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『反逆の咎人(とがびと)勇者 〜仲間に裏切られ追放された俺は、邪神の力を喰らって真の救世主(魔王)となる〜』  作者: 白狸
第1部 王国崩壊編 第1章【偽聖討伐編】〜神を騙る狂信者たちを、漆黒の魔王が蹂躙する〜
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【偽りの聖なる力】絶望の使徒

「だ、騙したなっ!? ここは安全なシェルターじゃなかったのか!」


「開けてくれ! 子供だけでも、助けて……ギャアアアアッ!」


聖教団の総本山、大聖堂の前庭に造られた巨大な広場。


そこには、王都の地下スラムから「保護する」という名目で集められた数万人の貧民たちが、巨大な魔法陣の中に閉じ込められていた。


魔法陣が赤黒い光を放つたび、彼らの体から生命力と魔力が強制的に吸い上げられ、人々は次々と干からびて灰へと変わっていく。


「おお……素晴らしい! 満ちていく、神聖なる力が満ちていくぞ!」


教皇ザカリアはバルコニーからその惨状を見下ろし、恍惚とした表情で両手を天へと掲げていた。


その隣では、レオンが顔を引きつらせながらも「俺が生き残るためだ、仕方ないだろう……」とブツブツと自己正当化の呪文を唱え続けている。


数万の命を燃料にした禁忌の召喚儀式。


ついに空が十文字に裂け、そこから天上の光が降り注いだ。


「見よ、勇者殿! あれぞ我々を救う神の使い! 『天使』の降臨である!!」


ザカリアが歓喜の声を上げ、広場を取り囲んでいた教団の騎士や信者たちも、涙を流して祈りを捧げた。


だが。


光の中から現れたその姿を見た瞬間、人々の祈りの声は、凍りついたようにピタリと止まった。


「……な、なんだ、あれは……?」


レオンが震える指で空を指差す。


そこに降臨したのは、美しい羽根を持った神々しい存在などではなかった。


純白の肉塊が複雑に絡み合ったような、巨大で歪な球体。


その表面には**ギョロギョロと動く『無数の目玉』**が蠢き、球体の周囲からは、光り輝く何十本もの太い触手がウネウネと伸びている。


神聖さなど微塵もない、あまりにもグロテスクで冒涜的な化け物だった。


『――不浄ナリ。此処ニ在ル全テノ命ハ、不浄ナリ』


天使と呼ばれた化け物の無数の目玉から、機械的で無慈悲な声が直接脳内に響き渡った。


「お、おお、天使様! どうかその聖なる力で、迫り来る魔王アレンを打ち滅ぼし――」


ザカリアが信者の先頭に立って叫んだ、その時だった。


天使の無数の目玉が一斉にザカリアたちを見下ろし、そこから**極太の『光の熱線』**が無差別に放たれた。


――ズバババババァッ!!


「えっ……ギャアアアアアアアッ!?」


「あ、熱い!? なぜだ、我々は神に祈りを……ぎゃあああっ!!」


熱線は敵味方の区別など一切なかった。


神を信じていたはずの教団の騎士たちも、祈りを捧げていた信者たちも、光の触手に薙ぎ払われ、次々と体が蒸発して消し飛んでいく。


「な、なにをしている! 違う、殺すのは俺たちじゃない! 魔王だ!!」


ザカリアがパニックに陥って叫ぶが、天使は止まらない。


彼らにとって、地上を這いずる人間などすべて「不浄なゴミ」でしかないのだ。


自分たちが喚び出したはずの兵器によって、大聖堂は一方的な大虐殺の地獄へと変わっていく。


「ひぃぃっ! ふ、ふざけるな! なんで俺がこんな目に……ッ!」


レオンは完全に腰を抜かし、無様に地面を這いつくばりながら逃げ出そうとした。


しかし、天使の巨大な光の触手が、逃げ惑うレオンとザカリアの頭上へ容赦なく振り下ろされる。


(あ、ああ……終わる、俺の人生が……こんなところであっさりと……!)


レオンが絶望に顔を歪め、死を覚悟して目を閉じた、その瞬間。


――ドゴオォォォォォォォォンッ!!!


天地をひっくり返したような大爆発音が鳴り響き、大聖堂を囲んでいた強固な城壁が、紙くずのように粉々に吹き飛んだ。


「な……!?」


レオンが目を開けると、自分を殺そうとしていた天使の光の触手は、何者かが放った**『漆黒の炎』**によって跡形もなく焼き尽くされていた。


吹き飛んだ城壁の向こう側。


巻き上がる土煙と、空を覆い尽くす暗雲の中から、ズシン、ズシンと大地を揺らす無数の魔物の足音が響いてくる。


「……随分と楽しそうなパーティーをしているじゃないか。クズ共」


土煙を切り裂き、ゆっくりと歩み出てきた一つの影。


漆黒の外套を羽織り、血のように赤い瞳を光らせるその男――魔王アレンの姿を見た瞬間、レオンとザカリアは、天使に対する以上の、心臓が凍りつくような『本物の絶望』を味わった。


「ア、アレン……! ど、どうして……!」


「貴様らが喚び出したのが、あんな不気味な肉塊とはな。少しは期待して来たんだが……拍子抜けもいいところだ」


アレンは、宙に浮かぶグロテスクな天使を一瞥し、退屈そうに鼻で笑った。


「まあいい。俺の道を開くためだ。神だろうがなんだろうが、まとめて黒焦げにしてやる」


絶望に支配された聖域に、何万もの凶悪な魔王軍を従えた『真の悪魔』が、ついにその圧倒的な姿を現した。

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