03-SS-04 お父様の愛人
ずっとメルデオラ王国で諜報活動をなさっていたお父様が、久しぶりに帰国されました。
一緒に人間の女性も伴っていました。大人の女性です。
彼女、ルーテシアさんが私達にご挨拶に来ました。
「エスティーカ姫様、ソフィア姫様、初めまして、ルーテシアにございます。お目通りが叶い光栄です。」
ルーテシアさんは優雅な作法でお辞儀しました。元はどこかの国の王女だったのでは?と思いました。
「ごきげんよう、ルーテシア。」
お姉さまが返答します。私も慌てて続きます。
くんくん、とお姉さまが臭いをかぎます。あまりお行儀がいいことではありません。
「お父様の臭いがするわ、ルーテシア、あなたお父様とセックスしているの?」
お姉さまがとんでもないことを聞きました。
ルーテシアさんは動揺することもなく微笑んで
「はい、スミカ様には可愛がって頂いています。」
と言います。
私はびっくりして声を上げました。
「お母様はご存じなんですか!?」
ルーテシアさんは微笑みを崩すことも無く再び答えます。
「もちろんです、セラルド様のお許しを得てスミカ様に女に、そして愛人にして頂きました。」
お姉さまは再び鋭い質問をします。
「他の男の臭いもする どういうこと?」
ルーテシアさんは平然と答えます。
「ローナ王国の侵攻事前諜報活動として情報を得るため、必要ならば他の男に抱かれることもあるのです。王族のお二方にはお話ししても構わないでしょうが、私は触れた人間の心が読めるのです。」
私はルーテシアさんが気の毒になりました。
「それではあなたは道具と同じではないですか!?」
お父様がそんな酷いことをなさるなんて……
私の表情を読んだのか、ルーテシアさんが言います。
「ソフィア姫様、私は辛くはないのですよ、ですからお父様に怒ってはいけません。王国を維持するというのは綺麗事ではないのです。
それに、メルデオラ王国征服が終わったら私は魔族にして頂き、スミカ様のお子を授かる契約なのです。全てはスミカ様、セラルド様、私の同意の上で決められたことです。」
私は心にもやもやが残りますが、お姉さまは違ったようです。
「その割り切り方は嫌いじゃないわ、ルーテシア、仲良くしましょうね。」
ルーテシアさんが帰った後、私はお姉さまに聞いてみました。
「私もお姉さまのように大人にならないといけないのですね?」
お姉さまの答えは意外なものでした。
「ソフィアちゃん、それは違うわ あなたは陽の光を浴びて理想を掲げ、人々を光に導けばいいの。
光のあたらない部分の嫌なこと、汚いことは私が全部引き受けるから。」
それでも私の心は晴れません。お姉さまのお言葉は嬉しいけどそれは違う気がするのです。
私のためにお姉さまだけが泥を被ってはいけない、そうならないように私も成長しよう、と心に誓いました。




