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英雄の法  作者: 西表山cat
序章 始まりは二人
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第4話     二人の相談

 疲れ果てた体で学園の寮に帰ってきたケルスは試験後の事を振り返った。




「すごいな、お前! やればできるじゃん!」

「まぐれだろ? どうせ」

「おい、最後のあの攻撃どうやったんだよ!」

 クラスメイトから質問攻めにあいながら適当に受けながす。

「それでは試験が終わったので今日はこれにて終了となる。後ケルスあとで私のところに来い」

『おい、先生に呼ばれたぞ』

『・・・俺の勝ち方が悪かったのかなー。まぁがんばれ』

『・・・お前』

 何を言っても無駄なのかも知れないと会話をやめ、職員室に向かう。




「失礼します」

「よく来たな、まぁ用件はわかってるかもしれないが・・・そこにかけてくれ」

「はい」

 やはり試験の事で間違いないようだ。まぁ当たり前のことなのかも知れない。だって最後だけ明らかに誰が見ても勝ち方がおかしかったしな・・・。

「今日のディスチェとの試合、見事だった。今まで下位だった事が不思議なくらいだ」

「はぁ」

「だが!」

 そこで思いっきり机を叩く先生。

「ディスチェに勝ちたいのは分かるが他の試合で手を抜くことは褒められたことではない! 他の試合でも全力で戦え!」

 思いっきり怒鳴られる。よくよく考えれば誤解されても仕方ないかもしれないと言い訳はしないでおく。おそらくディスチェに勝つために他の試合で魔力の節約や体力の温存をしたと勘違いされたのだろう。

「すみませんでした」

「わかればいい。今後このような事が無いようにしろ。あのような動きを他の者にも出来れば試験の順位を上げることも難しくないはずだ」

「はい」

「・・・まぁ分かっているようだからしつこくはいわん。次の試験期待している。もう帰っていいぞ」

 助かったと心の中で安堵する。闘い方が変わったことについて聞かれるかと思ったがこれだけのようだ。

「失礼します」

 そういって職員室を退室する。



そして冒頭に戻る。

『いやー大変だったなー』

『ふざけんな! 全部お前のせいだろーが!』

 思わず頭の中で怒鳴ってしまう。

『まぁまぁ』

『はぁ・・・まぁいい、時間は出来たんだしお前の事じっくり話してもらうぞ』

『あぁもちろんだ、これから長い付き合いになるんだしな』

 寮が個室で本当に良かったと思う。啓と話・・・厳密にいうと頭の中の会話をするとき意識せずとも表情が変わっている可能性があるからだ。ベッドに寝転がりながら何から話そうか思いを巡らせる。

『・・・そんなに思い悩むなよ。まず改めて自己紹介をしよう。異世界人の神宮寺啓、啓って呼んでくれるとありがたい。年は20だ』

『あぁわかった、俺はケルス、スゥイ。まぁ1年も俺の中にいたらしいから知ってるかもしれないがケルスと呼んでくれ。年は16、まぁそろそろ17だな』

 訪れる沈黙・・・どうやらお互いにもしかしたらコミュニケーション能力は高くないのかもしれないと思いながら啓は積極的に話しかけることにした。

『なんか質問は・・・ないの? 異世界ってどんなところとか』

『いや、無いなー・・・。啓が住んでた異世界ってやっぱり文明はこっちと比べてどうなんだ?』

『異世界・・・うん、日本っていう国なんだが文明はこっちより大分進んでたよ。魔法なんかは無かったけどな』

『魔法が無いのにどう進んだんだ? 全然想像出来ないな』

『こうやって話すのもめんどくさいから俺の知識を見れるようにしておくよ。』

『ありがと。暇なときに是非見ておくよ』

 再び訪れる沈黙。しばらくして話しかけたのはやはり啓だった。




『―――――――――――そういえばあの先生』

『ん?』

『あの怒鳴ってた先生だよ。1年ケルスの中にいたけど名前なんていうんだ?いまだにわからないぞ』

 沈黙を打破した話題は非常に"しょうもない"ものだった。

『あーたしか・・・ベルっていう名前だったような気がする。種族は見たとおり俺と同じ普通の人間だよ。そういえば啓の種族って何?』

『人間・・・てか俺の住んでた世界は人間しかいなかったけどな。この世界みたいに獣人みたいな人間の他に言語を理解できる存在は無かった』

『なら・・・やっぱり俺の世界みたいに獣人と人間の戦争みたいなものも無い平和な世界なのか?』




 この世界は今でこそ平和だが一昔前は獣人と人間との大きな争いがあった事は一年ケルスの中にいた啓もわかっていた。そしてこの時代は何とかお互いに歩み寄り和平をし、極小規模な小競り合いが国境付近で起こることがあったが平和な状態が続いている。だが獣人の国イェンフォウ、人間の国スゥイジンの中にもそれぞれやはり人間を滅ぼすべき、獣人を滅ぼすべきという選民思想を持つ人がいた。




『平和・・・だったのかな。戦争はあったよ、俺の国ではほとんど無かったけど。ちょっと離れた国では頻繁にあった。君の国が・・・例えば人間が獣人を殺し尽くしたらとか想像したことある?』

『人間しかいない啓の世界でもやっぱり争いがあるのか・・・殺し尽くしたら・・・考えた事もないよ国同士ではわだかまりもあるかもしれないけどルージンは異なる種族が多く交流してるからね。クラスの友達に獣人はいるし考えられないよ』

『そっか』

『・・・あぁ』




『寝るよ』

『あぁ』

『後、今度から俺の体勝手に動かすなよ?怒るからな、次は』

『もう怒ってるじゃん、まぁそれはもちろんだよ。今日はつい動かしたけど基本自分は君の行動に要望が無い限り干渉しな――――』

「すー」

 寝息が聞こえる。初日にしては大分話かけたと思うが疲れさせてしまったようだ。そう思いながら啓も眠ることにする。憑依してるのに本体のケルスが眠っても起きられる自分を不思議に思いながら意識を沈める。意識が落ちる直前に一つの事を突然思い出す。



 結局帰ってきてから闘い方について一切説明してなかったな・・・。


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