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『反逆の咎人(とがびと)勇者 〜仲間に裏切られ追放された俺は、邪神の力を喰らって真の救世主(魔王)となる〜』  作者: 白狸
第1部 王国崩壊編 第3章【狂国の終焉編】〜玉座にすがる愚王と、機神(化け物)に堕ちた偽勇者〜
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【狂国の終焉】降り注ぐ命の雪

「消えろ」


アレンの短く冷徹な宣告と共に、逆流した『神殺しの黒炎』が、機神レオンの巨大な鋼鉄の装甲を完全に飲み込んだ。


『ギ、ギギィィィッ!? ア、アレン……オレハ、ユウシャ……セカイ、ヲ……スク……ウ……』


バキバキと音を立てて装甲が溶け落ちる。


最後まで勇者という虚像にすがりついたレオンの機械音声は、黒い炎の中で完全に焼け焦げ、ただの鉄クズの溶ける音へと変わって消滅した。


かつてアレンを奈落へと突き落とした裏切り者は、誰の記憶に残ることもなく、最も無惨な形でその生涯を終えたのだ。


「ヒッ……! ヒィィィィィッ!!」


頼みの綱だった最終兵器を一瞬で消し炭にされ、国王アルベルトは絶望の悲鳴を上げた。


黒い炎は機神を喰らい尽くしても止まらず、そのまま玉座の裏に隠れていた王へと迫る。


「く、来るな! 私は王だ! 王族の血を引く、選ばれし特別な人間なのだぞ! お前のような下民の悪魔が、私を殺して許されるはずが――」


「ああ、許されなくて結構だ」


アレンは命乞いをする愚王を一瞥すらせず、踵(きびす)を返した。


「――お前たちの腐った歴史は、ここで終わりだ」


「ギャアアアアアアアアッ!?」


断末魔の叫びと共に、アルベルトの体は豪華な玉座ごと『黒炎』に飲み込まれ、一瞬にして灰燼(かいじん)に帰した。


自らの保身のために国民を犠牲にし続けた狂国の王は、自分がゴミのように見下していた相手の足元で、無価値な灰となって散ったのだった。


残るは一つ。


アレンは玉座の奥、城の中心で不気味に脈打つ巨大なクリスタル――国民から吸い上げた生命力を貯蔵する**『浮遊城のメインコア』**の前に立った。


「これでお別れだ、クソったれな王様ごっこ」


アレンは右手に黒炎を纏わせ、巨大なコアの中心へと容赦なく叩き込んだ。


――ピシッ……パァァァンッ!!!


コアに致命的な亀裂が入り、城全体に崩壊のサイレンが鳴り響く。


アレンは背中の『漆黒の邪神の翼』を大きく広げると、崩れゆく天井を突き破り、ただ一人、天空へと飛翔した。


その直後。


はるか上空で、王都の空を覆っていた巨大な浮遊城が、太陽を思わせるほどの猛烈な光を放って大爆発を起こした。


しかし、その爆発は「破壊」をもたらすものではなかった。


城のコアに閉じ込められていた莫大な『人々の生命力』が解放され、空から**『黄金の雪』**となって、世界中へと静かに降り注ぎ始めたのだ。


――サァァァァッ……。


「あ、ああ……これは……?」


地上で火の海に怯え、息絶えかけていた人々の体に黄金の雪が触れた瞬間。


魔法のように傷が塞がり、吸い上げられていた命の力が戻ってくる。


焼け焦げ、荒れ果てていた大地からは一斉に緑の芽が吹き出し、枯れた木々には美しい花が咲き乱れた。


「奇跡だ……! 神様が、我々を救ってくださったんだ……!」


「お母さん! 足が治ったよ!」


歓喜の声を上げ、涙を流して抱き合う人々。


しかし、彼らが祈りを捧げるために空を見上げた時、そこに見えたのは、美しい神や天使などではなかった。


朝焼けの空を背に、巨大な『漆黒の翼』を広げて宙に浮かぶ一人の男のシルエット。


人類に災厄をもたらすはずの絶対的な悪――**『魔王』**の姿だった。


「魔王が……我々を、助けた……?」


人々は理解できず、圧倒的な恐怖と、それ以上の深い畏敬の念に打たれ、魔王の姿に向かって次々と平伏し、祈りを捧げた。


結果として彼は、狂った王や偽りの神から世界を救い、誰よりも多くの命を救済したのだから。


『――ククッ。人間どもが、お前に向かって祈っているぞ、魔王様』


脳内で、邪神ノアが愉快そうに笑いかけてくる。


『これで少しは、退屈しのぎ(暇つぶし)になったか?』


「……勘違いするな」


アレンは眼下に広がる黄金の雪と、平和を取り戻した大地を見下ろしながら、フッと冷たく笑った。


「俺はただ、俺のやり方でこの腐った世界をぶっ壊しているだけだ。……それに、まだまだぶっ壊すべきゴミは、この世界のそこら中に転がっているさ」


偽りの勇者は死に、腐敗した王国は滅びた。


しかし、魔王となった彼の覇道はまだ終わらない。


アレンはバサリと漆黒の翼を羽ばたかせると、祈りを捧げる人々に背を向け、新たな夜明けの空の彼方へと飛び去っていった。


忌み嫌われ、恐怖されながらも世界を救う、絶対無敵のダークヒーロー。


彼の反逆の物語は、ここからさらなる混沌へと続いていく――。


【第1部:反逆の咎人勇者・王国崩壊編 完】

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