04-01-2 第2回お茶会 2
第2回お茶会の最初の話題は、クラウスさんのことでした。
トスカやベアトリスが羨ましがったのに加え、ファルナやラントルートまで目を輝かせていて驚いたりしました。
盛り上がりが一段落した後で、ラントルートが話題を変えました。
「姫様、かの海の向こうの国のことですが、教会の医療関係者が人間の腕に針を刺して体内に何かを注ぎ込む訓練を受けているようです。
これが何を意味するのか私には分かりませんが、ご参考になれば幸いです。」
開戦が近いと聞くメルデオラ王国のことですね。
ベアトリスも言います。
「あの国の動きはおかしいんです。戦争が近づいている割には……あ、言っちゃいけなかったんでしたっけ?」
ファルナがベアトリスの横で額を押さえていますが私は言います。
「ここでならいいですよ。」
「戦争が近づいている割には食物を買い占めている様子が無いんです。うちにもメルデオラ産の野菜が入荷しています……あ!またやっちゃった!」
ファルナはもうどうにでもなれ、という雰囲気で言います。
「私もかの国の話を聞きました。なんでも、兵士ではなく大きなものを輸送する馬車などが徴用されているとか。行き先は首都から森林地帯に向けてのようです。」
トスカも続きます。
「私も知ってます。このご時世なのにあの国では武器の発注が少ないそうなのです。その代わりに工具や銅の長い糸が大量に発注されているとか。」
アネットが囁きます「念のため、セラルド様にご報告しましょうか?」私はアネットとシャーリーに依頼しました。
「ところで、皆さんが私を信頼してお話をしてくれるのは嬉しいのですが、かの国は人間の国、一方我が国は魔族が統べる国、率直に聞いて私たち魔族は統治者として皆さんの信頼を得られているのでしょうか?」
ファルナが即座に返答しました。
「姫様、何を仰います この国は法による統治が徹底されています。他所の国のように貴族が代金を払い渋ったり借金を踏み倒したりなどということはありません。安心して商売ができるのです。」
ラントルートも言います。
「私たちアルシアス教会の者にとっても、人間の間で信教の自由が保証されているこの国の政治はありがたいのです。他国では私たちの教会が弾圧や政治権力による支配を受けていることもあるのです。」
ちょっと持ち上げられすぎな気もします。
お姉さまの方を見るとやはり苦笑しておられるようです。
ベアトリスが手を挙げました。
「せっかくなので私も率直に伺いたいのですが、魔族の方から見ると私達街の人間はごちそうに見えるのでしょうか?私は魔族になりたいのですが、魔族になった後のことも知りたいのです。」
ファルナが割り込みます。
「ベアトリス、その話題はダメだから!お願い、やめて!」
周囲を見ると侍女達から怒りの気配を感じました。
「ファルナ、この場では多少のことは気にしないと言いましたよ?」
「ソフィア姫様に申し上げます。魔族の方が人間を食べる話題は多少のことにはならないのです。ここが支配するお方とされる者との限界線です。」
ファルナは私に懇願するようにテーブルに両手と額をつけ、震えています。
「ではここに宣言します。ローナ王国王女ソフィア・エルセインの名において、魔族が人を食べることについて、このお茶会で話題にしても一切の咎めはありません。」
「本当によろしいのですか……?」
「分かりました、不安でしたら書面にして渡しましょう。」
ファルナはようやく落ち着いたようです。
侍女のトエリが聞きます。
「姫様、本当に宜しいのですか?人間が魔族の食人を謗るのは禁忌ですよ?」
「勿論構いません。そのためにこのお茶会を開いたようなものですから」私は答えました。




