第13話:トップチームからの招聘
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これが今日1話目です
開幕戦での劇的な勝利から数日後。アイントラハト・フランクシュタットのクラブハウスに、爽やかな秋の光が差し込んでいた。
練習前のロッカールーム。いつものようにスパイクの紐を締め直していた榊 迅のもとへ、ヘスラー監督が歩み寄ってきた。部屋の雑音がふっと消え、周囲の選手たちの視線が集まる。
「ジン。朗報だ」
ヘスラー監督は口元に笑みを浮かべ、手にしていた書類を迅に見せた。
「来週から、トップチームのトレーニングに招集されることになった。1週間の練習参加だが、結果次第ではそのままセカンドチーム(プロ予備軍)への飛び級や、トップのベンチ入りも見えてくる」
「マジかよ、ジン!」
隣にいたクリスが自分のことのように声を上げて叫び、迅の背中をバシバシと叩いた。エティエンもニヤリと不敵な笑みを浮かべ、「上がったら二度と戻ってくんなよ」と手厳しいエールを送る。
17歳でのトップチーム練習参加。
通常なら、誰もが緊張で足を震わせるようなビッグニュースだ。しかし、迅は「ありがとうございます」と静かに頭を下げただけだった。胸の奥で静かに燃え上がるのは、プレッシャーではなく、まだ見ぬ未知の強者たちと交われることへの純粋な高揚感だった。
翌週。迅はブンデスリーガの第一線で戦うプロ選手たちが集まる、トップチームのグラウンドに足を踏み入れた。
雰囲気が、ユースとは完全に違っていた。
漂う空気の重み、選手たちの体の分厚さ、そして何より一切の甘えを許さない視線の鋭さ。
「おいおい、ヘスラーが連れてきたっていうのは、あのガキか?」
大きな声を上げたのは、チームの主将であり元ドイツ代表のセンターバック、シュミットだった。190センチを超える巨躯、鋭い眼光。彼がそこに立っているだけで、周りの空間が狭く感じられるほどの圧迫感がある。
「怪我させないように気をつけてやれよ。まあ、通用すればの話だがな」
プロの洗礼とも言える冷ややかな視線が、迅に突き刺さる。
だが、迅の冷徹な頭脳はすでに稼働していた。
(あの体躯、あの歩き方……一歩目の踏み込みが異常に強い。だけど、懐に入り込めば――)
目標や夢という大層なものはない。
ただ、この最高峰のピッチで、己の「スピード」と「思考」がどこまで通用するのか。17歳のストライカーは、不敵な笑みを浮かべながら静かにスパイクのポイントを芝に食い込ませた。
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