04-12 報復
アネットです。
倒れたソフィア姫様はお目を覚まされるご様子はなく、直ちに城の医務室に運ばれました。
医務室にはだんどうだんの爆発を見てしまった者達がショック状態で運ばれています。
姫様に付き添っていたいのですが、私は魔王陛下と宰相リマド様にご報告しなければなりません。
姫様の額にキスすると、私は玉座の間に向かいました。
「……以上が王都防衛戦の顛末です。ソフィア様のお力によりメルデオラの攻撃は防がれました。」
「よくやった、アネット・シトウ、ソフィアの力と謙遜するが、殆どの弾道弾を叩き落とした其方の功績はとても大きい。」
陛下よりお褒めのお言葉を頂きました。
「王国英雄となれば其方がソフィアを娶るのに口を挟む者も失せよう。」
……そうか、私、姫様をお嫁さんにできちゃうのか……頭がくらくらしてきました。
「私からもご報告します ご指示のあった第二波の弾道弾及び発射装置を制圧し、その悉くを手中に収めました。転送における宰相閣下のお力添えに感謝致します。」
次に、スミカ様……スミカお義父様……はまだ早いですね……のご報告がありました。
「スミカ、其方もよくやった。これでメルデオラの攻撃戦力は失われたと考えて良いのだな?」
「はい、弾道弾については全て制圧済みと思われます。」
「ならば次は我が方の反撃だ。通例ではかの国に兵を進めることになるが、意見があれば聞こう。」
「陛下、手中に収めた核爆弾によるメルデオラ王国全都市への報復攻撃を進言します。」
リマド様の冷たい声が玉座の間に響きました。
「私も宰相閣下に賛同します。メルデオラはその愚行に相応しい報いを受けるべきです。これは我が故郷では戦の常道です。」
スミカ様まで!?
「メルデオラ全都市となれば死者は一千万以上に達しよう。本当に必要なことなのか?」
魔王陛下のお声に狼狽の気配が浮かびました。
「はい。この戦を傍観している他国に核爆弾を弄ぶことの意味と、その暴挙に対する我が国の覚悟を知らしめねばなりません。メルデオラ王国国民一千万余は必要な犠牲です。」
リマド様の冷たい声が再び響きました。
ここにソフィア様がいらしたらきっと異を唱えたはずです。
ならば私が代わって言わなければならないのです。
「末席より発言するお許しを頂けませんでしょうか?」
「許す。」陛下のお声です。
「僭越ながら、ソフィア様であれば仰るであろうことを私が代わって申し上げます。
だんどうだん攻撃を命じたメルデオラ王国の王族に対する処罰は当然のことです。
ですが、戦争など与り知らぬメルデオラ国民の殺戮はおかしいと思われます。」
「止めなさい、アネット」リマド様の悲しそうな声です。
「そんなことは百も承知です。」
「でしたら……」
私の声を遮るようにリマド様は続けます。
「この世界に核兵器と弾道弾という異世界の悪夢がもたらされてしまったのです。奇襲で灰燼と帰すはずだった我が王都はあなた達の力で救われました。ならば、報復としてメルデオラでその悪夢を具現化させなければならないのです。この世界でこれ以上核兵器が使われないために。」
私には返す言葉がありません……ごめんなさいソフィア様……
「メルデオラの首都と第二都市、第三都市で十分ではないか?これだけでも死者は200万余になろう。その上でメルデオラに降伏勧告を行う。ソフィアには私の退位をもって詫びよう。」
魔王陛下が決断を下されました。




