05-07 内務卿就任
クラウスです
セラルド陛下の即位式で、エスティーカ姫様のお名前はありませんでした。
あれほど姫様をお気にかけられていたセラルド様にしては奇妙なことです。
お部屋に戻ってから姫様にお聞きしてみました。
「あれで、よろしかったのですか?」
「ええ、勿論。」
予想外にさっぱりしたお返事でした。
「私はセラルドお母様…陛下から別のお仕事を頂いたもの。内務卿と枢密院議長よ。」
どちらもローナ王国では、国内の治安維持や対外諜報に関わる剣呑な役職です。
「姫様は、ローナ王国の影の部分を差配なさるおつもりなのですね?」
「そう、元々私は忌み子。セラルドお母様のおかげで今の幸せがある。
だからセラルドお母様と、もう一人の私であるアリア姫の幸せを私が守るのよ。
今後、魔王セラルド陛下は、国内外の諜報活動をやっている暇は無くなるからね。
ごめんね、クラウスにも汚れ仕事をさせることになってしまうね」
「僕は、構いません 元々魔族の敵、勇者として処刑されるはずだった命ですから。
姫様こそ、魔王位を志されたこともあったのに……」
「ソフィアちゃんの王太女は妥当だわ。先の戦でたった一人で弾道弾から王都を守ったあの子の姿は、魔族から絶大な支持を受けている。ついでに人間達からもね。
あの子は理想を掲げて皆を明るい光に導けばいいの 影の部分は私が守ればいい。
記憶を失ってセラルドお母様と上手くいっていない感じだったけれど、アリア姫のお力で記憶が戻って、そのお力を認めて関係も修復された。だから何の心配もない。」
姫様のお言葉にわずかな毒気を感じました。セラルド様とソフィア姫様の関係が修復されなかったらどうなさるおつもりだったのか、は聞かない方が良さそうです。
「スミカお父様とルーテシアの愛人関係については不愉快だけど、セラルドお母様が当面はユリアとの愛をお望みなら、まあ、いい。
私はセラルドお母様のご希望を叶えるために動くだけ。
スミカお父様もセラルドお母様とアリア姫を守ると仰っているしね。」
そう仰って、姫様はにっこり微笑みました。




