04-13 降伏
クラウスです。
ローナ王国によるメルデオラへの反撃は会議の翌日から始まりました。
まず第3都市ミラシオンに核爆弾数発が送られ、住民50万が一瞬で吹き飛びました。念入りな鏖殺です。
首都メルドアへの連絡時間を計算して7日後、第2都市アーリスが焼き払われました。
故郷の歴史にあった核の災厄がこの世界でも起きてしまったことに心が痛みます。
メルドアへの攻撃前日に、メルデオラ前国王トラバス三世より降伏の打診が届きました。
ここで問題になったのが降伏に向けての交渉使者として誰を送るか、です。
序列から考えるとスミカ様なのですが、戦時中の今、最大戦力がローナ王国を離れるのは危険すぎます。
次はソフィア様の婚約者アネットさんですが、やはり彼女の戦闘力は王国に必要です。
それに眠り続けるソフィア姫様がこの世界から消えるようなことがあったなら、彼女はついていく気のようです。
序列筆頭の王太女セラルド様は謹慎中ですし……と皆が思案していたらエスティーカ姫様が提案されました。
「私の血を授けたクラウスではいかがでしょうか?」……ちょっと待って下さい姫様、こんな大舞台に僕ですか?
「クラウスも魔族になって表舞台に出る機会も増えるでしょう。外交の初陣にちょうど良いのでは?」
困ったことに他に適任者もいないということで姫様の提案は通ってしまいました。
「ローナ王国のおてんば王女二コラとして暴れていらっしゃい。」
姫様に頂いた王女の衣装を着て出発です。バラッド将軍がお供でついてきて下さるのはありがたいですね。
メルデオラの王城は敵意ではなく恐怖で満ちていました。
戦争の常識を数百年分飛び越えてしまったのだから当然かもしれません ちょっと気の毒にもなります。
会談の場で、前国王トラバス三世は待っていました。
「息子である現国王は私の指示で拘束した。戦争を主導したモナークも同様だ。降伏にあたり、私も含めて全ての男性王族の首と女性王族の身柄を差し出すつもりだ。
モナークの配下である軍警も拘束してある。人類解放同盟は可能な限り捕縛したが総帥と呼ばれる謎の存在は見つからなかった。
意図的に逃がしたのではないことを、エルセイン陛下にお伝え頂けまいか?どうか残った民だけはお救い頂きたい。
最後に、もし可能ならお教え頂きたい、ローナ王国はなぜこのような惨いことを……」
「あんたたちがわけも分からずに弄んだおもちゃの正体をこの世界の全ての者に教えるためだよ。
ローナにはあんたたちから奇襲で100発も飛んで来たんだ、数発喰らったぐらいで何言ってんだよ。」
自分でも驚くぐらい冷たい言葉が口から出た。
「なぜ核兵器なんか持ちだした!?どこかの世界から魔族を殲滅できる強力な兵器と言われて手を出したのか!?
馬鹿じゃないのかおまえら?手にしたものが何かぐらい使う前に考えろよ!」
トラバス三世は会場の円卓に崩れ落ちた。




