3話「懲罰の女神編④」
投獄して……もうどれくらいなのか。
すでに床にちらばった死体は白骨化していて、俺の横にはじっと懲罰の女神様。
そして俺に寄り掛かるように眠っているのは、美人の奴隷さんだった。
あの後、気配が全て消えたことを悟り様子を見てきてもらったのだが、もはやこの島には俺と美人の奴隷さんしかいなくて、ああ、懲罰の女神様もね。
つまりなんか知らんが、ハーレム状態で今俺は過ごしている。
食料などはこの島の獄卒が死守したらしく無事であるということで、それをずっと美人の奴隷さんとシェアし合っている状態だった。
「ん……んぅ……」
寝返りを打ちながらその美声はやめてほしい。
下半身に効く。
「節操がないのですね」
「……あなたがそれを言いますか?」
「……」
黙るのはずるいです。
とりあえず俺も寝るかとそのまま直立したまま寝ることにした。
もはやこういう立ったままっていうのも慣れたし、何より鎖のぐるぐるの重さでさえもうすでに慣れてきていた。改めてすごいなと思った女神様の作った体というのは。
起きた時のことだった。
チラっと目を覚ましてみた光景はとても目に毒な光景が広がっていた。
奴隷服を脱ぎ、何やら布のようなものでそのむしゃぶりつきたくなるようなスタイルの体を拭いているのだ。もろ全部見えている状態で……。
当然、下半身は――あ、もうすでに反応してたな。
「おはようございます。リョウタロウ」
俺が開けて閉じた目に即反応した気遣いを女神様は空気を読むことなく、ぶち壊してくれた。
「……どうも」
目を閉じていた俺だったが、美人の奴隷さんは特に気にせずまだ体を拭いている気配を感じた。あれ?
目を開けると、美人の奴隷さんと目が合うが特に気にしないで続けて拭いている。
「あの……恥ずかしさとかないの?」
「特に」
あ、そうですか。
そういうことならと俺はその全身を舐めまわすように――はい、すいません。
じっと見ようとすると懲罰の女神様がズズっと近寄ってくるのは戒めだと分かった。
そんな暢気なやり取りをしていると、ある時急に女神様が話しかけてきた。
「では、私はこれで」
そう言った瞬間、鎖がなぜか軽くなって体も同じように軽く感じるようになった。
そして女神様も一瞬で消え去ったのだった。
「ど、どうしたの?」
「……多分だけど、俺の懲罰が終わったんじゃないかなと」
そんな気がする。
なぜならあれほど湧き上がっていた欲望もどこかへ行ったかのように薄れ……よし、とりあえずここを出たらどっかでリフレッシュしないとな。
俺が1人でそんなことを考えていると、美人の奴隷さんが今度は俺の体を鎖を除いたところを拭き始めてくれた。
だが――
えと、あれ? 欲望の増幅って終わったんだよな?
なんかまた猛々しいんだけど……。
と、そんなことを考えながら美人の奴隷さんには念入りに鎖以外を拭かれてしまったため最後ファイヤーしちゃったのは言うまでもない。
その後、ご飯を食べた後のことだった。
何かが近づいてくる気配を感じた。
今やこの島以外にも俺は気配を感じ取れるくらいできるようになった。
おかげで魚群があれば、新鮮な魚を奴隷さんにゲットしてもらいそれを焼いてもらって手ずから食べさせてもらったりと中々の獄中生活をしていたのだ。
そんなことよりも、一団と思わしきその気配は何やら周囲を探りながら徐々に俺たちのいるところへとやってきていた。
白骨化した遺体を見て驚き、そして大人しく繋がれた俺と俺の後ろに避難した美人の奴隷さんとを発見した兵士の人が指を差してここにいましたと誰かに声をかけた。
その声に俺の前に姿を現したのはなんと、ゼン伯爵だった。
「貴様……ずっとここにいたのか?」
「当たり前じゃないですか、俺囚人なわけですし」
「そ、そうか……それで女神様が見えぬが――」
「ああ、俺への懲罰が終わったみたいです。鎖の重さとかもろもろ軽くなりましたので」
俺の言葉にそういうものかと頷き、そして俺の後ろに隠れている奴隷服を着た美人さんを見てここにいたのかと言ってふむと何かを納得した。
「喜べ、ここにいるということは大人しく服役していたのだろう? その模範ぶりに答えオレの権限で今解き放ってやる」
「え? もういいんですか」
「ああ。他の囚人たちの処理で時間がかかってしまった。許せ」
ああ、それでいつまでも島に誰も来なかったのか。
全員逃げ出していると思って。
「俺も逃げ出しているかと思ったんですね」
「……真っ先に貴様を探したぞ」
そういうことか。
じゃあ、ということで俺は軽くなった鎖を自力で解き放った。
ふぅ~と、いつぶりなんだろ的に肩を回して自由になった腕をグルグル回した。
「それで、そこの――奴隷よ。貴様のこれからは――」
「あの~……」
「なんだ?」
「この人も解放って訳には――」
「そやつは囚人ではない。奴隷は奴隷、購入したこの国のモノだからな」
「購入……」
ざわっとなった俺の気配に敏感に反応したのは、周囲にいる兵士全員もそうだが伯爵さんもだろう。剣に手が掛かっている。
「待て、貴様とやり合いたくはない。これは貴様の仕業だろう?」
そう言って目を下に向けて、白骨化した囚人たちを見やる。
「まぁ、この人を襲おうとしたので……」
「なるほどな」
そう言うとゼン伯爵さんは手を顎に当てて、ふむと言って分かったと言うと――
「……貴様には例の恩もあるからな。それを差し引いた金額で国に掛け合ってやろう」
「!」
「ありがとうございます」
ということで、俺はここから無事シャバへと出ることになったのだった。




