第15話 別れ
先生が終わりを告げ、試験は終了した。
ケルスの成績は明らかに低くく、今目の前にいるフランは、その結果を不満そうに愚痴る。
「結局何がしたかったんですか? わざと低い成績なんて取って」
「・・・なんだ、まだ分からなかったのか?」
レンは遠慮してか、今いる場所には啓とフランしかいなかった。
「分からなかったから聴いてるんです。今日こそは答えてもらいますよ」
・・・答えにくい。フラン、レンと共に過ごした四ヶ月は自分にとって、少なくとも居心地の悪いものではなかった。計画を立ててからここまで二人を大切に思うようになるとは考えていなかった。
「お前ら二人と別れたかったんだよ。邪魔なんだ」
ずっと"あの"事件を起こした後に解決方法を考えていた。あの三人の処理が終わった後に、すぐまた二人が消えれば五人と共通のあるケルスにどうやっても疑いの目が向けられる。
だから残った二人には優秀になってもらい、ケルスと同じクラスから消えてもらうことにした。それだけだ。
「・・・・・・私は・・・邪魔でしたか?」
自分から理由を聞いてからフランはずっと俯いている。
「あぁ、邪魔なんだ。これでさようならだな」
「っ!」
自分の遠慮の無い言葉を聞いて、フランが息を呑む音が聞こえた。
耐える。躊躇して優しい言葉などかければ、ケルスにまた迷惑をかけるかもしれないから。
「ケルス! わかってるでしょ! 私は・・・"風"だけが欲しくて貴方に近づいたんじゃ―――」
「いいだろ、もう。最初の目的どおり、お前は"風"を使えるようになった。それ以上何を望む?」
「・・・違う・・・違う! そんなんじゃないっ!」
「何が違う? 他の属性でも教えて欲しいのか?」
わざと冷たい言葉を放つ。長引いてお互いにいい事など一つも無い。
「・・・何で? どうしてそんな事言うの? 私は貴方が―――」
「やめてくれ。もういいだろ」
「よくない!」
「っぐ!」
突然、突風が吹き、樹に叩きつけられる。
「っつ、どういうつもりだ」
「ご・・・ごめんなさい。でも・・・でも嫌だから・・・」
「とにかくこの話は終わりだ。明日からはクラスも違うし、もうここに来る必要も無い。いいな?」
「よくない! 絶対にダメ!」
込められた言葉の強さに思わず驚く。本来すぐに別れをつげ帰るはずが、思いのほか話がこじれている。
「―――戦って」
「は?」
「戦って私が勝ったら、その話は無しです」
「なんでそうなる! とにかくこの話は―――」
自分のすぐ右の地面が風で"抉れた"。
「・・・本気なのか?」
「本気です」
フランの風魔法は既に自分を大きく超えていた。元々適正もあり四ヶ月の訓練でも最初の一月でコツを掴み、精密な操作、強弱の調整、強さ、どれを取っても自分より上だった。
「どうせ何言っても無駄だよな・・・来い」
「行きます!」
開始と同時に強い魔力が自分に向かってくるのを感じる。
―――ドン
一瞬眩しい光がフランの体を貫き、大きな音がその後轟いた。貫いたのは正確には"雷"と呼ばれるものだった。
倒れたフランに駆け寄り生死の確認を念の為にしておく。息がある事確認して抱き上げる。
「ったく・・・ほら、俺の勝ちだな」
「・・・・・・もう・・・完成していたんですね。それ」
「・・・あぁ」
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――――寮
『なんか制服に土がついてるんだけど・・・』
『気のせいだ』
『疲れた・・・』
『試験おつかれさん』
『・・・なぁ啓』
『なんだ?』
『俺さ、卒業したら領地を継ぐのは弟に任せて冒険に出たいな』
『・・・別にいいんじゃない?』
『んー』
『お前の体だ。自由にすればいいだろ』
『自由って言ってもな・・・啓はやりたい事ないのか?』
『ない』
『ない・・・か』
それ以上の言葉は続かず、静かにお互い眠りについた。




