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青い目の子どもたち ーーマリー・アントワネットと、⾰命の時代に⽣きた⼦らの物語  作者: はまゆう


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13/19

第13話  ゾ エ — — チ ュ イ ル リ ー の 庭 で

シャルル殿下と積み⽊をしていたある⽇、アルマン様が庭に来られました。

いつもは静かな⽅でしたが、その⽇は何か違う空気がありました。何かを決めたばかりの⼈の顔、というのでしょうか。⽬が、いつもより少し遠くを⾒ていました。

「積み⽊やるか」とシャルル殿下が声をかけました。

アルマン様は笑って、座ってくれました。

三⼈で積みました。アルマン様が積んで、シャルル殿下が崩して、私が拾う、という役割が⾃然にできていました。アルマン様は崩れても怒らず、また積む。シャルル殿下は崩すた

びに笑う。

しばらく遊んでから、アルマン様が⾔いました。

「ゾエ、お姉さんたちと仲良くしているか」

「はい。⼿紙が来ます」

「それはよかった」

それだけでした。でも私には、その⾔葉が何かの別れの⾔葉のように聞こえました。直

感というものでしょうか。⼦どもの直感は、時々⼤⼈より正確です。

「アルマン様、どこかへ⾏かれるのですか」と私は訊きました。

アルマン様は少し驚いた顔をして、それから静かに笑いました。

「なぜそう思う」

「なんとなくそんな気がして」

彼はしばらく積み⽊を積んでいました。⾼く、ゆっくりと。

「どこかへ⾏くときでも、⾏かないときでも、元気でいなさい」

と彼は⾔いました。

「何があっても、⽣き続けなさい。それが、

⼀番⼤切なことだから」

私はうなずきました。

⽣き続けること。

その⾔葉の重さは、当時の私にはわかりませんでした。しかし今はわかります。⾰命の嵐を⽣き延びて、名前を変えて、場所を変えて、それでも⽣き続けた私に、あの⾔葉は贈られていたのだと。

積み⽊が崩れました。

シャルル殿下が笑いました。

アルマン様も笑いました。

私も笑いました。

その笑い声が、庭に広がって、消えていきました。

あの笑い声を、私はずっと覚えています。

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