03-07 玉座の間にて
「以上が、囚人ルーセントが自供した【テルミヌス】の概要となります。」
玉座の間でエスティーカお姉さまの報告が終わりました。私とアネットも報告者の一員としてお姉さまの後ろでひざまづいています。
クラウスさんは魔族ではないので玉座の間には入れません。
「見事な働きである、エスティーカ。」
お姉さまにお爺様のお褒めの言葉がありました。
「申し出のあった大逆犯ルーセントの減刑については自供の重要性を鑑み考慮する。
縁座犯である娘イリスについては前例に基づき貢献を認めず却下する。」
信じられないお言葉でした。イリスは結局身に覚えのない罪で死罪になるのです!
私の異変を察したアネットが私の手に触れます。それでも止まるわけにはいきません。
「それはおかしいと思います!」
私は立ちあがりました。それは私の手を握っていたアネットも立たせることになってしまいました。
「魔王の決定に異を唱えるのはその二人だな、エスティーカは退がれ。」
遅れて立とうとしたお姉さまは玉座の間から退出させられました。
「名を名乗れ。」
お爺様の声が響きます。今はお爺様と孫ではなく、魔王とその決定に異を唱える叛逆者、ということです。
いつもとは違う冷たいお顔です。玉座の側には王権の証、断罪の剣が浮かんでいます。足が震えた私をアネットの手が勇気づけてくれます。
「ローナ王国王女、ソフィア・ナリエル・エルセインにございます、陛下。」
「ソフィア姫様の供回り、アネットにございます、陛下。」アネットは家名を言いませんでした。
「アネット、其方はシトウ伯爵息女のはず。なぜ家名を名乗らぬ?」
魔王陛下の問いにアネットが答えます。
「私は既にシトウ伯爵家から絶縁されております。こちらが絶縁状になります。」
アネットが書状を提出しました。なんてこと!?
「ではソフィア・ナリエル・エルセインに問う。魔王の決定の何がおかしいと申すか?」
「申し上げます 例え親兄弟の犯した大罪でも、自分の身に覚えのないことで罪に問われるのはおかしいと思います。
法がそう決めていても、王国のため、間違ったことは正されなければなりません。」
「魔王の決定のみならず王国の法をも難ずるか?其方の訴えは法に従い宰相、宰相補と審議の後扱いを決する。この審議の代償に其方は何を懸ける?」
「私の命……ということでしょうか?」
「人間の助命に魔族の命では釣り合いが取れぬ。其方の王女の地位を預かろう。」
私の訴えが退けられた時、私は王女では無くなるのですね……
「ソフィア・ナリエル・エルセイン及びアネットの両名は退がれ。」
魔王陛下が命じました。
私は涙を我慢しながらアネットに手をひかれて玉座の間を退出しました。




