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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二十五章 女帝の塔は三回目の年越しをします!

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466:レイチェルさんにも報告します!



■レイチェル・サンデボン 71歳

■第450期 Sランク【世界の塔】塔主



 塔主戦争(バトル)の二日後、私とセラは『会談の間』におりました。

 シャルロットさんが早めに時間を作って下さいましたのでね。お忙しいところ無理を言った格好です。



「――という形で何とか勝つことが出来た、という感じです」


「なるほど。相手の失策もあったようですがこちらの策も実ったというところですね」



 大体の流れはお聞きしましたが、いくつか【節制】らしくないと思えるミスも見られます。

 要所要所では「さすがは【節制】のアズーリオ」と思える部分もあるのですがね。

 手痛い失着をしたところで上手いこと返されて、そのままズルズルと敗戦への道を辿った……そういう風に聞こえます。


 まず局所戦力ばかりのこちらに対して高ランク魔物で固めた部隊を当てるという前提が違うのですが、それはまぁいいでしょう。

 塔主であればそう考えるのが自然ですからね。アズーリオを責められません。


 バラバラなはずの固有魔物たちがまとまるというのは、本来ですとありえません。

 魔物には個性があり、塔によっても個性がありますので同盟の部隊となっても上手く連携をとることは非常に困難なのです。

 塔と塔とは競い合い、争い合うものというのがバベル不変の摂理なのですから。同盟であっても同じことです。


 ところがシャルロットさんたちの場合は塔主同士の信頼が厚く、非常に距離が近い。

 魔物が塔主に従うよう召喚されている以上、塔主の意向を酌むのは当たり前で、それによって魔物同士が連携をとりやすい土壌が出来上がっているのだと思います。

 それに加えてエメリーさんの<統率><指揮><教育>がある。

 同盟戦力の中心たる【女帝】の魔物がスムーズに部隊化することで同盟の魔物をまとめることも出来ていると、私はそう思いますね。


 それをアズーリオに考慮しろというのは無理なこと。

 従って、連携をとりやすい高ランクの魔物を固めたというのは理解出来ます。

 ただそれが他の同盟に対しての正着であっても、シャルロットさんたちに対しては失着であったというだけですから。



 それよりも【赤の塔】の六階層で『長距離攻撃』の限定スキルを使ってしまったというのが最大のミスですね。

 油と火で混乱状態にあった。その上で指揮官が使うことを選択してしまったのだと思いますが、なぜ勝手に使ってしまったのか、なぜ使うなと厳命しておかなかったのか、そこが疑問です。


 スキルを無効化する例の亜人を守るためでしょうか。

 確かにあの魔物は切り札の一つですが、それ以上の切り札は『長距離攻撃』なのですから見せてしまってはダメでしょう。

 もしその限定スキルを上層まで温存されていたら【赤の塔】の防衛はもっと困難になっていたでしょうし、翻って【節制の塔】の攻略も難しくなっていたと思います。



 まぁそれもエメリーさんを控えさせている時点で無駄かもしれませんがね。

 そこはエメリーさんを後詰めとしたアデルさんたちを褒めるべきでしょう。よく我慢しましたねと。



「エメリーさん、もし攻撃陣として配属されていたらどうしていましたか?」


「『光の檻』と『長距離攻撃』を同時に仕掛けられていたら無事では済まなかったと思います。ただわたくしがそこで消えても同盟の勝利は変わらなかったでしょう。全ての切り札を早期に切ることになりますから」


「それはどうですかね。シャルロットさんは大いに混乱するでしょうし、並ぶ塔主にもそれは伝染しますよ? そうなれば指揮も乱れるでしょう」



 シャルロットさんは難しい顔をしていますね。図星というのもあるのでしょうが、エメリーさんが亡くなることが想像つかないという風にも見えます。

 いけませんね。バベルの塔主ならばいかなる時も冷静でいなければなりません。



「おそらく問題ないと思います。攻撃陣にはその辺に関してドライなジータ様がいらっしゃいますし、ハルフゥは冷静な指揮を継続出来るでしょう。魔物にとって生死など日常茶飯事なのですから」


