表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/20

14話 強敵出現

「ちょっとまって、何か居る」

 その時突然、アーリンの足取りが止まった。


「またグレートゴブリンか?」


「……いや、違う。もっと小さいヤツがそこの道の奥に居るよ」


「小さいやつ? 普通のゴブリンか?」


「わかんないけど、そうかも」


 ここまで、ダンジョンに出現してきたモンスターはグレートゴブリンのみ。

 別種の出現にやや戸惑いながらも、

「なら楽勝だな!」

 気を良くしていたアラドは、特に深く考えることもなく前に進んだ。


「ちょ、ちょっと危ないよ」

 ミーシャはアラドを止めようとするが、彼は聞く耳も持たず一人前に出ていった。


「よっしゃぁ! 掛かってこい!」


 アラドは眼前に広がる暗闇に向かって叫ぶ。

 後ろから、灯り(アランの薪)を持ったミーシャが追いつき、暗闇がわずかに照らされる。


「……ん? ゴブリン……か?」


 すると、暗闇の中に見えた敵の姿が、見覚えの無いものだと気づいた。

 背格好や肌の色はゴブリンと同じ。

 だが、その身に纏っている装備は、街道で遭遇した普通のゴブリンとはまるで違う。

 金属製の鎧に身を包み、背中にはマント、胸には勲章のようなものがついている。

 

「まるで将軍みたい」

 と、アーリンが呟いた。


「……」

 アラドは無言でその敵をじっと睨みつけた。

「確かに、そうだ。いやでも……」

 もごもごもとアラドはつぶやく。


「なんなの?」

 アーリンはアラドに聞く。


「あれは多分、ゴブリンジェネラル……だと思う」


 ゴブリン将軍(ジェネラル)

 それはゴブリン種の中でも3番目にランクの高いモンスターだった。

 そのランクはC。つまり、ゴブリングレートよりも更に上。


「引いたほうが良いかもな。エリートモンスターだ」

 アラドは呟いた。

 額には汗を浮かべている。

 ゴブリン将軍の戦闘能力はそれほど高くないが、厄介な能力を持っている。

 それは同類モンスターを召喚するというスキル。

 一度戦闘が始まれば、ジェネラルはゴブリンを呼び、あっという間に戦場を埋め尽くしてしまう。


 よって、攻撃を仕掛けるにせよ、一撃で確実に仕留めることが求められる。

 アラドはそれに気づいて冷静になっていたが、


「あんな弱そうなヤツ、大丈夫でしょ。『ファイアボール』」

 アーリンはそんなことはつゆ知らず、躊躇なく魔法攻撃を仕掛けてしまった。


「うわっ! ちょっ!」

 アラドは焦るが、もう遅い。

 アーリンの手から放たれた火球は、まっすぐと敵に向かって飛んでいき、ドカンと見事に的中。

 

「グルゥッ!」

 Cランクであるゴブリン将軍は、その一撃を食らって倒れるほどやわではなかった。

 そして、戦闘が開始される。


「ゴブゥ! ゴブグルゴブゥ!」

 ゴブリン将軍が叫ぶと同時に、彼の周囲で召喚魔法陣が光った。

 光はモンスターの形に収束し、気がつくと、一瞬にしてグレートゴブリンが3匹、ホブゴブリンが2匹現れた。

 

「ばかっ! 勝手に攻撃を仕掛けるなよ!」

「なによ。さっきまではアンタ(アラド)の方が好き勝手やってたくせに!」

「相手はCランクだぞ。慎重にやるべきだろ」

 そして、危険な敵を目の前にして、アラドとアーリンは痴話喧嘩じみた言い争いをはじめた。


「ゴルブルゥ!」

 その隙に将軍が号令をかけると、召喚されたモンスター達は一斉に走り出した。


「ちょっと二人とも、来るよ! 『皆殺しだ』って、言ってるよ」

 ミーシャが叫び、三人はようやく臨戦態勢へと移行した。


「仕方ない。ちょっと魔法つかうから、二人共下がって」

 アーリンは両手を前に突き出し、アラドが魔法の軌道上から外れると同時に純魔法を唱える。

「ウォーター&ライトニングボルト!」


 そして彼女の左手からはまず高速で水が射出された。

 水はモンスター達を一様にずぶ濡れにして、その直後に右手から放たれた小さな稲妻がその濡れ場に直撃する。


「うゔぉゔぉゔぉゔぉゔぉ!」

 

