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『反逆の咎人(とがびと)勇者 〜仲間に裏切られ追放された俺は、邪神の力を喰らって真の救世主(魔王)となる〜』  作者: 白狸
第2部【偽神討伐編】〜世界を食い物にする傲慢な神々を、深淵の魔王が喰らい尽くす〜
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【神殺しの救世主】自由なる世界へ

「ひ、ひぃぃぃぃっ! やめろ、来るなぁぁっ!」


天界の最高神将ミカエルは、最強の神剣を素手で砕かれた絶望から完全に発狂し、鼻水と涙で顔を濡らしながら大理石の床を這いずり回っていた。


その無様な背中に向けて、アレンは冷酷に右手を突き出した。


「お前らが人間を虫ケラ扱いしたように、俺もお前らをただのゴミとして処分してやる」


「――『神殺しの黒炎』」


「ギャアアアアアアアアアアアアアッ!?」


アレンの右手から放たれた漆黒の炎が、ミカエルの全身を容赦なく包み込む。


神の加護も、六枚の美しい羽も、すべてが何の役にも立たない。


絶対的な光の存在であったはずの神将は、ただの燃える肉塊となって泣き叫び、最後は一握りの真っ黒な灰となって天界の風に吹き飛ばされた。


「……呆気ないものだな。口ほどにもない」


ミカエルの灰を一瞥もせず、アレンは神殿の最深部へと足を踏み入れた。


そこには、天界の心臓とも言える巨大なアーティファクト――星々の軌道を描きながら眩く輝く**『運命の天球儀(世界管理システム)』**が鎮座していた。


「それが……神々が地上のすべてを支配していたシステムよ」


アレンの後を追ってきたセラフィアが、震える声で告げる。


「その天球儀が、人間の運命を縛り付け、強制的に魔力を天界へ貢がせる呪縛を生み出していたの。……神々が絶対であるための、心臓部よ」


「なるほど。このふざけたガラス玉が、俺たちを見下していた『神様の箱庭のコントローラー』ってわけだ」


アレンは天球儀の前に立ち、ひどくつまらなそうに鼻で笑った。


「生まれつき運命が決まっているだの、神に魔力を捧げるのが生きる意味だの。……他人の人生を、勝手に安全圏から操作してんじゃねえよ」


アレンは再び右手に極大の黒炎を纏わせ、巨大な天球儀のド真ん中へと、一切の躊躇なくその拳を叩き込んだ。


――ガシャアァァァァァァンッ!!!!


世界を支配していた絶対のシステムが、魔王の拳によって粉々に打ち砕かれた。


その瞬間。天界全体を支えていた黄金の光がプツンと途絶え、空の彼方から、ガラスが割れるような甲高い音が世界中に響き渡った。


「な、なんだ!? 足場が……崩れる!?」


「ひぃっ! 羽が! 私たちの光の羽が消えていくぅぅッ!?」


天界の各地で、魔王軍から逃げ惑っていた天使や神々に異変が起きた。


世界管理システムが破壊されたことで、彼らは地上の人間から魔力を搾取することができなくなり、神としての絶対的な力と羽を完全に失ったのだ。


――ゴゴゴゴゴゴォォォォォッ!!!


力を失った天界の浮遊島が、次々と重力に引かれて地上へと墜落していく。


かつて人間を「地を這う家畜」と見下していた傲慢な神々は、自らも羽を失った無力な存在として、悲鳴を上げながら泥まみれの地上へと真っ逆さまに落ちていった。


「終わったのね……。神々の身勝手な支配が、本当に……」


崩壊していく美しい神の国を見つめながら、セラフィアの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。


彼女は、自身の翼を奪った神々への復讐を果たしてくれた目の前の青年に向かって、深く、深く膝を折った。


「アレン。あなたが運命の天球儀を壊してくれたおかげで、これからの人間やエルフたちは、もう誰かに魔力を搾取されることはない。自分の意志で、自由に生きられるわ」


セラフィアは、かつての戦乙女としての誇りを取り戻したような、清らかな笑顔を向けた。


「あなたは魔王を名乗っているけれど……神の支配から全種族を解放した、**この世界の真の『救世主』よ。**本当に、ありがとう」


「……」


その言葉を聞いて。


アレンは、心底反吐が出るというように、深く冷たい溜息をついた。


「勝手に都合のいい解釈をして、俺を正義の味方に仕立て上げるな」


アレンは背中の『漆黒の邪神の翼』をバサリと広げ、崩れゆく神殿の縁へと歩み出た。


「俺は誰かを救うために戦ったんじゃない。……俺の頭の上にある『玉座』にふんぞり返っている連中が目障りだったから、まとめて引きずり下ろして燃やしただけだ。これからも、俺の前を塞ぐ奴は全員黒炎で灰にする」


「ふふっ。ええ、それでこそ我が王ですわ」


イリスが恍惚と笑い、アレンの横に寄り添う。


セラフィアもまた、そんなアレンの「絶対にブレない悪の美学」に苦笑しながらも、その頼もしい背中を追って立ち上がった。


『――クハハハハ! 最高だぞアレン! 神どもが泥水に落ちていく様は、最高の見世物だ!』


(ああ、いい気味だ。さあ、俺たちの城に帰るぞ)


アレンは漆黒の翼を力強く羽ばたかせ、崩壊する天界から、新たな夜明けを迎えた地上の空へと飛び立った。


神の支配という絶対の運命は打ち砕かれ、世界は究極の自由を手に入れた。


しかし、その自由な世界において最強の頂点に君臨するのは、光の神などではない。


誰にも縛られず、何者にも屈しない、漆黒の炎を纏った最凶の**『魔王』**である。


反逆の咎人勇者が歩む、理不尽を暴力でねじ伏せる覇道は、神々を墜としたこの自由なる世界で、これからも永遠に続いていく――。


【第2部:偽神討伐編 完】

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