04-09 開戦
04-09 開戦
ローナ王国王都防衛近衛部隊指揮官、バラッド将軍である。
払暁を突いて戦は始まった。
宣戦の布告も無い突然の開戦だった。
戦の常道である奇襲を詰るつもりなどないが、敵の姿どころか気配さえも感じられない開戦は初めてだ。
この世界の戦は、たった今異質なものに変わってしまったのかもしれない。
「見えた!」
ソフィア姫様からお預かりした侍女の一人アネットは、そう呟くと発砲を始めた。
ドカン!ドカン!ドカン!耳を引き裂くような音を立ててアネットの銃は火を噴き続けた。
暫くの間の後、地平の彼方に十の炎の塊が見えた。アネットは銃を交換し再度撃ち始めた。
「熱い!」
空になった銃を受け取った少女が悲鳴を上げた。
恐らく火傷を負ったのだろうが、その少女は銃を落とさなかった。
「気をつけて、ステラ、絶対に銃は壊せないんだからね!セシル、冷却魔術!」
治癒魔術を使いつつ彼女らのリーダー、シャーリーが言った。
このような連射が数回繰り返された後、敵の攻撃が止んだ。
「メルデオラ、私にだんどうだんを50発も落とされて諦めたかな?」
アネットがほっとしたように呟いた。
「先程はどれぐらい先を撃っていたんだ?」
小官は好奇に駆られて尋ねた。
「500ミーレぐらい先です。ルール海の上で撃ち落とせとスミカ様が仰ったんです。爆発の光には毒があるそうなのです。」
500ミーレ!?騎馬部隊で15日の距離ではないか!変わってしまったのは戦の始め方だけでは無かったのか……
「まだ終わっていない!」
一同の緩んだ空気を吹き飛ばして、宰相リマド様の声が我々の脳裏に飛び込んだ。
「メルデオラは弾道弾に不可視化の魔術を使用したようです。第2波50発が来ます!」
アネットが再び撃ち始めた。今度はずっと近くで爆発が起き始めた。




