01-08 掃討
ローナ王国第三軍副長キトヴァ・リカラだ。その日、我々第三軍はいきり立っていた。
「いたぞ!あの番犬のガキだ! 呑気に正面から来やがる。
グライフ様の仇は我等第三軍が取るぞ!
陛下は我々を殺すなとお命じになったそうだ。人間上がりの番犬と軍の根幹たる我々門閥、当然のご判断だ。
あいつの右目をえぐり耳を削ぎ鼻を削ぎケツの穴に焼けた鉄の棒を突っ込んで拷問だ!」
その時、奴の足音が……消えた。
「おい? あいつどこへ行った?
ギャア!うぐっ!ひぃ~! お、おい?何が起きている!? ぐぇっ!足が!手が!
ま、まさか……魔王軍最大の突破力を誇る第三軍の精鋭だぞ それがものの数分で!?」
感じられるのは空気の乱れだけ、あの番犬の動きが見えない!私も自分の足が崩れて初めて、先制攻撃を受けたのだと理解した。
剣を両手に我々の前に立った番犬は、氷のような眼差しと口調で語った。
「あなた達全員の手足の腱を斬らせてもらいました。
首筋にも浅い刀傷がありますよね。あなた達をいつでも殺せたという証拠です。
魔王陛下はあなた達を殺すなと仰いましたが、拷問して生き地獄を味わわせるなとは仰いませんでした。
ちょうど準備もされているようですので目をえぐり耳を削ぎ鼻を削ぎケツの穴に焼けた鉄の棒を突っ込んで拷問します。
さあ、誰から拷問されたいですか?」
この番犬、本当に我々を拷問するつもりだ……
「化物……こんな奴に勝てる訳がない……」
「はい、私はリマド様に作られた化物なんです。そしてセラルド姫様の忠実な番犬です。
ブランド伯爵閣下と戦った時は、魔族になった影響で体と技のバランスが崩壊していましたが、今は姫様に調整して頂き絶好調です。
加えて義眼を通して、姫様のお力も頂いています。
伯爵閣下に辛勝でしたから数を頼めば勝てると思いましたか?
今なら皆さんの手の先、足の先から寸刻みにスライスしてハムを作ることもできますよ?
それぞれ、拷問でもスライスハムでもどちらでもお好きな方を仰ってください」
奴の氷の言葉に喜色まで加わり、我々はもう窮したことを知った。こいつ、本当に我々を死なない範囲で拷問にかけるつもりだ!
「ま、待って、待って下さい!降伏します!どうかお助けを!!」
「そうですか、残念ですね。セラルド姫様は寛大にもあなた達が降伏した際には受け入れ助けるようにと命令されました。
セラルド姫様に感謝し忠誠を誓うなら助けましょう。
ただし、裏切った時はあの方は私よりも怖いですよ」
「誓います!第三軍はセラルド姫様に絶対の忠誠を誓います!決して裏切ったりしません!」
「よろしい、では全員休息して魔術士は治癒魔術を施しなさい。明日には傷は癒えますね?人間の叛徒討伐に向かいます。
貴方達には叛徒の運搬役をお願いします。王都においしいご飯を持って帰りましょう」




