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私と彼女の物語 -Travelers of the Far Green Road-  作者: ORSBN.shu
第三部・盛陽
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76/105

3-6

どれくらい待っただろうか。

少女が建ててくれた簡易の日除の中で、二人は少しばかり眠っていた。


「来たわ」


少女の声で目を覚ました。

少しばかりの休息だったが、頭の痛みはすっかり取れていた。


立ち上がって、両手を振る少女の後ろ姿を眺めた。

所々に見える仕草が少女然としていて、見た目によらずまだ幼いのではないかと思えた。


「父さん!こっちー!」


少女が声を上げて父親を呼んでいる。

そういえば──神父が話していた親子を思い出した。

自分たちは、この親子を探して砂漠に踏み入ったのではないかと閃いた。


馬の背に瘤がついたような、四足の生き物が複数頭やってくる。

背には沢山の荷物が積んであった。

馬車を引く馬とは顔つきが違う。眠そうな目に長いまつ毛が印象的だった。

これが砂馬なのだと目を見張った。

荷物を背負った砂馬は、少女のそばまで寄ると足を止め、それを折り畳むようにしてその場にうずくまった。


「何事かと思ったぞ!」


砂馬を降りた男が、開口一番少女に詰め寄る。

少女はちろりと舌を出して見せ、それからオリーとフレアについて話し始めた。


「旅の人が行き倒れ寸前だったの」


事実ではあったが、改めて説明されると何とも気恥ずかしい話だった。

少女は二人に視線を向けながら説明する。

咄嗟に姿勢を正して深々と頭を下げた。


「助けていただき感謝いたします。

 私はオリビア・オースバン、ユースガリア王国所属の冒険者です」

「私はフレイア・レイシアナ、同じく冒険者です!」


男はチラリとこちらに視線を向けたが、特に何を言うでもなく小さく頷いただけだった。


浅黒い肌、短く刈りそろえた黒髪と太い眉毛。

精悍な顔つきに似合わない笑い皺が刻まれている。

──あの眉毛は父親譲りなのだ。


「まったく……」


男はそれ以上口を開くこともなく、砂馬の背から荷物を下ろすと、何やら準備を始めた。

それを見ながら、少女が二人に話しかけてくる。


「もうすぐ日も暮れるし、今日はここで野営しましょう」


野営自体は初めてではないが、砂漠での野営となれば話は別だった。

かといって、これから村に戻る手段もなく、ここで夜を明かすほうが現実的だと思えた。


「サマル、食事の用意を頼む」


男に言われ、サマルという少女は食材を積んだ砂馬へと歩いていった。


「旅の人らも、サマルを手伝ってやってくれ」


言われてすぐに、オリーとフレアはサマルの元へと駆けた。

食事の用意をしている間にも、男はさっさと野営用の天幕を張っていく。手慣れたものだと思いながら、これが遊牧民なのだと感心した。

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