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私と彼女の物語 -Travelers of the Far Green Road-  作者: ORSBN.shu
第一部・朝暘
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11/104

1−10

・・・


「……それで、どうにも怪しいと踏んだ俺は、冒険者仲間にそれとなく聞いてみた」


早朝の乗合馬車の停留所で、四人の冒険者が話をしていた。

「依頼ではないが、気になることがある」という、なんとも歯切れの悪い、全く確証のない、根も葉もない噂話を元に招集を受けた面々は、この冒険団の団長が話す内容を、半信半疑で聞いていた。


「あいつらは、人をさらって奴隷商に売り付けてるらしい」


きな臭い話を誰かに聞かれてはいないかと、団員が辺りを気にする。幸い朝の早い時間だったため、自分たち以外の人影は見当たらなかった。

その様子を横目にしながら、団長が話を続けた。


「知っての通り、六王国で奴隷を持つことは禁止されている。

 だが、実態は黙認されているようなもんだ。

 騎士団が動かないなら、俺達冒険者がなんとかしなきゃならん、そうだろう?」

「団長質問です」


いても立ってもいられなくなり、アルノルドが咄嗟に手を上げて団長に尋ねた。


「僕とエルメリアは冒険者になったばかりですけど、足手まといではありませんか?

 戦うことになったら、僕は役に立ちませんし、エルメリアも戦闘経験はないですよ」


話しながらちらりとエルメリアを伺う、不安そうに団長を見つめている姿が見て取れた。

アルノルド自身も不安に駆られている。剣士の稽古は積んできたが、実戦の経験は一つもない。だからこその質問であった。


冒険者になったからには、何処かの冒険団に所属するのが、立身出世の近道だと考えていたが、この冒険団に入団したのは失敗だったかもしれない。

後悔の念が一瞬頭を過ぎる。


「なるべく戦闘は避ける。避けるが、俺は議論や説得が得意な方じゃない。

 先に手が出るかもしれんから、そうなったら二人はすぐに撤退してくれていい。

 後のことは俺とアフォードでなんとかする。

 まあ、証拠さえ掴めれば、後は騎士団に任せるのもやぶさかじゃない」


団長の隣で、アフォードが目を瞑りながら静かに頷いている。

副団長もこれでは先が思いやられる。

穏便に証拠を掴む方法を考えてくれれば良いものを、この団長はおそらく、面と向かって問いただす気に違いない。しかも、黙認されている実情を、騎士団に任せて何とかしてくれるのかも怪しい。

そんな考えが頭に浮かんだが、声には出さずにおいた。


「それで、冒険者仲間の話では、次に狙われるのはどうやらタウトラらしい。

 この辺りでタウトラと言えば、南の農園になる」


なるほど、集合場所が停留所という理由がわかった。

農園まで歩いていくには、時間もかかるし目立ってしまう。馬車で移動することで相手に知られずに農園に入ることができる。


「馬車代は俺が持つ。そこは安心してくれ」


団長が誇らしげに胸を張る。

確かに馬車代がかからないのは、懐事情にとっては安心ではあったが、それ以外は何一つ安心できる要素がなかった。


穏便にことが進んでほしい。

アルノルドは淡い期待を胸にしながら、朝霧に影を落としてやってきた馬車に乗り込んだ。


・・・

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