第3話 試合
「いくぞ!」
そういいながらディスチェは拳よりも一回り大きい火の玉を放ってくる。
「いきなりかよ!」
走りながら火球を避け間合いを詰める啓は思わず毒づく。
『おい! ケルスみてるな?』
『あぁ、お前に任せるよ。ちゃんと勝ってくれよ』
『・・・・・・自分で言うのもなんだがさっき会ったばかりの俺によく任せてられるな』
『前』
「なにを見ている!」
いつの間にか打撃が届く間合いにディスチェが近づいていた。頭という急所を狙っていた拳を難なく受け止める。
「おっと」
「な!」
まさか受け止められるとは思わなかったディスチェの動揺が面白いほど伝わってくる。
『おいケルス、これからちょっとだけ戦い方を教えてやるから見とけ』
『・・・おう』
そうしてまた間合いを開けるケルス。
『まず遠距離での間合いで魔法は撃つな。魔力の無駄だ』
講釈をたれながらディスチェから遠慮なく放たれる火球を”あるきながら”避ける啓。
『・・・すごいな。俺なら直撃してるぞ』
『魔力は発動までにある程度放たれる方向が判る。今度コツを教える。そして次、近距離の間合いを出来れば維持しろ。慣れれば戦いやすいはずだ』
また講釈をたれながら近距離で今度は魔法を避ける。
「お前・・・なぜ攻撃してこない!」
「・・・あとちょっとまて、すぐに倒してやるから」
「えらく余裕じゃないか」
『最後に近距離での戦闘はなれれば思いのほかダメージを与えられる。だから相手が油断していればこのように――――――――――――――』
距離を詰め拳に火球をまとわせる。
「近づきすぎだ!」
獣人であるディスチェは魔法はけっして上手い方ではなかった。それでも学年首席というだけあって下手というわけではなかった。魔法が上手くない分打撃には自信があった。だから迷い無くまた打撃を繰り出すが――――――――――
『こいつ・・・意外と頭が良くなかったな』
相手の打撃が届く直前。
「はい、終わり」
爆音が轟きディスチェが試合場から吹き飛ばされる。よく見れば啓が火球の魔法を纏わせた手を突き出していた。
「がはっ・・・」
「「「おおおおぉ!」」」
かろうじて立てるようだがだいぶ苦しそうだ。周りの自分の試合が終わって観戦していたクラスメイトが感嘆の声をあげる。
「勝者、ケルス!」
そして先生から告げられた結果でこの日の魔闘試験が終わりを告げた。




