4話「貧乏の女神編③」
朝を迎え、人が動く気配を感じた俺は眠りから覚める。
「あ、おはようございます……」
「おはよう、よく眠れた?」
「いえ……わ、私が眠ると数世紀単位で眠ることになるので……」
さすが女神様だ。
眠りの規模が違う。
「じゃあ、ずっと起きて……?」
「あ、あの……創造の女神様に色々と報告とか、あと自分のお仕事を……」
「そっか」
それは彼女の領分なので、俺から口を出すことなどないだろうと思い、起き上がってうーんと背を伸ばして立ち上がった。
「もうみんな起きてるみたいだし、そろそろ」
「あ、そうですね……」
そう言って彼女も立ち上がって、一緒に牛小屋を出た。
井戸がある場所の近くだったようで、そこには家族が顔を洗っていたのが見えたので挨拶をしながら歩いていく。
「おはようございます」
「お、おはよう……ございます」
「おお、おはよう。寝心地悪かっただろう?」
「いえ、たっぷり眠らせてもらいました」
「そう。それじゃ朝ごはん用意するから少し待っててね」
朝ごはんまで御馳走になるとは思わなかったので、ありがたく感謝をしてそのまま彼らの家へと入っていく。子供たちに手を引かれながら。
「ごちそうさまでした!」
「ご、ごちそうさまでした……」
そう言って朝に出されたご飯を食べ、俺は腕まくりをして一宿一飯の恩義に酬いるためにあることをやるために外に出た。
「畑仕事されるんですか?」
「あ、ああ……そうだけど、君たちはもう旅立つんじゃ?」
俺たちが旅支度をしないことが不思議に思ったのか、そう聞いてきた。
「まぁ、ちょっと……ね。 じゃ、ちょっと行ってきますね」
「あ、あの……し、失礼します……」
そして俺たちは村の外に出た。
「リョ、リョウタロウさん……? い、一体何を……?」
「狩りをしようと思ってね!」
「ああ、なるほど……それで」
張り切っていたんですねとは言わなかったパーフリィ。
なんか俺のことを理解してきてくれて嬉しかった。
「パーフリィはうちでお留守番しててもいいのに……」
「い、いえ……微力ながら……」
「そう? じゃあ、よろしく」
「は……はい!」
そして俺たちは森へと駆け出して、早速動物を狩っていくことにした。
猪、熊、鹿、とにかく肉類を中心に……あとは修行で習った狩猟の女神様から学んだ血抜きなどの加工や、建築の女神様に運ぶために必要な知識を実践で行い様々な肉に加工できる動物をひたすら狩っていった。
「しまったな……」
「か、狩りすぎましたね……」
そこには山なりに積みあがった獲物の結果が……。
とにかく近くの木を切り倒して、ひたすら村と森とを往復して運ぶことにした。
本当であれば転移の女神様に願えばいいのだが、こういうことくらいはやっぱり自分でしたいと思ったのでその方法はやめといた。
ちなみに村人の人たちは、なんだなんだと驚いた様子だったが、
この村に泊めてくれたのでというお礼の意味でというと納得したのか、今日は村を上げての肉祭りという形になった。
村長がめっちゃ感謝してたな。
パーフリィにも手伝ってもらったが、数が数ということまた木から台車を作りだす時間も必要だったために夕方くらいに最後の狩りの成果を運ぼうと村の入口に近づいた時のことだった。
何やらがやがやしている中で馬に乗っている偉そうな人が何か告げていた。
そっと気配を消して、その様子を探る。
「よいか! 先にも申した通り、今後この村を含む領地からの徴税は6割へと引き上げることとなった!」
「そ、そんな……それでは我らは、生活が――」
「そのようなこと、我らはしらぬ! よいな! 期日までに用意しておくように!」
「お、お待ちを!」
そうして出てきて役人らしき馬に乗った男に、詰め寄ったのは俺がお世話になっている旦那さんだった。
「ここ最近は実りも豊かで、期日までに必ずお申しつけの通りに税を治めております!それなのに、いきなりそれほどを――」
「だまれっ」
なんとそう言うと、馬に乗った役人は旦那さんを足蹴にした。
腹が立ったが、ここで俺が出ていっても仕方ないとその光景を見ていると、役人は嫌らしい顔付きで言い放った。
「ふん! 貧乏人どもの下郎が! 足りなければ、それだけ働けばいいのだ! そんなことも分からぬからお前たちはいつまでも貧しいままなのだ! ……税を賄う方法はいくらでもあるだろう? 娘たちでもいいぞ?」
そう言ってイヤらしい顔付きになるが気が晴れたのだろう、もう一度良いなと言いつけて馬で去っていった。
「そ、そんな……」
「俺たちはどうすれば……」
今すぐあの馬を全力で追いかけたいが、今は大人しくしておくために鼻を動かしてそれから、とりあえず素知らぬ顔で台車を引いて村人たちの前に出ていった。
その間、俺はパーフリィの顔を見なかったことを後々後悔することとなった。
「わ、私のせいで……やっぱり私がっ!」
その言葉を聞くこともなく。




