1話 観察
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僕の趣味は西羽結花の観察だ。
だから僕は今日の休み時間も黒板を見るふりをしてクラスの人気者、西羽結花を観察している。
いつもの面々と喋っている様子だ。
頭が良いけど天然でたまにバカを発動させる、優しいけど結構はっきり言う、などの姿を夕日丘高校に入学して4週間で知った。
もちろんストーカーしたわけではない。休み時間にずっと観察していた成果といえるだろう。
僕の席は漫画でいう主人公席。そして西羽結花の席はその4つ前。絶好の観察場所かと聞かれたら違うけどまぁ十分だ。
僕の横は休み時間は西羽結花を観察する、という同じく気持ち悪いことを行っている三原莉子の席だ。
三原が西羽結花を観察している理由は、完璧で欠点がない人間だから、理由まで同じとはさすが中学からの陰キャ友だと思わされた。
「篠塚君、今日なんだか嬉しそう」
少しドキッとして横を向くと三原がやけにニヤついた顔でこちらを向いて座っている。
図星を悟られないように冷静になって聞いた。
「そう見えるかな?」
「うん、見える」と即答したあと続けて、
「ときどき観察中に笑みがこぼれているよ」と、なんとも気持ち悪いものを見るような目を向けながら言った。観察しているだけでもキモいのに笑顔で観察か。
僕が自分のキモさに唖然としていると、三原は「ねぇこれ」と本題にでも移るかのように机から一枚の紙を取り出した。
僕はそれを見た瞬間、さっきまで抱いていた感情なんか忘れてただがっかりした。
その紙は朝学校に登校したとき、僕の机の中にも入っていた。真ん中にはっきりした文字で「放課後お話があるので残ってくれると嬉しいです。」と書いてあった。そして右下に小さく西羽結花、と書いてあった。
差出人をみたとき僕の下心がざわついた、が三原にも同じ手紙が来ているということは僕の期待したような話ではないだろう。
その気持ちを悟られないようにするつもりが、もう遅いようだった。
「三原にも同じ手紙が来ているってことは僕の恋心をくすぐるような話ではないかって顔だね」
三原はいや〜な笑みを浮かべながら言った。僕は諦めて呆れ顔で言った。
「まるでエスパーだな」
そのとき、休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。僕は西羽結花が放課後なにを言いたいのかわかってしまった。




