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──旅に出てから五日
道中、休憩のたびにサマルから鳥馬の乗り方を教わった。
鳥馬の騎乗は思いの外難しくなく、ある程度は乗れるようになっていた。
砂馬とは異なる動きに最初こそ戸惑いはしたが、慣れてしまえば鳥馬の方が小回りが効いて良いとすら思えた。
ゆったりと左右に大きく揺れるか、激しく上下に揺さぶられるか、その違いだ。
何よりも、鳥馬はこちらの意思を先読みするかのように動いてくれる。
「鳥馬は信頼で乗るものよ」とサマルが言っていた。
なるほど言い得て妙であった。
一つだけ難点があるとすれば、それは、食後すぐには乗りたくないということだった。
フォニは鳥馬に乗れないらしい。
何となくわからなくもなかった。
荒々しい鳥馬の足取りは、フォニには向いていなさそうだ。そう思うことにした。
食事はサマルとフォニが用意してくれた。
主食は穀物粉を練って焼いたパンで、惣菜は大体が乾燥肉や乾燥野菜の料理だったが、砂漠地帯の旅とは思えないほど、多様な料理を出してくれた。
食事に飽きさせない工夫がありがたかった。
持参した食料を確認している際に、以前宿屋の主人から聞いた砂食い虫の話をした。
それを聞いたナイザは、顔を顰めて「あんなのは食いもんじゃない」と言った後で、宿屋の主人に一杯食わされたんだと笑い声を上げた。
ことごとく、宿屋の主人にはしてやられる。
ブツブツと悪態を吐いていると、ナイザが砂食い虫の捕り方を教えてくれた。
「あれは振動に釣られて寄ってくる」
そう言いながら砂地をトントンと拳で叩いて見せる。
「しばらく続けていればすぐに捕れる」
ナイザに言われた通りに、オリーとフレアはしばらく砂地を叩いた。少し先の砂が盛り上がるのが見えたかと思うと、それは、線を引くようにこちらに近付いてきた。
手が届きそうな距離まで近付いたところで、それを見ていたネコテコが砂ごと線を掴み取った。
瞬間、ギィイという耳障りな音が響いた。
それは、到底生き物のものとは思えないような、砂食い虫の鳴き声だった。
ネコテコの手に握られた、大人の指ほどの細長い物体がジタバタと蠢いている。
ワームだ。
頭部は口しか見えず、手足は生えていない。
どれだけ空腹になったとしても、これを食べようとは思わないだろう。
「たくさん捕って、後で宿屋の主人に食べさせるのです」
フレアが顔を顰めながらボソリと呟いた後で、ニヤリと表情を変える。宿屋の主人に騙された腹いせだろう、悪いことを考えている時の顔だ。
宿屋の主人の顔が歪むのが目に見えるようだった。




