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私と彼女の物語 -Travelers of the Far Green Road-  作者: ORSBN.shu
第三部・盛陽
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3-36

音がした方を振り返った。

逆光で目が眩みそうになる。

音の正体を確かめようと目を凝らしたその時、遠くで何かが立ち昇るのが見えた。

日の光を遮るほどの巨大な何か。

それが砂煙だと気付く頃に、もう一つ、柱のようなものが昇り立った。


──さっきよりも近い。

柱のようなそれは、まるで砂地を跳ねるように飛び上がり、そして潜り込んだ。

近付いてきている。

一つ、いや二つ。

それは近付くほどに数を増やしていく。

まるで地面に張り付けられたように身体が動かない。


「走れ!」


ナイザの声に我に返った。

咄嗟に鳥馬を蹴って走り出す。

前を走るナイザを見失うまいと、必死に鳥馬を駈った。

鳴り続ける警笛と、それを掻き消すような砂が荒れ狂う轟音が響く。


「北だ!」


ナイザが手綱を引いて方向を変える。

着いていくのが精一杯だ。

両翼を激しく羽ばたかせ、全力で駆ける鳥馬から振り落とされないように、必死でその体にしがみついた。

指示を出さずとも鳥馬は走り続けた。

鳥馬にとっても、迫り来るそれは恐怖なのだ。

後ろを振り返る余裕すらなく、ひたすら北を目指して走った。


どれだけ走ったのかわからない。

逃げ切れたとわかったのは、鳥馬がその足を止めて、体を地面に着けた時だった。

辺りを見渡せばすっかりと日は暮れていた。

鳴り響いていた警笛は聞こえず、砂を抉るような軋む音も聞こえない。


鳥馬から転がり落ちるようにして、そのまま地面に身体を放り出した。

荒い息遣いが聞こえる。

皆、無事だ。

助かったのだ。

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