↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元婚約者とその友人(女性)は、ある種お似合いのベストフレンズです(あなたに奪われたものを数えましょう)  作者: 暁
《1》 ザッハトルテ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/44

ザッハトルテ【2】 困った人々~私は「無」なのですが、どの様にせよと?

 マリエル様がピンクのダニエルズスペシャルボックスを、フィリップ様から贈られたと聞いたとき、


「ダニエルズの売り上げに貢献してくれてありがとう」

「楽しそう」

正直なところ、感想はこれくらいでした。


 実際、誕生祝いの当日は定期試験の終了日で天気も良く、急遽中庭で行われたというお誕生日祝いの会も楽しかったことでしょう。急に決まったそうですが、お出かけの予定があった人を除き、クラスの多くの人が参加したそうです。試験終了日で試験後はしばらく寝たい・・・と予定を入れていない方もいたでしょう。カフェテリアに数名が食器を借りに行き、お茶をオーダーし、そんなドタバタも楽しいものです。


 問題はプレゼントの事実ではなく、それを知った人々の反応でした。

 ボックスの色はピンクで、キャンディーボックスの文字は「美しいあなたへ」だったと告げに来るような人々です。教えて下さるのは良いのですが、不躾なほどわたくしの顔を観察しているのです。

当然そこにあるのは「無」です。

貴族であるが故に表情を管理しているのだと見当違いの評価を下している方もあった様ですが、実際の所内心そのままでした。「無」です。

知ったところでどうでも良いのです。


 この頃にはフィリップ様との未来はないものと認識しておりました。

ただ、長年あたためてきた計画、領地の数カ所同時のインフラ整備が始まっており、その対応に忙殺されている父母には、時期をみて話す予定でした。反対されることは絶対にないと確信しておりました。

 我が領から流れる大河の下流に位置する隣領ラデル子爵家と、我がパークレスター子爵家がこのインフラ整備のための連絡をとりあったことから、フィリップ様との婚約が整ったことはご存じの事ですね。おじさまもおばさまも良識的な方です。両家の話し合いも比較的スムースで、フィリップ様との婚約が必要不可欠な事項ではありませんでした。両家のご縁が続くことを願っての婚約で、現時点で婚約がご縁を破壊しかねないのですから、婚約を続ける意味がありません。


 困った人々の中にはマリエル様も含まれました。

 マリエル様はキャンディーボックスを代えのペン先やクリップなど文房具の小物入れとして持ち歩いているようでした。持ち歩くにはやや重いように感じるのですが・・・。

時折、良く見せて欲しい、と女子生徒たちに取り囲まれていることもありました。ダニエルズのケーキは、オーナーの選択する材料の品質が一級品であることもあって、かなりの高額になるのです。ダニエルズスペシャルボックスは、オーナーが「購入する人はまれだろう」と考えるほど高額になります。考え方は様々ですが、嗜好品であるためかそれほど気軽に購入できず、キャンディーボックスも持っているだけで自慢になるものでした。

 見かける度に、「あら、囲まれているのね。ダニエルズの売り上げ向上につながると良いわね~。」と通り過ぎるのですが、マリエル様が話をとめてこちらを凝視されるのです。

何の用なのか、マリエル様は別のクラスであるのにわたくしのクラスにやってきて、ピンクのキャンディーボックスを不自然に振り回していらっしゃることもありました。

 面倒くさいです。


 これもどうでもよいのですが、このプレゼント事件をきっかけに

「やはり、フィリップ様とマリエル様は恋人同士では」

とする見解が強くなってきました。

そもそもどうでも良いことはさておき、その見解が正しいとは言えない、と思っておりました。

フィリップ様は基本考え無しです。おそらく、

「今現在お小遣い残高が結構ある。そういえば今日マリエルの誕生日だから、ケーキ買いに行ってやろう。」

店について

「喜ぶだろうからでかいボックスで買ってやるか。マリエルピンク好きだったしピンクでいいか。」

程度でしょう。色の意味など知りもしないでしょうし。

店員に、「キャンディーボックスをお選び下さい」と声をかけられ、トレイに載せられた複数のピンクのキャンディーボックスを示されても、それぞれの蓋に書かれた言葉など読まずに

「?手前のでいいや。」、

と適当に持ってきたいうところでしょうか。

本当になんにも考えない人ですから。

どうでも良いのですが。  


 隣の席のソフィア様に声をかけて頂きました。

「なんだか面倒くさい事態だわね。大丈夫?」

「そうなのです。いっそ悔しいフリでもすれば良いのでしょうか?ハンカチでも噛みましょうか?」

「いやそれ、面倒くさい連中がエスカレートしそう。」


 行儀悪く机に肘をついて手に頬を載せ、しばらくじっと遠くを見てからソフィア様は続けました。

「ミリアムが、自分なりのやり方でがっちり対応しているから放置しているけど、本当に大丈夫?

手に負えない範疇になってない?」

「大丈夫です。面倒くさいですが。」


 当面、素のまま「無」でいればそのうち落ち着くでしょう。


 実際に反応を見に訪れる人は少なくなってゆきました。




 それが甘い考えであったことを思い知ったのは2ヶ月後でした。




  




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。