03-08 聞き耳を立てる少女達
私はアネットと一緒に、とぼとぼと玉座の間を退出しました。
「いつの間に絶縁状なんて……?」
私の問いにアネットは、
「姫様がセラルド様から襲撃のことをお聞きになった夜です。私は姫様とどこまでもご一緒しますが、実家には迷惑をかけられませんから。」
と微笑みました。ごめんなさい、そしてありがとう、アネット……
廊下に出ると、扉の番人バラッドが玉座の間の扉を閉めました。
エスティーカお姉さまがやってきました。
「ソフィアちゃん、大丈夫だったのですか?」
私はお姉さまが退出した後のことを話しました。
ユノアお爺様、いえ、魔王陛下のご様子から察して私の王女の地位は無くなるだろう、と聞きお姉さまは無念そうです。
「そういうのは私の役目なのに……」
私はバラッドにご挨拶しました。
「長い間お世話になりました。」
バラッドはにっこり微笑んで口に指を当てると、扉に耳をつけました。そして扉を指さします。
私達も扉に耳をつけてみました。
「ゔぁあああああああ!」
お爺様の大きな声です。私をお怒りなのでしょうか?
「なぜ職務を務めているだけで最愛の孫娘を悲しませねばならぬのだ!
見たか?ソフィアは退出時に涙をこらえていたぞ、きっと私を嫌いになったに違いない!
あの子にもう『お爺様大好き』と言ってもらえないなどこの世の終わりだ!」
あれ?私はアネットやお姉さまと顔を見合わせます。
「私はもう魔王なんか辞める!この先はソフィアをかわいがって過ごすのだ!王位などセラルドとスミカが担えばいい!」
?????
「これから人類解放同盟、恐らくはその背後にいるメルデオラ王国との戦争が始まるかもしれないのです。そうは参りません。」
リマドお婆様が窘めます。
「リマド!其方も其方だ!自分は何も言わず私にだけ厳しいことを言わせてひどいやつだ!」
「それはそうです。私はソフィアに嫌われたくありませんから。
第一、ソフィアの襲撃犯など一族郎党全て死罪だ、とお命じになったのは陛下ですよ。自業自得というものです。」
お婆様が笑います。壁に耳をつけながらお姉さまもアネットも必に笑いをこらえています。
「大逆の関係者といっても親も娘もどうせ連座で主犯ではないのだ。ソフィアの願い通り助けてやれば良いではないか!」
お爺様が投げやりに仰いました。
「法がある以上それはできません。表向きは処刑したことにして、私の術で違う姿を与えましょう。」
お婆様が助け舟を出して下さったようです。
「おお、それは良い。これでソフィアから嫌われずにすみそうだな。」お爺様の明るい声です。
(連座の弊害は其方やスミカから散々聞いたが、あの子が自分で気づき、王国のため、と私に訴えたのならば成長したものだ。王国も変化すべき時かもしれないな。)
お爺様のつぶやきは私達には聞こえませんでした。




