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01-02 セラルド

ローナ王国王女セラルド・エルセインです。

あの子が捕まった後、お母様と私は馬車でお城に帰り、あの子は護衛の方達に歩かされて連行されました。

私が「ひどいことはしないで!」と何度もお願いしたので、あの子は馬車で引きずられることはありませんでした。

馬車の中で私はお母様にあの子がどうなるのかお聞きしてみました。

「魔王様の王女であるあなたを誘拐して怪我を負わせたのだから死罪は間違いないでしょう。」

お母様は怖いことをさらっと仰いました。

誘拐といっても私が初めて男の子?に手を取られてどきどきして素敵なことが起きるんじゃないかと思って一緒に走ったからだし、怪我と言っても私が一人で転んで擦り傷を作っただけです。

私はそう訴えましたが、お母様は「それは通用しないでしょう。」と突き放します。

泣きそうになる私を見てお母様は「お城に着いたら彼と話してみましょう。」と仰いました。

彼、と言い切ったということはお母様はあの子について知っているのかもしれません。

私はお母様に聞いてみました。「かつて私の婚約者だったの、名前はシエリ・ア・スミカ・クレイアス・アドウ。スミカと呼ぶといいわ。」と仰いました。

頭が混乱します。あの子は14歳の私と同い年ぐらいです。

お母様は15年前にこの国にいらしたのだからどう考えても計算は合いません。見かけよりも歳が上なのでしょうか?

「時の流れが違うのね……」お母様は窓の外、どこか遠くを見ながら溜息をつきました。


私は人間の物語をよく読みますが、気に入らないこともあります。

お姫様を助ける王子様は魔王を倒すのです。魔王はお父様です。魔王のお姫様を助ける王子様はいないのでしょうか?

あの時私は足がもつれて転び、私達は護衛の方達に取り囲まれました。スミカさんは私を守るように前に立ちました。

相手は私の護衛の方達だったけど、その背中がかっこよくて、この方が私の王子様だったらいいのに、と思ってしまったのです。


お城の部屋でそんなことを考えていたらお母様に呼ばれました。

お母様はスミカさんに私を紹介します。

「この子は私の娘、セラルド・ナスレイン・エルセイン。魔王エルセイン陛下の王女です。あなたと同じ14歳です。そう、あの日の私とも同じ。」


そして続けます。

「シエリ・ア・スミカ・クレイアス・アドウ、あなたと私の婚約をたった今破棄します。既に私は魔王陛下の寵姫であり魔族、あなたが私と結婚することはもはや叶いません。」

スミカさんの表情から心の痛みが私にも伝わるようです。

「先程も言ったように、あなたは人の身でありながら魔王エルセイン陛下の王女を誘拐し怪我を負わせました。これは死罪に相当する行為です。ですが、死罪にするその命を私がもらい受けます。」


「シエリ・ア・スミカ・クレイアス・アドウに命じます。全てを噛み殺し、我が娘セラルド・ナスレイン・エルセインに仕えなさい。アドウに帰ることも許しません。

そしてこの子は魔族、あなたにも魔族になってもらいます。」

もっとやさしく言ってあげてもいいのに……私は心が痛くなり、胸の前で手を握ります。

スミカさんは目を閉じて私の前でひざまづきます。「畏まりました。セラルド様、以後スミカとお呼びください。」

私はお母様からスミカさんの剣を受け取り渡します この時の言い方は知っています。

「スミカ、剣を授けます。私のために戦い、私のために生きることを期待します。」

本当は私のために生きて死ぬ、だったのですが私はあえて変えました。


そして私は彼に血を与え、私の番犬で王子様のスミカが誕生しました。


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