03-02 初めてのお茶会
「東町の鍛冶屋の娘、トスカでございます。
姫様、お会いできて光栄です。」
「西町の露天商の娘ベアトリスでございます。
魔族の姫君にお会いできる幸運と幸せに感謝致します。」
「北町商人の娘、ファルナでございます。
王族の皆様には多大なご贔屓を賜り、厚く御礼申し上げます。」
「北町のイリスでございます……
あの……お会いできて光栄です……」
「南町の修道女ラントルートでございます。
今日の素晴らしき出会いを神に感謝致します。」
北町のイリスの様子がちょっと気になります。
彼女は無理やりにこのお茶会に参加させられたのでしょうか?
もしそうなら悲しそうな表情が気の毒です。
私はシャーリーにそっと告げます「お茶は気持ちが落ち着くものに。」
わくわくしている者、複雑な想いで参加した者、様々な想いが入り混じって初めての魔族の王女主催のお茶会が始まりました。
今日の目標はお客様においしくお茶を飲んでお茶菓子を食べてもらい、無事お帰しすることです。私のお茶会にお呼ばれしても取って喰われるわけではない、と理解してもらわないとこの先が続きません。
私はお客様に伝えます。
「今日は楽しいお茶会なのですから多少の軽口は大目に見ますよ。」
お客様達は一瞬きょとんとした後、輝く瞳でお互いに目配せし合っていました。皆さん多少の軽口、ですからね?
ベアトリスが手を挙げました。
「はい!はい!はい!姫様!私、魔族になりたいのですがどうすれば魔族にして頂けますか!?」
さっそく困りました。
「お爺様……魔王陛下から人間をみだりに魔族にしてはいけない、とお触れが出ているのです。
お父様もお婆様も元人間ですがお二人は例外ですから……ベアトリスさんがすごく優秀なら将来機会もあるかもしれませんね。」
ベアトリスはしょんぼりしつつも何か決意したようです。
次にラントルートが言いました。
「私はアルシアス神に仕える修道女です 姫様は我が神のお言葉にご興味はありませんか?」
アルシアス神とは人間の信仰する神様ですね。
「私達魔族は始祖崇拝ですから、アルシアス神を信仰することはできません。
でも礼拝儀式を見学していいのでしたらお伺いしたいと思います、まずはお母様に相談してみますね。」
ラントルートはやった!という感じです。
次はトスカです。
「姫様、私魔族の方のお妾さんになりたいのですが?」
あらら、トスカは困った子のようですね。
ファルナが割り込みます。
「トスカさん!そういうのはお茶会の話題じゃないから!」
トスカは渋々口を閉ざしました。私はアネットやシャーリーに「咎めないように。」と目くばせします。
ファルナが言います。
「ソフィア姫様のお耳にはサファイアがお似合いではないでしょうか?」
私はあまり宝飾品に興味はないのですが答えます。
「いつもの手順でお母様に外商をお伝え頂けますか?」
ファルナも内心ガッツポーズしている感じです。
イリスが泣きそうな声で言います。
「私のお父様は姫様への襲撃に加担すると言う大変なことをしてしまいました。本当に申し訳ありません。でも私には優しいお父様です。せめて命だけはお助け頂けないでしょうか……?」
この子は先日の襲撃犯の娘!?
侍女達がざわつきます。
私が口を開く前にアネットが答えました。
「その発言は聞かなかったことにします、
皆様も宜しいですね 姫様、差し出たことをしてしまいました。
申し訳ありません。」
シャーリーが言います。
「そろそろお茶もお菓子も無くなりましたね、姫様、これでお開きにしませんか?
皆様、次回はまた招待状をお送りしますね。」




