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春の章 多生之縁 11

 剣が帰宅した翌日、直江から粉の鑑定結果を聞かされる。

それは現在に存在しない物質だった。



藤原 后恵きみえ

さくらと同じM.C.H.の学芸員。以前は奈良国立博物館に勤務。剣とは面識がある。

酒豪。倹約家っぽい。

茶トラ猫、ヱビスを飼っている。

(名前の由来はお酒から)



王生いくるみ けん  

王生家の中心人物。現在に目覚めた不動明王。普段は天然で抜けているふりをしているが、先見の明を持っており何事も卒なくこなす正に聖人君子。

職業は仏像学芸員。




直江なおえ 菱耶りょうや

大耶の実父(現在の剣の妻、愛の元夫)。警視総監。

何故か剣の良き理解者。



あずま 春世はるとし

T市総合病院の消化器外科の医師。

三世に雰囲気が似ている。



御手洗みたらい ほのお 

現在に目覚めた烏枢沙摩明王。143年前に現れた時も同じ消防の仕事に就いていた。見た目はガタイもよく少し怖いが家庭では家事をこなす良き夫。



倉橋 清隆きよたか

現在に目覚めた制多迦童子。陰陽師、安倍晴明の血筋。それ故に式神を操れる。

宝と同じ病院に小児科医として勤務している。

折り紙が得意。


 21時57分 S市内のとあるマンション。

「ただいまー」

「ミャァー」

藤原が残業を終えて今日も遅い帰宅。

出迎えてくれたのは茶トラ猫のヱビス。

「今日の夕飯もコンビニ弁当とミニカップ麵。そして35缶1本」

藤原は二人用の小さなダイニングテーブルに買って来た夕飯を置く。

ヱビスはテーブルに跳び乗って弁当の中身を探り始める。

「だーめ!!」

お利口さんのヱビスは渋々テーブルから下りる。

「ごめん、ごめん。少し言い方きつかったかな」

疲れが溜まっているせいか、イライラしてる。

だって館長と主査がいないから仕事が2倍、3倍…いやそれ以上あるわけよ。原因はそれなのよ、それ!

「10時から面白いドラマやってないかな。刑事モノとか。スカッとするやつ」

テレビの電源を入れると飛び込んできたのはニュースだった。

「フェリーの乗客1名が行方不明になっています」

倹約家の藤原は電気ケトルに必要な分だけ水を入れて沸かす。

「警察は何らかの理由で海中に落ちたのではないかと見ています」

テレビにはフェリーから下船する乗客たちが映っていた。

「ん?この逞しい後ろ姿に見覚えが…。幻覚?いやいやいや、きっと疲れが溜まっているせいだわ」

350mlの缶ビールを開け、速攻一口。

「ふぅ…やっぱりビールは疲れを吹き飛ばすねぇ。おっと、お湯が沸いた」

紙蓋を開け内側の線まで慎重にお湯を注ぐ。

「やった!ジャスト!あとは3分待つだけ」




剣の寝起きの第一声。

「疲れが取れない……」

現場検証に立ち会って最終便の飛行機に乗り、定刻21時50分着が25分遅れてS方面の列車にかろうじて間に合ったものの、H駅に着いたのが00時00分。

そこからタクシーで帰宅したのが00時30分。

そのままベッドに倒れ込んだのは覚えている。

徐にスマホを見る。

──9時30分。

機内モードONのままだった…。しかもスラックスにYシャツ姿だ。

「目覚めのコーヒーでも淹れるか」

剣は心の中でぼやきながら 今起床した。

部屋のカーテンを開け、ゆっくりと2階から下りてダイニングに向かう。

ダイニングテーブルの上にはメモが載っていた。

『冷蔵庫にサラダとアスパラの肉巻きがあります。温めて食べて下さい』

大耶、夕飯用意してくれてたのか。昼に食べるか。

いつもの空色と白のストライプのシールが貼ってあるグアテマラのコーヒー缶を手に取り、考えを巡らす。

先ずは家族会議だな。

三世に大自在天の所業を話したら暴走するような予感がする。

ストッパーに煌徳を呼ばないと…。試験勉強と重なって申し訳ないな。

大耶と宝は問題なし。

清隆と炎も呼ぶか…。

そうだ、清隆はあずま 春世はるとしと接触したのか?どんな奴か第一印象だけでも知りたい。

あまり心配をかけたくないんだが、愛さんにも話しておかないと…。

機内モードを解除した直後にスマホが鳴る。

「勘のいい奴だな。どこかで見てるのか?」

相手は直江だった。

「もしもし」

「起きてるか?」

「一応…」

絶対寝起きだな。声の調子からして、まだコーヒーは飲んでいないとみた。

「キラキラした粉の鑑定結果が出た」

「早いな」

「俺を誰だと思っているんだ」

「すまん」

「まぁいい。粉の正体は鱗粉。蝶のはねについている粉だそうだ。船内に蝶が紛れ込んでいたらしいんだが…」

──生態系、防疫の観点から在来種の移動は考えられない。

「信じがたいが2020年以降生息が途絶えているオガサワラシジミの鱗粉だそうだ」

存在しないもの…か。なるほど。10年前にはあの島にいた蝶。

恐らく奴が作り出した式神。

「驚かないのか?それともまだ目が覚めていないのか?」

「いや、色々考えていた」

こういう時は酸味の強い豆をチョイスすべきか…。だとしたらケニア産か…。

一度手にした缶を戻し、隣の黒赤緑のストライプのシールが貼った缶を手に取る。

「同じ部屋の乗客から話が聞けた。午前2時から2時30分くらいだったそうだ。一瞬明るくなったのでトイレに行くのにスマホのライトでもつけてると思ったらしく、気にせず就寝したそうだ」

「草木も眠る丑三つ時か…」

「火の玉だとでも思っているのか?」

王生、寝ぼけてるな…。

「Jambo!」

「は?王生、大丈夫か?」



「Jambo」(ジャンボ) ケニアの公用語で「おはよう」

コーヒー缶にシールが貼ってあるのは大耶の心遣いです。(国旗に使われている色です)


読んでいただきありがとうございます。

先週の私…。ゴールデンウイーク前、休み返上でお仕事。

頭の中パニック状態。キッチンの引き出しから在らぬものが出てきました。相当疲れてたんですね…。

今日の私…。主人の実家から帰宅して洗濯2回。相当な疲れの更に上…。

取り敢えず次に繋がるエピソードを書きました。

北海道まだ寒い。コンポタが美味しい…。


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