04-01-3 第2回お茶会 3
「改めてお聞きしますが、魔族の方から見ると私達街の人間はごちそうに見えるのでしょうか?」
ベアトリスが言います。
「確かに私達魔族は人間の魂を主食にしていますが、それは食用種に限ったことで、街の人々を食べたいとは思わないのです。」
この感覚をどう説明すればいいのだろう……私は少し思案します。
「ソフィア様、発言してもよろしいでしょうか?」クラウスさんです。
私が「どうぞ」と答えると彼は言います。
「人間の一人として人間をペットに例えるのはちょっと気が引けるけど、いくらお腹が減っても大切にしているペットを食べたいとは思わないということでしょう。もうひとつ宜しいでしょうか?」
私の許可を得てクラウスさんは続けます。
「元々私は……いえ、僕はソフィア様を襲撃するために並行異世界からこの地に呼ばれた人類解放同盟の勇者の一人でした。でも、ソフィア様のような少女まで嬲りものにする同盟に嫌気がさし、裏切ってお助けしたことで許され、その後エスティーカ姫様の寵愛を頂き、今ここにいます。」
少しの痛みと共にあの時のことが思い出されます。
「僕は、襲撃を受け負傷したソフィア様に言いました。人間は自分達が特別だと思っているから、たとえ食用として育てられている者でも同じ人間が食べられるのが我慢できない、魔族に他の方法が無いなら人間はどうにかして魔族を滅ぼそうとするだろう、とね。」
クラウスさんは一度息をついてから続けました。
「僕の言葉に対してソフィア様が取った行動は何だったと思う? 動物の魂を食べてみることだったとか。それはお腹をこわして失敗だったと聞いているよ。」
何で知ってるの!?私は赤くなって俯きティーカップを見つめます。
「その次は1回目のお茶会だった。人間とは言葉が通じるのだから、率先して話してみよう、とのお考えだ。そして、その場でイリスの件が起きた。その後のことは皆さんも推理してみたよね。」
お茶会参加者の4人はうんうんとうなづいています。
「最近知ったことだけど、こう見えてソフィア様は魔族の中でも飛び抜けて強い魔力をお持ちだ。そう、その気になれば人間の反抗など歯牙にもかけないぐらいにね。」
こう見えてって何それ!?私は頑張って口を閉じていました。
お姉さまが私を見てにこにこしています。
「僕の最初の言葉への反応として、ソフィア様は予想以上だった。この方が将来の魔王になるなら、魔族と人間の関係も少し変わるかもしれないね。」
「姫様!私、より一層魔族になりたくなりました!」ベアトリスは相変わらずですね。
トスカが言います。「私、姫様のこと、もっと知りたいです!これからもお茶会は続きますよね!?」
ラントルートが言います「私も、姫様にもっと人間のことを知って頂きたいです。私の大切な信仰の話もぜひお聞きください。」
心なしか、先程までがちがちに緊張していたファルナもふんわりした目で私を見ているような……?
「姫様のお身を飾る宝飾を私が選べるのは本当に嬉しいことです。私の真心を込めてお選び致します。」
第2回お茶会はいい雰囲気で終わりました。
クラウスさんに感謝ですね。
しかし、お母様のところに行っていたアネットとシャーリーが、
「メルデオラの宿にいた密偵のルーテシアが、かの国の諜報組織に捕まったらしい。」
という凶報を持ち帰り、わたしの浮ついた気分は吹き飛んでしまいました。




