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私と彼女の物語 -Travelers of the Far Green Road-  作者: ORSBN.shu
第三部・盛陽
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89/106

3-19

ガシュル族の移牧地境界に着いたのは、砂嵐の日から三日後だった。

旅は順調だった。

行程の半分を過ぎ、これから先はザルハンの移牧地になる。

前日にガシュルの水場に立ち寄り、食料と水の補充を行ったのは、他部族の水場に立ち寄らないためらしい。


「こっから先はザルハンの領域だ。

 なるべく目立たないようにと言いたいところだが、それは無理な話だ」


ナイザの言葉に、身が引き締まる思いがした。

黄金の王の民と呼ばれるザルハン族。聞いた限りでは心象は良くないが、それほど害はないという。

ナイザが言う通り、見つからずに進むことは難しいかもしれないが、それでも、なるべくなら出会いたくはない。


「食料と水、それと、目につくようなものはなるべく隠しておけ」


食料や水は隠しようがないと思ったが、それ以外の貴重品の類は、できるだけ目につかない場所に持っておく方が良さそうだった。

ナイザの忠告を聞いて、フレアは慌てて腰に下げた短刀を懐にしまい込んでいた。

アウギュリエスから贈られた卒業祝いの短刀だ。

アウリスフレランス一の鍛冶屋の一級品だ。目をつけられて奪われてもおかしくはないかもしれない。

ザルハンに出くわさないのが一番だが、この先どうなるかなど知る由もない。


「ザルハンならまだましだが……」


ナイザが言い淀む。

おそらく、以前話していたバシュク族のことだろう。

食料や水、酒や金品だけならまだ良い方で、場合によっては、生命さえ奪われかねない。


「バシュクに他部族の移牧地など関係ないからな」


それはつまり、この旅を続ける以上、バシュク族に鉢合わせる可能性があると言うことだった。

バシュク族がナイザの言うように蛮族であるならば、出会った際にはこちらも相応の対応をする他ないだろう。

ただの蛮族ならばやりようはあるかもしれない……。

いずれにせよ、ザルハンともバシュクとも出会わずに、無事聖域に辿り着けることを願うばかりだった。

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