 出現したゴブリン達は、全員が感電し、完全に行動がとまった。

 とは言っても、致命傷を与えるほどの攻撃力はない。


「あとは俺たちに任せろ」

 そこで、アラドとミーシャが前に出て、感電して動きの止まっているモンスター達にたやすく止めをさした。

 あっという間に5匹のモンスターを撃破し、残るはジェネラル一匹のみ。


「やるぞ。ミーシャ」

「うん」


 アラドとミーシャの二人は既に戦闘準備万端。

 そしてジェネラルの方はと言うと、やや腰が引けている状態だった。

 ゴブリンジェネラルがCランクモンスターなのは、その特殊能力を評価されてのこと。

 既に手下のモンスターが居ない今、その強さはせいぜいDランクか、下手をすればEランクレベルかもしれない。

 二人は勝利を確信しながら徐々に距離をつめる。


「ちょっと待った。ジェネラルはまだ倒さないで!」

 と、アーリンが叫んだ。


 アラドとミーシャが振り向くと、アーリンはなぜかハンドブックに視線を向けている。


「ジェネラルの召喚スキルは、クールタイムが90秒って書いてあるけど、これ本当なの?」

「ハンドブックに嘘はない。だから本当だよ」

 アラドが答える。

 ハンドブックに情報を刻むのは、ローウン神。

 神が誤った情報をデータとして保存するはずがないので、当然情報は全て真実である。


「じゃあ、90秒待てばまたモンスターが召喚されるってこと?」

「そうだよ。だから早く倒さないといけないんだ」

「……えへへ、だったらさあ。倒さなくても良いんじゃない?」

「何を言ってるんだ?」

「ほら、見てよ」


 と、アーリンは先程倒した5匹のモンスターを指差した。


「グレートゴブリンは平均して金貨1枚。ホブゴブリンはどうかわからないけど、いくらか金を持ってるでしょ? もしもジェネラルを倒さずに放っておけば、90秒ごとにモンスターが召喚されて、無限にお金稼ぎが出来るでしょ?」


 そう。アーリンは実に賢い女だった。

 ジェネラルが雑魚を無限に呼び続けてくれるのなら、その雑魚から無限に金とアイテムを集められる。と、そう考えたのだ。


 ただし現実は甘くない。

 アラドは首を横にふって否定する。


「無理だよ。召喚されたモンスターは金を持ってないんだよ。調べてみればわかるけどな」


「えぇええ! なにそれ!」


「いいか。召喚されたモンスターっていうのは、厳密には普通のモンスターとは違うんだ。

 召喚魔法の一種。つまり、実体を持たないエネルギー体なんだよ」


「……なにそれ、知らなかった……じゃあ戦い損じゃん……」


「いや、戦い損とは言い切れないな。戦闘経験は積めるわけだから。Dランクの魔物との戦闘経験は、普通に訓練を積むよりずっと効率的だから、実際に『ジェネラル狩り』ってテクニックもあるらしい」


「へぇー、でもお金稼ぎにならないなら良いや」

 アーリンは冷めた目で、ゴブリンジェネラルに向きなおると、手を前に差し出した。

「『ファイアブレス』」


 アーリンが今日初めて唱えた上級魔法は、一瞬でジェネラルを炎に包みこみ、あっさりと戦いを終わらせた。


 ちなみにドロップ品は『金貨3枚=900G』と『ジェネラルの鎧』だった。

 今現在、一切まともな防具をつけていなかったアラドは、そのジェネラルの鎧を装着し、更に奥へと進んでいく。


------------------

現在までのの獲得品

 3900G

 大きな腰袋

 緑の指輪(未鑑定品)

 ジェネラルの鎧(希少品質)

「ブックマーク」や「評価」をしていただけると嬉しいです

少しでも面白い、続きが早く読みたい!と思いましたら、


広告↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★をつける評価があります


ブクマ、評価は作者の励みになります!


ぜひともお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