第13話 中間試験
啓の闇 中篇と後編くっつけてます
読み飛ばしご注意を
四ヶ月ほど時が流れる。
クラスの皆がいつもと違う場所にある学園の訓練場に集まり、緊迫した空気が漂っていた。その訓練場に二年の生徒たち"全員"が揃えられ、前にいる威圧感を放つジェンヤ先生と、それとは対照的に優しそうに天使のような笑みを浮かべる女性に視線を集めていた。
優しそうな女性が人間である事から、以前二年の授業が始まる前にジェンヤ先生が言っていた"優秀な生徒を受け持つ"先生だと予想をする。しばらく静かにしているとジェンヤ先生が前に出て今日の試験について説明を始める。
「では時間になったので二年のクラスを変える試験を行う。私のクラスの者達は知らないだろうが、この方がユンラウェーズ先生だ。ユンラウェーズ先生の生徒達の中にも、半年前に私と会った者がいると思うが私はジェンヤだ。今回の試験、成績が振るわなかった者は私が担当する事になる。まぁがんばる事だな」
「始めましての人もいるわね。今回ジェンヤ先生と試験に立ち会うユンラウェーズよ。成績が優秀だった人の担当をする事になってるからみんな頑張ってね! ルール説明に入る前にまず今回、なぜ二つのクラスが集まっているのかを説明するわ。通常であればそれぞれのクラスのみで本来試験を行うはずだったんだけど、私のクラスから二名、ジェンヤ先生のクラスから二名、特に優秀な成績を持つ者が現れた。そこでジェンヤ先生と相談し、このまま通常の試験でクラスを決めるのも、もったいないという事で、一緒に行うことになったわ。・・・その分通常、一日で終わる試験が二日かかるという事になりますが良い経験になると思います、普段競い会う事も無い方と戦える機会ですので全力でぶつかり合って下さい」
「ではルール説明に入る。今回は一年の頃によくやっていた、魔闘試験と同じような総当りとなる。大きく違う点は・・・一つだけだな。法技の使用は認められている。以上だ! 言うまでも無いが怪我や致命傷をあいてに与えた者は覚悟しておけ」
それが開始の合図となり試験が始まる。ケルスは同じクラスの試合を見ながら時間を潰していた。後ろから先生の声が聞こえたが目の前の試合に集中する。啓はいるが絶対に手を出さない、そう約束して試験に臨む。
離れたところで試験の様子を見ていた二人の先生はお互いの優秀な生徒の話をしていた。
「ユンラ先生、今年は優秀な生徒が多そうですね」
「ええ、そうですね」
「何か気になることでも?」
「先日聞かせていただいた話ですが、本当なんですか? 珍しい属性を使う生徒がいるとは」
「風と氷、という属性でしたね。いやはや驚いたものです、初めて見せてもらったときは」
「風の使い手を私は見たことがありますが皆年老いた人ばかりでした。こんなに若くして習得するとは・・・驚くに値する才能ですね」
「ユンラ先生は見た事がございましたか。私はあの生徒から見せてもらった時に非常に驚いたものです・・・」
「風はそれほど殺傷力がありませんから安心ですが、氷はどういったものだったのでしょうか」
「それは・・・二人にも属性の詳細を聞こうとしましたが断られてしまいましたよ。当たり前ですが新しい属性は国に仕える時にいい印象を与えることが出来ますしね」
「試験でも使うと思いますが怪我の心配になるような事はございませんよね?」
「氷に心配が残りますね・・・どうしても危険な技が一つありましたので、それの使用は禁じましたが」
「それほどですか・・・」
しばらく沈黙が場を包む。
「賭けませんか?」
「ジェンヤ先生・・・賭け事は―――」
「ユンラ先生の生徒、ディスチェとジンガ。私の生徒、レンとフラン、果たしてどちらが強いでしょうか?」
「・・・それは気になりますね」
こうして本人達の知らない間に小さな賭け事が行われていた。
試験が進みケルスは順調に"負けていた"。
啓と一緒にいるようになってから、危ない時に助けてもらっていたが、試験を一人でやりたい、と啓に伝えると、
『元々助ける気なんかないよ、ガンバレ』
と言われた。卑怯な手は使いたくないとは思いながらも、負けると流石に悲しい。そう思い試合をこなしていく。負けるたびに自分を刺すような視線を感じながら。
突風で対戦相手が吹っ飛ぶ。場外に出たので開始数秒で試合が終わった。
「・・・はぁ、楽です」
こうしてフランは次々と試験を勝ち上がっていく。
硝子の割れるような音が響く。水を凍らせて作った無数の氷の礫は地面の表面を破壊し小さく抉り取った。
「大丈夫です。当たってもたぶん死にません。ふふっ、冗談ですよ、死にません」
微笑むレンの言葉通り、当たっても死ぬ生徒は出なかったが、肩や足などに礫が当たり酷く悶絶する者が多く、それを見ていた対戦者が礫に掠った程度で降参する人が続出した。
素早い影が一瞬で対戦者に迫り、魔法を使う隙を与えず相手の胸に掌底を放つ。
「もう終わりです。動けないでしょう」
ディスチェの言葉通り対戦者は苦しそうに胸を押さえながら降参した。
順調に進み半分を終えて、ようやくその日の試験は終わった。ジェンヤ先生とユンラウェーズ先生の生徒同士が闘うのは翌日。




