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『反逆の咎人(とがびと)勇者 〜仲間に裏切られ追放された俺は、邪神の力を喰らって真の救世主(魔王)となる〜』  作者: 白狸
第1部 王国崩壊編 第3章【狂国の終焉編】〜玉座にすがる愚王と、機神(化け物)に堕ちた偽勇者〜
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【邪神の翼】魔王、天を衝く

――ズゴゴゴゴゴゴォォォォォッ!!!


王都の大地が大きくひび割れ、数万の市民の命を吸い上げた巨大な王城が、重力に逆らって天空へと浮かび上がっていく。


それはまさに、王国が隠し持っていた古代の禁呪兵器『機神の浮遊城』が完全に目覚めた瞬間だった。


「はーっはっはっは! 見下ろせ! 這いつくばるゴミ共を見下ろせ!」


空高く浮かぶ浮遊城のバルコニーから、国王アルベルトの狂気じみた高笑いが響く。


彼の命令により、城の周囲に備え付けられた無数の魔法主砲が一斉に稼働した。


「さあ、まずは邪魔な地上の虫ケラどもを焼き払ってしまえ!」


空を覆うほどの巨大な魔法陣が展開され、そこから流星群のような『極大の魔力砲』が雨あられと地上へ降り注ぐ。


ドゴォォォンッ!! と大地がえぐれ、王都の街並みは一瞬にして火の海と化し、逃げ遅れた人々が次々と消し飛んでいく。


それは、自国の民すらも平気で犠牲にする、狂った王がもたらした『絶望の雨』だった。


その地獄絵図を、王都の城門前に到着した魔王軍の先頭で、アレンは冷めた目で見上げていた。


『ククッ……見ろアレン。あの腹の出た王様、随分と高く逃げたものだな。あの高さでは、お前の黒炎も届くまい? どうする、尻尾を巻いて逃げるか?』


脳内で、邪神ノアがわざとらしくからかうような声を出す。


しかし、アレンは表情一つ変えずに鼻で笑った。


「くだらない。あんなデカい的を空に浮かべて、無敵にでもなったつもりか」


『ほう?』


「届かないなら、届くところまで行って叩き落とす。それだけのことだ」


アレンが目を閉じ、深く息を吸い込む。


その瞬間、彼の心臓がドクンッ!! と、世界を揺るがすほどの大きな音を立てて脈打った。


(力を貸せ、ノア。あの目障りな城を、跡形もなくぶっ壊す)


『――フハハハハッ! いいだろう! 私とお前の魂を、さらに深く同調(シンクロ)させてやる! 空に逃げた愚か者どもに、本物の絶望を教えてやれ!!』


ノアの狂喜の声と共に、アレンの背中から爆発的な魔力が噴き出した。


純度の高い闇の魔力は実体化し、アレンの背中に巨大な**『漆黒の翼(邪神の翼)』**として顕現する。


空の光すらも喰らい尽くすような、禍々しくも圧倒的に美しい悪魔の翼だった。


「あ、ああ……アレン様……!」


背後に控えていた吸血鬼の真祖イリスが、そのあまりにも神々しい闇の姿に、恍惚とした表情で両手を組んで跪く。


数万の魔王軍もまた、新たな力を解放した絶対的な王の姿に熱狂し、地鳴りのような雄叫びを上げた。


「イリス。お前たちはここで、地上に残っている王国の兵士(ゴミ)どもの掃討でもして遊んでいろ」


「御意のままに。どうか我が王、あの愚かな空の城に、圧倒的な蹂躙を」


アレンは漆黒の翼を大きく広げ、空を見上げた。


「――さあ、墜落の時間だ」


――ドゴォォォォォォォッ!!!


大地が陥没するほどの踏み込みと共に、アレンの体が弾丸のような速度で天空へと打ち出された。


音速を超えた飛翔。


アレンが空を切り裂いて上昇していくと、浮遊城の迎撃システムが彼を「最大の脅威」として捕捉し、数千発の魔力砲を彼一人に向けて一斉に掃射した。


視界を埋め尽くすほどの、致死の光の雨。


だが。


「目障りなんだよ、クズ共が」


アレンは空中で速度を落とすことなく、両手から**『漆黒の炎』**を放った。


炎はアレンの周囲を竜巻のように覆い尽くし、降り注ぐ数千発の魔力砲をすべて「ジュワッ」という音と共に正面から喰らい尽くし、無効化していく。


「な、なんだとォォォッ!?」


バルコニーから見下ろしていた国王アルベルトが、信じられないものを見るように目を見開いた。


自慢の浮遊城の絶対的な砲火を、たった一人の男が、正面から全て薙ぎ払いながら一直線に迫ってくるのだ。


「ヒィッ……! ば、馬鹿な! 人間が、あんな悪魔の翼を……ッ! 迎撃だ、全砲門をあいつに集中させろォォッ!」


悲鳴を上げる王の命令も虚しく。


一切の魔法を寄せ付けない漆黒の流星となったアレンは、そのまま浮遊城の強固な魔法障壁を紙切れのようにぶち破り、巨大な城の甲板へと、凄まじい轟音と共に降り立った。


「……随分と見晴らしのいい城じゃないか。火葬場にはもってこいだ」


もうもうと立ち込める土煙の中から、漆黒の翼を揺らしながらゆっくりと歩み出るアレン。


愚かな王が立てこもる空の密室に、世界を滅ぼす最強の魔王が、ついにその足を踏み入れたのだった。

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