03-04 エスティーカお姉さま 1
私はアネットと一緒に自分の部屋に帰り、夕食を食べました。
ご飯を食べていてもお母様の厳しい言葉が思い出されます。
アネットは私の様子を伺いながら何も言わず夕食を食べました。
おやすみのキスとご挨拶をして私を寝かしつけると、アネットは実家の部屋に用があると言って帰宅しました。
独りのベッドは久しぶりです。不安な夜でした。早く帰って来て、アネット……
朝起きるとアネットがおはようのキスで迎えてくれました。ちょっと安心します。
朝の湯浴みをしてご飯を食べるとお姉さまとクラウス君がやってきました。
アネットから昨日のことを聞いたそうです。
私はお姉さまに昨日のお母様のことを愚痴りました。一度堰が切れてしまうと止まりません。
お姉さまは
「ソフィアちゃん、聞きなさい。」
と窘めます。でも私は自分が止められません。
自分でも何を言っているか分からない雑言を繰り返す私の両頬にお姉さまの手が当たります。
叩いているようで痛くない手でした。
お姉さまは私の頭をなでて言います。
「私も逆賊の娘なのです。でもセラルドお母様は私を助けて下さいました。なぜだと思いますか?」
「お姉さまはひいお婆様の子供で王族だから……」
「違います。私はエレインお母様と食用人間との間に生まれた私生児、王族籍は持っていませんでした。」
「それって……じゃあなぜ?」
「それは、あなたが私を助けたいと思ったからです。あなたの気持ちを大切にするために、お母様は私という忌み子を引き取って下さいました。
この先起こるかもしれない全ての問題を飲み込んで、です。その上私を本当の娘のように育てて下さっているのです。
そんなお母様を詰ることは私が許しません。」
「じゃあ昨日のイリスのことは……?」
「理由は最低3つあります。
ひとつは初めて出会ったばかりの人間の少女のことだったから、
もうひとつは正式に魔王陛下の決定が下っているから、
最後のひとつは、お母様があなた自身に考えさせたかったからでしょうね。
事情をきちんと理解して、イリス達を助けるためにどんな理屈を組み立てるのか、を。
イリスやその父親がどんな人間なのかも知らず一時の思い込みや衝動に任せて動いてはいけません。
ましてや王国の法を謗るなんてもっての外です。」
「じゃあお姉さま……私はどうしたら……」
「彼等が今日明日に死罪になるわけではありません。まずは情報を集めましょう。もしも助けるに値する者と分かれば、クラウスが切れそうなカードを持っています。」




