2話 気配
約束の放課後は確実に近くに迫ってきていた。
帰りのホームルームの進行がやけに早く感じる。
僕の心臓は激しくジャンプを続け、緊張からか体がこわばっている。
そんな中ふと横を見ると明らかに放課後を待ち遠しく感じている三原の姿が僕の目に映った。
たしかに、クラスの人気者である西羽結花と話せることなんてなかなかない。だからそんなまたとない機会を楽しみにするのは当然と言えるだろう。
だが、用件を悟ってしまった今、それは難しいことだ。
用件は…僕と三原がずっと西羽結花を観察していることについてだろう。
軽蔑的な目を向けられ、決闘の申し込みでもさせられるのだろうか。
そんなことを考えているうちに下校のチャイムが鳴り、挨拶を終え教室からは次々と人がいなくなっていく。僕はそれを席につき、椅子にくっついたように座りながら見届けた。
西羽結花は後ろをちらちらと振り返り、僕と三原の様子をうかがっているような素振りを見せている。
その視線に僕は耐えきれず、どうしても赤面を隠すことができそうにない。それは三原も同じ状況のようだ。
教室から全員がいなくなったことを確認すると西羽結花はガタンと音をたてて教室の扉を閉めた。
その瞬間僕はゴクリと唾を飲んだ。
西羽結花は冷静さと凛々しさが入り混じった表情でこちらまで歩いてくると、隣同士である僕と三原の席の間に入り、右手を僕の机に、左手を三原の机に置き、僕たちの顔を交互に見ながら話しを始めた。
「急にごめんね。2人はなにか予定とかなかった?」
第一声がそんな優しい一言から始まり、僕はドキリとした。さっきとは対照的な柔らかい表情で問われ、胸の高鳴りが止まらない。
僕たちが小さく頷くと、西羽結花はゆっくりと本題を話し始めた。




