02-SS-09 捕まっちゃいました
ソフィアです。
しばらくお休みしていたアネットが、お父上のシトウ伯爵と一緒にご挨拶に来ました。
お母様と一緒にお迎えしましたが、伯爵はアネットが私に無礼を働いたと詫び、責任を取って侍女を辞任させると言いました。
この先アネットは伯爵の領地リエンで、貴族達の好奇の目から隠れるように生活するのだそうです。
私は好きと言われてびっくりしただけで、無礼なんて思っていなかったので驚きました。
アネットは伯爵の横で見たことも無い悲しそうな顔で立っています。
アネットにそんな顔は似合いません。笑顔がかわいい子なんです。
私がお母様と伯爵のお話に割り込もうとしたら、お母様に止められました。
私は何も言えないままご挨拶が終わり、二人が帰る時が来ました。扉に向かうアネットの背中が泣いています。
「アネット!」
私は名前を呼びました。
お母様が窘めます。
「ソフィア、あなたはアネットの一生を背負えるのですか!?」
そんなことは分かりません、でも心を素直に言ってこんなことになるのはあんまりです。
私はアネットと今お別れなんかしたくないんです。あの笑顔をもっと見ていたいんです。
「アネット!」
もう一度私は叫びました。
アネットと伯爵は振り返りました。
「アネット!許します!あなたの心を、望むことを見せなさい!」
アネットが伯爵を見上げました。
「王女殿下の仰せだ……」
伯爵は溜息をつきました。
アネットは走って来て私に抱きつきました。
「ソフィア様、大好きです、私をずっとお側に置いて下さい、セラルド様、お父様、どうかお許し下さい!」
ああ、私はこの子に捕まってしまいましたね。
アネット、今の笑顔はとても素敵ですよ。




