃんは血のつながりのない妹なの」

「そんな大事なことを、私が聞いてしまって良かったの?」

「春風が父や私を遠ざけるかも知れないし、その時は春風を支えてあげて欲しいから……」

「わかったよ」

「ありがとう」

 そこに詩織がやって来た。

「紗矢香さん、翔子さん、お兄ちゃんの意識は戻りましたか?」

 翔子が首を横に振る。

 紗矢香は、不安そうな顔をした詩織を抱きしめた。

「お兄ちゃん、もうダメなのかなぁ」

 と泣き出した。

「大丈夫だよ。春風くんは不死身なんだから、心配しないで!」

 と言い聞かせるも、紗矢香も心配でたまらない。

 

「ご家族の方見えますか?」

 と看護師が控え室に来て声をかけた。

「私と妹がいます!」

 と翔子が声を上げた。

 ICUで医師から説明があった。

「検査では頭の中の出血はないようですし、バイタルも安定しているようですから、時期に意識が戻ると思われます。ですのでHCUで様子を見ていこうと思います」

 これを聞き、ふたりはホッとして抱き合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