「そこまで信頼しているのですね。ならば何も言うことはありません」



 とは言ったものの、どうですかね……確かに攻撃陣は戦えるはずですが、エメリーさんがいなくなる影響というのは魔物にとっても大きいはずです。

 スキルどうこうではなくエメリーさんには『統率力のある存在感』がありますからね。乱れが出ないとは思えません。


 今は「そういうことも起こりえた」とシャルロットさんに考えてもらえればそれでいいです。

 エメリーさんは決して無敵の存在ではないと、頭の片隅にでも入れておいて下さい。


 【節制】側が勝つ最低条件はまさしくそれで、『エメリーさんを斃すこと』だったと私は思っています。


 そのためにはエメリーさんを前線に立たせる必要がありますし、そこで限定スキルを使う必要があります。

 前情報なしで不意打ちのように『光の檻』と『長距離攻撃』を使われれば、いかにエメリーさんと言えども無事では済みません。

 そこで一気に畳みかけるように戦力を投入する――これが勝ち筋だったと思います。


 つまり戦う前の作戦を決める段階で、ほとんど勝負はついていたのですよね。

 エメリーさんを前線に立たせないという決断をした時点で。それをシャルロットさんが了承した時点で。


 あとはもう例の亜人を使ってエメリーさんをおびき出すくらいしか手はありません。

 油と火で混乱している場合ではなかったのですよ。

 むしろそこで弱っていると見せかけて、エメリーさんに仕掛けさせるくらいでなければ。

 そうすれば亜人を囮にしてエメリーさんに攻撃出来ます。少なくとも不意打ちで『長距離攻撃』くらいは使えたでしょう。


 ということで【赤の塔】六階層での対処を間違った、というのが直接的な敗因だと思いますね。

 逆に言えば、対処を間違った所をちゃんと突けた、これがシャルロットさんたちの勝因だと思います。



「それで例の亜人はどなたの眷属にするのですか?」


「……エメリーさん、言っても大丈夫ですかね?」


「問題ないでしょう。おそらく新年祭のパレードに出すでしょうし」


「ああ、なるほど。ええと、シルビアさんにお譲りしました」


「そうですか。弱いところを補強する形ですね。まぁいいでしょう」



 同盟全体での諜報対策に重きを置いているということですね。

 どちらかと言えば諜報よりも塔主戦争(バトル)中に使われる限定スキルのほうが厄介であるとは、シャルロットさんも分かっているはずです。

 しかしそれを言ったら六塔全てが欲しいという話になりますし、同盟全体として考えるしかなかったというところでしょう。



「【女帝の塔】の限定スキル対策はどうするのですか?」


「恥ずかしながらどうにも出来ないというのが現状ですね……いい感じの固有魔物を手に入れられれば、とは思っていますが」


「それかもう、あとは<女帝の号令>に賭けるしかないですね」


「600,000TPですか……いつになることやら」



 あまり急がせるとまた「塔主戦争(バトル)して一気にTPを稼ごう」とか言い出しかねませんので控えておきます。

 しかし【女帝の塔】の限定スキル対策は私も気掛かりなのですよね。

 それがあれば私もある程度は安心していられますから。



「ミカエルはどなたが?」


「アデルさんですね。パレードにも出すんじゃないかと思っていますが」


「来年はウリエルも出すと仰っていましたよね? ということは……益々【聖】同盟から目を付けられますね」


「ああ、そうですね……でも今さらな気もしますし、そこは気にしても仕方ないと思います」



 二体の大天使を並べるとなると【聖】同盟のお株を奪うようなものですからね。

 向こうも【聖光の天使メタトロン(★S)】と【純潔の天使ラグエル(★S)】がおりますが、創界教に引けをとらないと周知させるようなものですし、あまり良い顔はされないでしょう。


 しかし召喚権利はアデルさんが得たのですか。

 これも同盟の戦力を均す目的なのかもしれません。

 【忍耐】にはウリエル(★S)がいて、【輝翼】にはゼンガーさんがいますから、いかにも回復役が少なそうな【赤】が持つのもいいでしょう。

 シャルロットさんだって海姫ハルフゥ(★S)もいますし、【白雷】あたりから天使をすでに手に入れているかもしれませんしね。



「アデルさんと言えば、結局メルセドウはどうなったのですか?」


「まだよく分からないのです。アデルさんは一応戦勝報告のお手紙を出したそうなのですが……」


「その返答待ちですか。早くても年末……年明けになってもおかしくはないですね」


「それでも早いほうだと思います。お手紙がちゃんと届くかも分からないと仰っていたので」



 それはそうですね。情報封鎖されていたらどういう形で情報が伝わるか分かりません。

 ただ少なくともバベルの中のメルセドウ派閥問題は解決しましたので、それに伴ってメルセドウの情勢も落ち着くとは思います。

 バベルは英雄の集まる場所。民の希望たる塔主たちが鎬を削る場所。

 だからこそバベルが世界に与える影響というのも少なからずあるわけで、それが国政に携わる貴族であったなら余計に影響力は増しますから。


 アデルさんの勝利は国を動かす一手にもなるはずです。

 それがご本人の意思とは無関係であったとしても。



「これで少しはゆっくり出来るのですかね」


「そうしたいです。【聖】同盟からの申請は来るでしょうが受けるわけにもいきませんし、無視し続ける形になると思います」


「当然です。これですぐに塔主戦争(バトル)をするとなったら、さすがに私も止めますよ」


「アハハ……ですよね。私も勝てるとは思っていないので大丈夫です、そこは」



 とは言うものの、実際にはそこまで悲観するような差はないのですよね。

 【雷光】が【節制】と変わらない程度、【聖】がそれ以上ですから戦力的に差があるのはもちろんなのですが。


 シャルロットさんたちが【節制】同盟戦を行うにあたって見えていた″強み″。これは【聖】同盟に対しても同じことが言えます。

 一つは神定英雄(サンクリオ)や固有魔物を主力とする局所戦力。

 もう一つはアデルさん、ドロシーさん、フッツィルさんによる思考力。


 そこにシャルロットさんを中心とする結束力も見えました。これは後から分かった″強み″ですが。


 これを対【聖】同盟で考えてみても、局所戦力はすでに上回っているかもしれませんし、結束力もこちらが上。

 となると問題はアデルさんたちが【大軍師】シュレクト・ササーに対抗出来るかという所になります。


 こればかりはどう転ぶか分かりません。

 一番確実な手は「どう転んでも大丈夫なように戦力を強くしておく」ということでしょう。

 その為にもしっかりと塔運営を頑張って、塔を強くして下さいと言うしかありません。



 出来れば最低でも三年くらいはどっしりと腰を据えて大人しくしていて欲しいものですが……まぁ無理でしょうね。

 あまりこちらの心労になるような真似はして欲しくないのですがね。

 もう少し老人を労わって欲しいものです。本当に。




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